名物店主のお買い物日記 no.229
言葉を包んで贈ろう。幸せを呼ぶクリスマスカードの話 ―ama 大田愛さのカバー画像

言葉を包んで贈ろう。幸せを呼ぶクリスマスカードの話 ―ama 大田愛さん

キナリノモールに集うストアの個性的な店主たちが、自腹を切って買ったものや愛用品をひたすら語る、徒然お買い物リレー。ギフトアイテムを中心に展開する「ama」から、こだわりのクリスマスカードが届きました。

43
2025年11月02日作成
大田愛
ama 店主
大田愛
2015年ベビーギフトと贈る喜びを届けるオンラインストアamaをオープン。「心の奥に残るものを」をコンセプトに、作り手の心を感じられるとっておきを世界中からセレクトしています。2022年、お店でご紹介していたオランダとイギリスの紙ものをもっとたくさんの方へ届けたい!と輸入代理店も開始し、ますますたくさんの贈る喜びを実感中。好きなものは、大谷石とピクニック。
言葉を包んで贈ろう。幸せを呼ぶクリスマスカードの話 ―ama 大田愛さん
言葉を包んで贈ろう。幸せを呼ぶクリスマスカードの話 ―ama 大田愛さん
「ヤドリギ」

このワードを聞いただけで「冬がやってきた!」とワクワク感に包まれるのはきっと私だけではないはず。
子どもの頃、サンタさんや動物たちが幅をきかせるクリスマスの包みの中に描かれた、見たことのない植物の模様がやたらと気になって。宮沢賢治の『水仙月の四日』に出てくるヤドリギの枝に心を奪われて。今でも「本や包装紙の中に存在している神秘的なもの」というイメージはそのままで、なんとも厳かで不思議な気持ちになる……。キリスト教圏ではクリスマス飾りの定番で、日本でも冬になると素敵なヤドリギモチーフのアイテムにたくさん出会えますよね。幸運を呼び込み、魔除けでもあり、ロマンチックな言い伝えも。

そんなヤドリギをモチーフに、オランダのブランド「ユリアンマター」とクリスマスカードを作りました!
冬のお部屋にさりげなくクリスマス気分を届けてくれるカードは、包装紙で丁寧に包まれたギフトボックスから着想を得ています。

手前味噌ですがとびきりシックに仕上がって、早々に飾って日々眺めているのですが……なぜでしょうか、目にとまるたび優しい気持ちになれるのは。ヤドリギの力なのか、強すぎる思い入れのせいなのか(笑)。
いずれにしても、たくさんの良いことを運んできてくれそうな予感がしています!
amaで不定期開催している冬の親子ワークショップでは、紙のお花でクリスマスリースづくり。ヤドリギはとても人気です!

amaで不定期開催している冬の親子ワークショップでは、紙のお花でクリスマスリースづくり。ヤドリギはとても人気です!

ユリアンマターと一緒に仕事をはじめて5年がたちました。
ベビーギフトから始まったamaですが「心の奥に残るもの」というコンセプトはそのままに、大人の方にも素敵なものを届けたいと思うようになりました。「ご家族で楽しめるペーパークラフトなどもよいのでは」と朧げながら考えているときに海外の展示会で出会ったのがユリアンマターでした。

ブランドの魅力を綴ると本が一冊書けそうなので割愛しますが(笑)、北欧の空気感を纏った紙のホームアクセサリーはとても優しい雰囲気で、ギフトにも喜ばれそう!と取り扱いを開始。数年後にamaが日本代理店となり、今では包装紙などもご紹介しています。

今回のヤドリギのパターンも、当初はカードではなく包装紙を作るつもりでした。
言葉を包んで贈ろう。幸せを呼ぶクリスマスカードの話 ―ama 大田愛さん
ヤドリギの神秘的な雰囲気がありつつ、洗練されたミニマルなデザイン。
可愛すぎないけど、クリスマスのワクワク感もちゃんと感じる。デスクの上にイメージを貼り日々眺めているうち「この包装紙で包まれた贈りものがたくさんお家に並べて飾ってあったら可愛いだろうな〜」と思ったのです。

それなら包装紙じゃなくて「贈りものみたいなクリスマスカード」にしたらよいのでは!?
ずっと飾れるし、カードなら包装紙よりも、もっとたくさんの方へハッピーを運んでくれるはず!「言葉を包む」カードなんて素敵じゃないかーー!

そこから日本限定のクリスマスカード作りが始まりました。
言葉を包んで贈ろう。幸せを呼ぶクリスマスカードの話 ―ama 大田愛さん
毎年クリスマスカードを楽しみにしてくださっている皆さまのために、今回は少し日本的な要素も込めたいと思っていました。リサーチしていくなかで、ポップすぎずクラシカルすぎない、大人っぽい模様をお求めの方が意外と多いことを知りました。また、インテリアとしてちょこっと飾れるヤドリギのアートを探しているというお声も。

そこで決まったのが「3枚並べたときにとびきり美しく見えるカード」。
それぞれパターンの出方が異なるようデザインされていて、3枚を並べて飾ると異なる包装紙で包まれたギフトボックスのよう。

カードの仕様にもこだわりました。ちょっとしたスペースに立てかけて気軽に飾れるよう厚みを持たせ、奥行きを感じられるよう実の部分のみ活版印刷の空押し*で立体感を加えています。この控えめな陰影のおかげで、日本っぽさも感じる繊細な仕上がりに。雪の跡のような立体感がヤドリギにみずみずしさを吹き込んでくれたように感じています。
* インクを付けずに凹凸のみ施す手法
言葉を包んで贈ろう。幸せを呼ぶクリスマスカードの話 ―ama 大田愛さん
今回、お部屋に飾ることを前提としているため、印刷色が全面に美しく出るよう通常の印刷+活版印刷で奥行きをプラスするという、手間のかかる方法で制作しています。

紙は、数種類の候補の中から森林認証紙のコットンペーパーを選びました。厚みと手触り、印刷色の再現性、そして書き心地も楽しめます。

繊細な色を表現すべく、ヤドリギが美しく映える深みのある仕上がりになるまで何度もサンプルを作っていただきました。紙の地色に見える記入面のクリーム色も、この色になるまで何度も何度も修正を重ねています。ベリーの実の部分の空押しは、ハイデルベルグ活版印刷機で。職人さんが圧力を調整しながら仕上げてくださいました。

デザイナーのユリアンマター、紙屋さん、印刷所の職人さんの力が終結し「この冬、最高に美しいヤドリギのカードを届けよう!」と細部までこだわり抜いて完成したカードです。

贈っても、受け取っても、飾っても。
誰もがハッピーになれるような、とびきり素敵なクリスマスカードができたと思っています。
言葉を包んで贈ろう。幸せを呼ぶクリスマスカードの話 ―ama 大田愛さん
セレクトショップである私たちはいつも、すでに製品として完成されたものを選び、販売しています。
丁寧につくられたものを、背景と一緒にお届けしたい。作り手の思いやこだわりを温度感そのままに伝えられるよう、お話を伺ったり現場を見学させてもらってアイテムページでご紹介してきました。

そんななかで、ものづくりの大変さをある程度は分かっているつもりでいたのですが……“つもり”なだけで、全っ然でした……!

ものを世に生み出すということは、たくさんのプロセスと熱量、細部へのこだわりを経ていて、本当に尊いこと。今回イチからものづくりに関わったことで、改めて世の中の作り手へのリスペクトの気持ちが強くなりました。

誰かの熱量の蓄積だと思うと、目につく身の回りのものがすべてが愛おしいくらい(笑)。ご時世柄、お財布の紐が固くなりがちですが、素敵だなと感じるもの、大切にしたいなと思うものに出会ったら、一期一会の出会いを大切にたくさんお買いものしよう!とスイッチが入った冬の始まりです。
言葉を包んで贈ろう。幸せを呼ぶクリスマスカードの話 ―ama 大田愛さん
家族、友人、親戚のちびっこ、お世話になっている方々、海外の方へも。
このヤドリギは誰をイメージしても不思議としっくりくる気がするので、今年はクリスマスプレゼントに添えたり、手土産に添えたり、封筒に入れてクリスマスカード兼年賀状として送ったりする予定です。

11月となり、一気にクリスマスムードですね。
いつもご覧くださる皆さまへ、たくさんの感謝を込めて。
フライングですが Happy Holidays!どうぞ素敵なクリスマスじたくをお楽しみくださいね。

今回紹介したアイテム

バックナンバー

アプリ限定!
12星座占い、天気予報と気温に合わせたコーデをお楽しみいただけます

お買いものも
キナリノアプリで◎

キナリノアプリ

「これが好き」「これが心地よい」と感じてもらえるお買いもの体験と情報を。暮らしと私をごきげんにする、お買いものメディア

App Store バナーGoogle Play バナー