ぼくは月に一回、映画カウンセリングというものを
おこなっています。
その名も「あなたのために映画をえらびます」。
おひとりさま、1時間。
その人にあった特別な5本を選ぶために、
さまざまなお話を伺っていきます。
好きな映画、音楽、旅したことがある国、
30年後の自分、受け入れきれてない感情…
自分でも気づいていないような無意識まで掘り下げて、
映画をえらぶのです。
その中で、よくこういう話を聞きます。
「いまの生き方に不満もあるけど、しょうがないです。
人生そういうものですから」
たった一回きりの人生なのに、それでいいのでしょうか。
瞳を覗き込んでみると、
"嫌です"との答えがはっきり書いてあります。
そして、言います。
「本当は変わりたいんです」と。
そんな方にお勧めしたい作品が
『いまを生きる』です。
全寮制の名門校で厳しい規律の中、
学生生活を送る高校生たちがリベラルな教師に出会い、
自分たちの生き方を見つめなおしていく物語。
ロビン・ウィリアムス演じる
英語教師ジョン・キーティングがとにかく素晴らしく、
「今を生きろ若者たちよ。すばらしい人生をつかむのだ。」
と言っては、生徒それぞれが葛藤し、行動していく様子を
あたたかな笑顔で見守ってくれるのです。
規律、伝統、従順、秩序などを押しつける学校に対し、
キーティング先生は"自由"という概念で抵抗します。
描かれるのは学校という小さな世界ですが、
これって僕たちが生きている世界そのものなんですね。
学生の映画だからって敬遠するのは、もったいない。
生徒を自分に置き換える想像力さえあれば、
キーティングから学べることはたくさんあると思います。
そして、観終わった頃には、恩師がひとり増えるはず。
人生を諦めるなんて、早すぎます。
その前に本作を観て、
人生を見つめ直してみるのはいかがでしょうか?
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『いまを生きる』
Blu-ray 2,381円+税
DVD 1,429円+税
Blu-ray&DVD好評発売中
(C)2011 Buena Vista Home Entertainment, Inc.
映画選定・執筆
キノ・イグルー
有坂塁
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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