キノ・イグルーの週末シネマ​ no.35
ALWAYS 三丁目の夕日|笑顔でお買い物商店街が舞台の映のカバー画像

ALWAYS 三丁目の夕日|笑顔でお買い物商店街が舞台の映画

文:キノ・イグルー 有坂塁

ALWAYS 三丁目の夕日|監督:山崎貴(2005年・日本)

3
2018年02月16日作成


商店街の魅力を、

あらためて考えてみます。


たとえば。

毎日のように買い物をするので、顔なじみが増える。

知っている人が多い分、街ぐるみで子どもを見守ってくれる。

親は安心。子どもはのびのび。

言わば、商店街は、それ自体がひとつの家族のよう。


こんどは、商店街を"空間"という形で捉えてみます。

お店の軒先にベンチが置くと、そこは社交場に早変わり。

お菓子や焼き鳥を食べながら、

普段あまり接点を持たない、年配の方と若者が交流できます。

もしかしたら、そこでの新鮮なコミュニケーションは、

子どもたちにとっては、感性を磨ける場所になるかもしれない。


さらに、買い物へ行っても、面白いことばかり。

店主に今日のオススメを直接聞くこともできれば、

食材を活かした調理法まで教えてもらえる。

ちょっとしたサービスだってあるかもしれない。

個人経営のお店が多いので、

マニュアル通りの接客をされるストレスもなければ、

品物への安心感もあります。


こうやって考えると、本当にいいこと尽くし。

なんで、商店街は廃れてしまったんだろう。



昭和30年代の下町を舞台にした『ALWAYS 三丁目の夕日』では、

そんな絵に描いたようなステキな商店街や、

人情味豊かなご近所づきあいが、事細かに描かれています。

駄菓子屋、ちゃぶ台、汽車、フラフープ、舗装されていない道路、

広場、子どもたちの歓声、タバコ屋のおばあさん…

ある種の理想的な姿がそこにはあります。

と同時に、この作品は、

新時代を作っていくためのイメージソースとして、

最適ではないかなとも思うのです。

"故きを温ねて新しきを知る"。

そう、温故知新です。


もし、あの駄菓子が入ってるケースを使って、

スコーンやマカロンなどの焼き菓子を販売してみたら?

もし、"街頭テレビ復活の日"を、

月に一度だけ作ってみたら?


"温故知新"目線で観ていくと、

新鮮なアイデアがたくさん出てきます。

その流れで"あたらしい商店街"なんてスケールの大きいことまで考えてしまうのです。


そんな僕にとって、いま、理想とする商店街があります。

超人気の焼き菓子店「メルシーベイク」や、

ビジュアルブック中心の古書店「nostos books」という

おしゃれな店と共存するように、

昔ながらのおでん種屋や揚げたてコロッケが食べられるお肉屋がある、

世田谷線の松陰神社前。


のどかで刺激的な、この街の雰囲気は、

ぼくのイメージする"あたらしい商店街"像に限りなく近い。

街にいる人たちも、散歩する犬たちも、

どこかみんなリラックスしているように見えるんです。

まだ行ったことがないという方は、この週末にでもぜひ。


『ALWAYS〜』は、そんな古き良き商店街への妄想を掻き立ててくれる一作です。


************************************************
『ALWAYS 三丁目の夕日』
Blu-ray 4,800円+税
DVD 3,800円+税
Blu-ray&DVD発売中
発売元:小学館
販売元:バップ
(C)2005「ALWAYS 三丁目の夕日」製作委員会

映画選定・執筆

有坂塁
キノ・イグルー 
有坂塁
キノ・イグルーは、2003年に有坂塁が渡辺順也とともに設立した移動映画館。
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
Instagram    Web Site

バックナンバー

アプリ限定!
12星座占い、天気予報と気温に合わせたコーデをお楽しみいただけます

お買いものも
キナリノアプリで◎

キナリノアプリ

「これが好き」「これが心地よい」と感じてもらえるお買いもの体験と情報を。自分らしい暮らしがかなう、お買いものメディア

App Store バナーGoogle Play バナー