キノ・イグルーの週末シネマ​ no.247
ラ・ラ・ランド|記憶に残るあの名シーンをもう一のカバー画像

ラ・ラ・ランド|記憶に残るあの名シーンをもう一度

文:キノ・イグルー 有坂塁

ラ・ラ・ランド|監督:デイミアン・チャゼル(2016年・アメリカ)

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2022年03月11日作成



「キノ・イグルーの週末シネマ」新担当のWさん、

いいお題をありがとうございます。


僕、じつはInstagramの中で、

映画の名シーンを紹介する小さなプロジェクトをおこなっておりまして。

その名もズバリ、「#キノイグルーのこのシーンが好き」。


たとえば。


『サウンド・オブ・ミュージック』で「ドレミの歌」を高らかに歌い上げるシーンや、

『ローマの休日』のジェラードを頬張るオードリー・ヘプバーン、

『めがね』のメルシー体操、

『南極料理人』は巨大エビフライを食べる食事シーン…


マイナーな作品で言うと、

スペインの『カラスの飼育』や、

スウェーデンの『野いちご』、

日本のアニメ『鉄コン筋クリート』に、

瑛太×宮崎あおい主演の『好きだ、』など

(どのシーンかは、Instagramでご確認ください)、

足かけ5年ほどで、231タイトルの名シーンを紹介しています。


その中でも『ラ・ラ・ランド』は、

"トップ・オブ・トップ"と言ってもいい、あの名シーンをピックアップ。


華やかでパワフルな映画史に残る名シーン…

といったら、きっとお分かりですよね?


その紹介の前に、まずはストーリーからご確認ください。


***


夢を叶えたい人々が集まる街、ロサンゼルス。

映画スタジオのカフェで働くミアは女優を目指していたが、

何度オーディションを受けても落ちてばかり。

ある日、ミアは場末の店で、あるピアニストの演奏に魅せられる。

彼の名はセブ、いつか自分の店を持ち、

大好きなジャズを思う存分演奏したいと願っていた。

やがて二人は恋におち、互いの夢を応援し合う。

しかし、セブが店の資金作りのために入ったバンドが成功したことから、

二人の心はすれ違いはじめる…


***


この物語を、極上のミュージカル・エンターテイメントに仕立て上げたのは、

当時、弱冠31歳だったデイミアン・チャゼル監督。

彼は、アカデミー賞5部門にノミネートされた音楽ドラマ『セッション』で、

一躍名を挙げた若き天才なのですが、大のミュージカル好きとしても有名で、

彼がハーバード大学で映画を学んでいたときの卒業制作が、

『ラ・ラ・ランド』の原型とも言われているジャズミュージカルだったのです。


チャゼル監督は、脚本・撮影・編集・作詞も兼任し、

出演者も含め、学生時代の仲間とともに製作しながらも、

音楽を担当したのは『ラ・ラ・ランド』でもタッグを組む

同級生のジャスティン・ハーウィッツ!

これぞ、奇跡の出会い。

そんな筋金入りのミュージカルフリークたちによって、

名作『ラ・ラ・ランド』は誕生したのです。


ということで、現代を舞台にしながらも

往年のミュージカルへのオマージュが散りばめられているところも、

見どころのひとつ。

「フレッド・アステア作品っぽい!」

「あ、『シェルブールの雨傘』のあのシーン!」など、

ファン目線でも観る者を楽しませてくれます。


さて。

前置きが長くなりました。

本作の名シーンとは、

オープニングを飾るミュージカル・シークエンスになります。


舞台は、LA名物ハイウェイの大渋滞。

身動きの取れないハイウェイのど真ん中からスタート。


名曲「Another Day of Sun」(プレモルのCMで流れるあの曲)に合わせて、

車に乗っていた人たちが次々と降りてきます。

1人ずつがリレー形式で歌い踊るところから、

少しずつダンサーが増えていき、

楽器を演奏する人まで現れ、

しまいにはスケボーやBMXに乗る人も登場!

華やかな多幸感!

そして曲が終わった瞬間、バシッと画面に現れる「LA LA LAND」の文字。


もうね、鳥肌です。

観る者を瞬く間に映画の世界へと誘う、圧巻のオープニングシーン。

と同時に、これほどまで心を奪われるのは、

ミュージカルを愛するチャゼル監督が、

夢の企画であろう作品の冒頭から

高らかに"ミュージカル"であることを宣言してしまう、

その喜びから来るのかもしれません。


とにかく観てみてください。


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『ラ・ラ・ランド』
【おトク値!】ブルーレイ&DVD 発売中【デジタル配信中】
ブルーレイ:¥2,750(税込)
DVD: ¥1,980 (税込)
発売元:ギャガ
販売元:ポニーキャニオン
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映画選定・執筆

有坂塁
キノ・イグルー 
有坂塁
キノ・イグルーは、2003年に有坂塁が渡辺順也とともに設立した移動映画館。
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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