PART1:なんだか泣きたい気分の夜に
『アイ・アム・サム』
知的障害を持っている父(サム)の、愛娘への愛情に溢れた作品です。そんな娘(ルーシー)も、健気にサムを慕っていて、そんな二人の関係性に心が温まります。私は小学生の頃にこの映画を初めて観たのですが、あの年齢でも胸にじーんときて涙が止まらなかったのを覚えています。随所にビートルズの曲が使われているところも、大好きな映画です。
『ニュー・シネマ・パラダイス』
ローマのシチリア島の村。映画好きの少年、トトは「パラダイス座」で映画鑑賞をすることが唯一の娯楽でした。そこで働く映写技師のアフレードと仲良くなり、さらに映画の世界へのめり込む。それから30年が経ち、映画監督になったトトのもとへ訃報の知らせが届く…。
トトとアルフレッドの、師弟のような、友人のような、そんな関係性に心あたたまる作品。最後の場面は、アルフレッドからトトへの愛情が溢れていて、涙がとまらなくなる。シチリアの田舎の街並みもすごく魅力的。映画がもっと大好きになる、そんな作品です。
『ライフ・イズ・ビューティフル』
1939年、イタリア。ユダヤ系イタリア人のグイドは愛する妻との間に息子が生まれ、幸せな時間を過ごしていた。しかし、第二次世界大戦が始まると、ナチス・ドイツの強制収監所へ収容されてしまう。グイドは、息子を怖がらせないため、そして、守るために優しい嘘をつき続ける…。
こんなにも、優しい嘘があるんだ、と心を締め付けられる作品。息子や妻を守るための、優しい嘘。そして、ナチス・ドイツのホロコーストの恐ろしさ。主人公グイドの強さと愛に溢れた強さが、かっこいい。ホロコーストの歴史を知らない世代にも、ぜひ観て欲しい作品。
『ギフテッド』
亡き母のかわりに叔父フランクに引き取られて暮らす、少女メアリー。メアリーが学校に通い始めると、天才的な数学の才能が明らかになる。メアリーには普通の生活を送って欲しいフランクだが、メアリーの祖母は英才教育を受けさせるために、二人を引き離そうとします。フランクとメアリーはこのまま離れ離れになってしまうのか…?
普通って何なのか。特別って何なのか。子育てに正しいやり方はない、だからこそ難しい…。そんなことを考えさせられる映画。特別に育てることよりも、普通に育てることの方が難しいのかもしれない。メアリーがとにかく可愛くて、魅力的な作品。
『チョコレートドーナツ』
同性愛者である、ルディとポール。二人はダウン症の少年マルコを引き取る。しかし、同性愛者であるルディとポールは周囲から偏見の目でみられ、マルコと引き離されてしまう…。
1970年代。この時代は、LGBTに対してひどすぎる、辛すぎる偏見がある時代。「人と違う」ということがこんなにも本人たちを苦しめているんだ、と胸が痛くなる。人々が、法律が許さなくても、深い愛情で繋がる3人の姿に涙がとまらない。苦しい。偏見や差別について、考えさせられる映画。
PART2:ほっこりした気持ちで眠りたい夜に
『パターソン』
ニュージャージー州パターソンに住む、バス運転手のパターソンの日常が描かれた物語。朝起きて、妻のローラにキスをし、仕事に向かい、心に浮かぶ詩を秘密のノートにつづる。妻と夕飯を食べ、愛犬と夜の散歩へ行き、いつものバーへ立ち寄る。代わり映えのない、それでも新しい、パターソンの毎日を描くユーモアと優しさに溢れた7日間の物語。
のんびりした気分で映画を観たい人におすすめ。映画を観る、というよりも、パターソンの日常を見ているような作品。穏やかな気持ちで観れる、心地よい映画。特に何もない毎日が、平凡な毎日が、幸せなんだなと思えます。ブルドックのマーヴィンがものすごく可愛いのです。
『シング・ストリート 未来へのうた』
1985年、大不況のダブリン。父親の失業が原因で、荒れた学校に転校させられるコナー。両親もけんかばかりで、兄とロンドンのミュージックビデオを観ているときだけが幸せだった。ある日、街で一目惚れをしたコナー。彼女を振り向かせるために、慌ててバンドを組み、猛特訓の日々が始まる…。
冴えないいじめられっ子が、周りにバカにされながらも、自分たちの好きなことを貫いていく、王道ストーリー。観ていて楽しくなる、気持ちがいい映画。作品に出てくる曲が、全部とても良い。自然と体が揺れてしまいます…。
『ワンダー 君は太陽』
オギーは生まれつき、人と違う顔をもつ少年。幼い頃からずっと家で過ごしていたが、小学校5年生になり、初めて学校へ通うことに。オギーは外見への偏見から、同級生にからかわれる。しかし、オギーの行動で同級生たちが徐々に変わっていき…。
親が思っているより、子どもはずっと強いのかもしれない。オギーの勇気と、友人の優しさ、家族の愛に心温まる作品です。きっと、観た人はみんな、登場人物の誰かに自分を重ねてしまう。わたしは、オギーのお姉ちゃんに自分を照らし合わせてみてしまった。みんな、何かを我慢して、頑張って生きてる。優しさと勇気をもらえる、心がすっときれいになるような映画です。
『しあわせの絵の具』
絵を描くことを愛しているモードは、カナダの小さな町で叔母と暮らしていた。束縛の激しい叔母から逃げるため、
町はずれで暮らすエベレットの家で、家政婦として働くことを決意。はみ出しもの同士のふたりはやがて惹かれ合い
、結婚することに。やがてモードが描く絵は評判を呼び、ニクソン大統領からも依頼がくるが…。
お互い孤独だった二人が、静かに愛を育んでいく姿に心温まる。主人公モードの仕草と、笑顔が最高にキュート。描く絵もとてもかわいくて魅力的です。とにかく、サリー・ホーキンスの演技力に心を打たれます。観終わったあとに、心が満たされたような感覚になる作品。
『僕のワンダフル・ライフ』
少年イーサンに命を救われた、ゴールデンレトリバーのベイリー。死んでも、愛しのイーサンにまた会うために生まれ変わりを繰り返す。やっと再会したベイリーは、自分に与えられた「ある使命」に気づく…。
犬好きにはぜひ、観てほしい映画!わんちゃんを飼っている方なら、きっとびっくりするくらい大号泣な作品ですが、とても心があたたまります。動物からの無償の愛って本当に偉大だな、と感じます。大号泣で、翌日顔がむくむ可能性大なので、休日前の夜に観ることをおすすめします。
PART3:部屋を真っ暗にして、綺麗な映像に癒されたい夜に
『ミッドナイト・イン・パリ』
売れっ子脚本家のギルが、深夜のパリを散歩していると、あることをきっかけに、1920年のパリにタイムスリップ。憧れのヘミングウェイや、ピカソなどの偉人たちと出会い、恋に落ちる、ロマンティック・コメディ。
パリの素敵な街並みに魅了される映画。昔のパリってこんな感じだったのか、と胸がわくわくする。どの時代に生きていても「昔はよかった」「あの時代に生まれたかった」と人々は思うのだろうな…。「パリは雨のときがいちばん素晴らしいの」というセリフにうっとりします。とにかくパリの美しさに、きゅんきゅんしっぱなしの映画です。
『グランド・ブタペスト・ホテル』
格式の高い「グランド・ブタペスト・ホテル」には、伝説のコンセルジュと呼ばれる、グスタウがいました。多くの客が彼目当てにホテルを訪れていましたが、ある事件をきっかけに、彼の人生は一夜にして変わります。グスタヴは、ベルボーイのロゼとともに、誇りにかけて謎を解くために、ヨーロッパを飛び回る!
絵本をみているような気分になる映画。ウェスアンダーソンの世界観に浸れる作品。どの場面も、とても可愛くて素晴らしいです。ストーリーよりも映像を楽しみたいときはおすすめ。きっと、途中で出てくるケーキを食べてみたい気分になるはずです。
『君の名前で僕を呼んで』
北イタリアの避暑地で家族と夏を過ごす17歳のエリオは、父が招いた大学院生のオリヴァーと出会う。一緒に過ごしていくうちに、エリオのオリヴァーへの気持ちは、やがて初めて知る恋へと変わっていく。しかし、夏の終わりとともにオリヴァーが去る日が近づいてくる。
ため息が出るほど、美しい映画。ひと夏の恋をして、成長していくエリオの姿が美しく、儚い。きれいな風景と、優しい音楽が心に残ります。夜に部屋を暗くして、ひとりでおだやかに観てほしい映画。
『ナイト・オン・ザ・プラネット』
ロサンゼルス、ニューヨーク、パリ、ローマ、ヘルシンキ。同じ日の夜を舞台に、5つの都市でタクシー運転手と乗客とのやりとりを描く。もう二度と会わないであろう人だからこそ、友人にも話せないようなことも話してしまう。
ぜひ、夜にぼーっと観てほしい映画。途中流れてくる音楽も素敵。さまざまな都市の場面が出てくるが、個人的にはニューヨークとパリの場面がすき。タクシーの中、という狭い世界で繰り広げられる会話がおもしろい。
『アメリ』
父親の影響で、ちいさな頃から空想の世界で楽しむアメリ。大人になってからも、アメリは他人とはあまり関わらずに、自分だけの空想の世界でいきていきます。ある出来事をきっかけに、他人をしあわせにする喜びに目覚め、ささやかな人助けのために自分の殻から出て、かわいい作戦を開始する。
アメリのキュートな魅力に惹かれる作品。流れてくるフランス語が心地よく、モンマントルのおしゃれな街並みも見ていて楽しい。アメリのいたずらに、終始わくわくします。アメリが働いているカフェは、モンマントルに実際にあって、そこでクリームブリュレを食べるのがわたしの夢。映画を観たら、きっとクリームブリュレが食べたくなりますよ。
七歳程度の知能しか持たない父親、サム。知的障害があることから、娘と引き離されてしまう。娘を取り返すべく、サムは裁判で奮闘するが…。