当たり前のことを言ってみます。
人間は"モノクロ"で世界を見ることが出来ません。
生まれた時から、世界はカラーです。
大げさなことを言ってみます。
ならば"モノクロ"映画というのは、
それだけでファンタジー作品なんじゃないかと。
モノクロ映画は、人を思考に導いてくれます。
画面の余白を、想像力で埋め、作品を完成させる。
対してカラー映画は、情報過多。
見る者に、これでもかと情報を差し出してしまうため、
考える暇を与えてもらえない。
と言っても、これはもちろん、
大げさに考えればの話です。
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「1930年代。パリ・モンパルナスで
意気投合した2人の文学青年、ジュールとジム。
突然現れたカトリーヌに魅かれる2人だが、
先にプロポーズしたのは、ドイツ人のジュール。
彼はカトリーヌと結婚し、ドイツに連れて行くが、
戦争が起こり、2人の青年は敵味方となる。
戦後、ジムはライン川河畔に住む、ジュールを訪ね、
女の子を設けた。幸せな生活に見えた。
しかし、ジュールは、ジムにカトリーヌと
一緒になって欲しいと告げる…」
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ぼくが愛してやまない、
モノクロ映画のひとつ『突然炎のごとく』。
監督は、ヌーヴェルヴァーグの旗手と呼ばれた
フランソワ・トリュフォー。
主人公カトリーヌを演じたのは、
先日死去した大スター、ジャンヌ・モロー。
彼女のコケティッシュな微笑み
セーヌ河畔の古い水車小屋
自転車で坂道を駆け下りるシーン
ギターに合わせて「つむじ風」を歌うシーン
カトリーヌがセーヌ川に飛び込むシーン
男装して3人で鉄橋を競争するシーン
もしこれらがカラーで撮られていたとしたら、
あれほど詩情豊かなシーンにはなっていなかったでしょう。
おそらく、もっと生々しい恋の話になっていたはず。
モノクロだからこそ本作は、
恋愛映画の枠を超え、
男と女の"神話"にまでなったのだと思います。
ぜひ一度、ご覧になってみてください。
P.S:トリュフォー曰く、
「ヒロインのカトリーヌは、自分の母親であり、
この映画は『大人は判ってくれない』で否定した、
母への許しだった」のだそう。
泣けるエピソードです。
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『突然炎のごとく』
Blu-ray 4,800円(税抜)
発売・販売元:KADOKAWA
映画選定・執筆
キノ・イグルー
有坂塁
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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