キノ・イグルーの週末シネマ​ no.190
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めぐり逢えたら|直感に従うのもわるくない悩んだときの処方箋

文:キノ・イグルー 有坂塁

めぐり逢えたら|監督・脚本:ノーラ・エフロン(1993年・アメリカ)

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2021年02月05日作成



人間にとって"言語"が重要なのは、

集団で生きるうえのコミュニケーションが欠かせないから。


でも最近。

といってもインターネットの時代になってからですが、

その言語や意識にがんじがらめの人が、とても増えた気がします。


とりあえずやってみる、が難しい。

理由がないとアクションが起こせない。

先に情報を入れといたほうが楽だから。

皆、そう言います。わかります。


しかしそれだと、

おみくじのような不意打ちの出会いがなく、ドキドキできません。

そもそも人間には、

ピクサーの『インサイド・ヘッド』でも登場しない

"名前を持たない感情"が意識の水面下をうごめいていて、

その無意識から発生するイメージには、

言語化できないものがたくさんあるわけです。

そこにフタをしちゃうなんて、やっぱり不自然。


「頭は質問するが、心は答えを知っている」という言葉があります。


そんな"直感"に従って行動を起こすのも、時には悪くないもの。

いや、ワクワクしかなくて最高なんです!


その気持ちは、映画『めぐり逢えたら』を観てもらえれば、

きっとわかってもらえるはず。

若きトム・ハンクスとメグ・ライアンが共演した、

90年代を代表する名作ラブ・ストーリー。


こんな内容になっています。


***


最愛の妻を失ってい以来、

夜も眠れないほどの哀しみに沈むサム(トム・ハンクス)は、

息子のジョナとともに寂しいクリスマス・イブを迎えようとしていた。

父を気づかうジョナはラジオの人生相談に電話し、

「パパに新しい奥さんを」とリクエスト。

息子に続いてしぶしぶ電話口に出たサムはやるせない胸の内を切々と告白、

アメリカ中の涙を誘う。

遠く離れたボルチモアで放送を聴いたアニー(メグ・ライアン)も、

サムの告白に涙した一人。

結婚を間近に控えたアニーだが、

まるで運命の"マジック"に操られるように見ず知らずのサムに魅かれていく。

そしてバレンタインの夜、ついに愛の奇跡が訪れた…


***


恋はクリスマス・イブに始まり、愛はバレンタイン・デーに訪れる。


SNSや携帯電話が普及していない時代だからこそ成立する、

ハラハラドキドキなストーリー展開。

さらに、このロマンティックな内容を盛り上げてくれるのが、

セリーヌ・ディオンとクライヴ・グリフィンのデュエット曲「When I Fall in Love」です 。


NYの街にもぴったりな大人のスタンダード。

2人の素敵な歌声と、劇中の2人がシンクロし、

何度聴いてもグッときてしまう名曲です。

(個人的に、ラブ・ストーリーには名曲が欠かせないと感じた最初の曲でもあります)


さて、この映画において"直感力"を最大限に発揮するのは誰かというと、

トム・ハンクス演じるサムの息子ジョナです。

悲しみの底から立ち直れないパパのために、一生懸命がんばるジョナ。


ネタバレになるので、詳しいことは書けませんが

物語の途中、ジョナとアニー(メグ・ライアン)は

このように"直感力"を働かせます。


【アニー】ラジオを聴いて、直感的に「この人だわ」と感じる。

【ジョナ】「パパにふさわしい人はこの人だ!」と直感する。


【アニー】いても立ってもいられず、シアトルへ向かう。

【ジョナ】渋るサムを置いて、1人でNYへ行ってしまう。


サムはというと、頭で考えすぎてしまい、行動できずじまい。

ただひとり、モヤモヤと煮え切らない状態が続きます。


しかし"直感"を信じて行動できる2人のおかげで、

サムの人生にはやがて、小さな幸運が訪れるわけです。

あの最高にロマンティックなラストとともに…



悩んだときの処方箋として、

ここまで、おあつらえ向きの作品はないのではないでしょうか。

ぜひ、バレンタインシーズンの間にご覧になることをオススメします。


迷ったら、前へ。


************************************************
『めぐり逢えたら』
Blu-ray 2,381円+税
発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

映画選定・執筆

有坂塁
キノ・イグルー 
有坂塁
キノ・イグルーは、2003年に有坂塁が渡辺順也とともに設立した移動映画館。
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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