キノ・イグルーの週末シネマ​ no.186
シザーハンズ|雪が積もってもふもふ!映画で雪まみのカバー画像

シザーハンズ|雪が積もってもふもふ!映画で雪まみれ

文:キノ・イグルー 有坂塁

シザーハンズ|監督・製作・原案:ティム・バートン(1990年・アメリカ)

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2021年01月08日作成



昨年の緊急事態宣言の直前に、

東京で雪が降ったことをみなさん覚えているでしょうか?


フォトライブラリーで調べると、2020年3月27日。

前週の3連休のときに、街は多くの人で賑わい、花見を楽しみ、

その影響もあってステイホームとなってしまったあの週末です。


近所の井の頭公園へ行ってみると、そこには満開の桜と雪景色が。

地球温暖化の影響とはいえ、

思いがけない春と冬のコラボレーションに心ときめいてしまったのは、

きっと、ぼくだけではないはず。


と同時に、その光景から

ティム・バートン×ジョニー・デップの記念碑的作品『シザーハンズ』を思い出してもいました。

そのロマンティックな風景に反応し、

あのパステルカラーの街並みと感動的な雪のシーンが、

フラッシュバックのように頭をよぎったのです。


30年以上も前の作品ですが、

今もなお「多くの人に観てもらいたい!」と純粋に思える、

哀しくも美しいラブストーリー。


まずは、ストーリーからご紹介したいと思います。


***


丘の上の広い屋敷に年老いた発明家が住んでいた。

彼はたった一人で人造人間エドワードを作っていたが、完成間近に急死。

エドワードはハサミの手のまま取り残されてしまった。

化粧品のセールスで屋敷を訪れたペグは気の毒に思い、彼を家に連れて帰る。

エドワードはそこでペグの娘のキムに恋をしてしまうのだが…


***


純真無垢な心を持つ人造人間と少女の交流を、

ティム・バートンはパステルカラーを中心に、

絵本のような世界観で観るものを楽しませてくれます。

ひと言でいうなら "甘く切ない現代のおとぎ話"といったとこでしょうか。


その中にあって、本稿のお題である"雪"はとても重要な位置を占めていて、

それは、映画会社のロゴを見るだけで一目瞭然。


誰もが目にしたことのある、あの「20世紀フォックス」の立体ロゴが、

カラーではなくモノクロに。そこには、シンシンと雪が降り積もっています。

さらに、いつもの高らかなファンファーレではなく、

心洗われる音楽が静かに流れている…

何かが始まる予感に満ちた、素敵なオープニング。

不思議な気持ちのまま、映画は始まり、

そして、物語はこのように幕を開けます。

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寒い冬の夜。孫娘がおばあちゃんに質問します。

「雪はどうして降るの?」と・・・

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そんな本作の中でも一番の見どころは、

エドワードがキムのために氷の彫刻を作り、

雪を降らせ、キムが踊るという美しい場面。


映画史上、最も"雪"をファンタジックに使った名シーン!

と言いたくなるほど、純度が高く、

もはや、涙なしでは観ることが出来ません。


そんな雪ではじまり、雪でおわる映画『シザーハンズ』。

強い寒気に見舞われるという今週末に観るには、

グッドタイミングな一作かと思います。


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『シザーハンズ<特別編>』
DVD 1,419円+税
ウォルト・ディズニー・ジャパン
©2012 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

映画選定・執筆

有坂塁
キノ・イグルー 
有坂塁
キノ・イグルーは、2003年に有坂塁が渡辺順也とともに設立した移動映画館。
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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