ひんやりした朝、毛布にくるまれ、ぬくぬくと。
毎年、冬の足音が近づくと、この誘惑との戦いがはじまります。
目覚ましが鳴っても「あと5分」などと言い、
ギリギリの時間になったらなったで朝ごはんを抜きにしてしまったり。
あの手この手を駆使して、なんとか少しでもお布団にいようとしてしまう。
でもね、頭ではわかってるんです。
そんなことは休日にやればいいということを。
ということで今回は、そんな誘惑に抗うため、
思わず真似をしたくなる素敵な朝時間を描いた作品を
ご紹介したいと思います。
ソフィア・コッポラが監督した『SOMEWHERE』です。
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ハリウッドの映画スター、ジョニー・マルコ。
彼はロサンゼルスのホテル"シャトー・マーモント"を仮住まいにし、
高級車を乗り回してはパーティーで酒と女に明け暮れ、
まさにセレブリティらしい華やかな生活を送っていた。
しかし、それらはいずれも孤独な彼の空虚感を紛らわすだけのものに過ぎなかった。
そんな彼が大切にしているのは、
前妻と同居する11歳の娘クレオとの親子の短いひとときだった。
自堕落な日常を過ごす彼だったが、母親の突然の長期不在により、
無期限でクレオの面倒を見ることになる。
やがて、映画賞の授賞式出席のためクレオと一緒に
イタリアへと向かうジョニーだったが…
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気になる朝食シーンは、映画の中盤あたりに出てきます。
父に対して反発心を示していた娘のクレオですが、心が次第にほどけ、
ついには自堕落な父のために腕をふるって、朝食を作ってあげます。
しかもね、父が寝てる間にこっそりと
っていうのがいいんですよね~
メニューは、見た目もキュートなエッグベネディクト。
イングリッシュマフィンの上にハムとポーチドエッグをのせ、
濃厚ソースをとろーり。
そんな世界最高の朝食をたべた父は
「ソースが重すぎず、パーフェクトだ」とクレオの料理を絶賛。
朝食をとおして、ふたりの距離がグッと近づく
本作屈指の名シーンなのです。
窓から差し込んでくる自然光は美しく、
ギンガムチェックのワンピースは爽やかで、
エル・ファニングは超キュート。
もうね、眼に飛びこんでくるすべてが気持ちいいんです。
しかもみんな幸せそう!
今週末は『SOMEWHERE』を観て、
週明けからの朝の過ごし方をあらためて考えてみるなんて、
いかがでしょうか?
ポーチドエッグも真似したくなること間違いなしです。
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『SOMEWHERE』
DVD 3,800円(税抜)
Blu-ray 4,700円(税抜)
発売中
発売元:株式会社東北新社
販売元:TCエンタテインメント
(C)2010-Somewhere LLC
映画選定・執筆
キノ・イグルー
有坂塁
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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