この原稿を書いている12月5日月曜日は、
最高気温9度、どんよりとした雲に覆われた真冬のような一日です。
気温以上に、底冷えするような寒さのため、
暖房に加えて、膝掛けとホットドリンクも用意し、
ぬくぬくと今この原稿を書いています。
お題は「この時期にぴったりなラブストーリー」。
わ!タイミング良く、
いまラジオからクリスマスナンバーが流れてきたー!
ナット・キング・コールの「The Christmas Song (Merry Christmas)」。
これは嬉しいな〜
じつは今回紹介する映画『恋におちて』は、
クリスマスから始まるラブストーリーなんです。
クリスマス・イヴのニューヨークの書店で運命的な出会いを果たした2人…
という内容なので、この選曲は気分が上がります!
ではこの勢いのまま、作品紹介へ移ってしまうことにしましょう!
まずは物語から、ご確認ください。
***
クリスマスを目前に控え、買い物客でごったがえしているマンハッタンの街。
建築技師のフランクはプレゼントを買うために訪れた書店で、
同じくプレゼントを買いに来ていたモリーとぶつかった。
床に散らばったプレゼントを拾い上げ、笑いながら別れた2人。
しかし通勤電車で偶然にも再会を果たすと、
それをきっかけにデートを重ねるようになる。
しかし2人は既婚者。
抑えようにも抑えきれない切ない想いがたどり着く結末は…
***
主演は、名優ロバート・デ・ニーロとメリル・ストリープ。
この時代のハリウッドは、
中年に差し掛かった大人のラブストーリーが皆無だったため、
その意味でもインパクトを残した作品として知られています。
ともに家庭のある二人の関係は、
今でいえば"不倫"という一言で片付けられてしまうかもしれませんが、
「だから観ない」ではあまりにも勿体ない一作です。
(そういえば『マディソン郡の橋』もメリル・ストリープが主演ですね)
恋は"する"ものではなく"落ちる"もの。
「タイプじゃないし好きになるわけない」とか
「この人を好きになってはいけない」なんて頭でわかっていたって、
ドーン!と落ちてしまうのが本当の恋だと思います。
ただいまの世の中は、そういった"感情のグラデーション"に蓋をし、
すべてを善悪で分けようとしすぎている気がします。
「白と黒しかない世界」。
でも本当は、赤や黄色などの暖色だってあるし、
寒色だって、中間色だって存在するはずなんです。
そこを意思の力を持って「人として正しい姿だ」と決めつけてしまうのは、
あまりにも不自然だし、
だからこそ、本作を観ていただきたいなと思ったのです。
ドロドロの愛憎ではなく、繊細な感情が紡がれ、
その姿は若き日の恋のように切なくてロマンティック。
そんな葛藤しながらも惹かれあう2人の切ない物語を、
あなたはどう感じるのか。
ぜひ、心の中で自問していただければと思います。
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『恋におちて』
DVD: 1,572 円 (税込)
発売元: NBCユニバーサル・エンターテイメント
2022年12月の情報です。
映画選定・執筆
キノ・イグルー
有坂塁
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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