待ちに待った「さんま」の季節がやってきました
それから季節は巡り、ようやく「さんま」を使った献立案を料理研究家の冨田さんからいただく時機が訪れたようです。さて、どんな献立に仕上がっているのでしょうか。
ずばりコレ!今回用意した「旬」の食材は?
生さんま(秋刀魚)
冨田さんが考えてくれた「本日の献立(おしながき)」
【主食】さんまの混ぜご飯
【副菜】モロヘイヤのおひたし
【汁物】長芋のみそ汁
副菜には「夏の名残」をおひたしに
スーパーなどで買ってきたモロヘイヤは、葉っぱだけでなく茎も美味しく食べられるそう※。ゆで時間が異なるので、葉っぱと茎を分け、茎は下半分を捨てて食べやすい長さに切っておきます。
時間差でさっと茹でて漬け込む
先に茎から、続いて時間差で葉を鍋に投入し茹でたら、ざるに上げて冷水へ。ゆで時間はトータルで1分ほどです。水気を切って、合わせたお浸しの地に漬け込み冷蔵庫へ。ぬめりがあるので味がのりやすく、漬け込み時間は20~30分でOK。
ほっこり「冬の予感」をお味噌汁に
意外?実は味噌汁の具に向いている「長芋」
生で食べるイメージの強い長芋ですが、冨田さん曰く、里芋などに比べて皮も剥きやすく「普段の味噌汁の具にぴったり」とのこと。半月切りにしたら、そのままじっくり火を通します。油揚げとともにシンプルなお味噌汁にしていきます。
〈白ごはん.com〉ではたっぷりの刻みねぎを合わせたレシピが紹介されていますが、今回は他のメニューで使うため三つ葉へアレンジ。グリーンが入ることで彩りが良くきれいな仕上がりに。
さて、いよいよ本日の主役「さんまの混ぜご飯」の登場です
まずは「さんまの塩焼き」を用意
用意するさんまの目安量は、ごはん2合に対して2尾あると具沢山に。焼く前にまず、切り込みを入れます。火通りが良くなるだけでなく、身もほぐしやすくなります。冨田さんのおすすめは「横一文字」。皮も一緒にきれいに取れて便利だそう。塩を身の両面にまんべんなく振っておきます。
魚焼きグリルを使うときは、あらかじめサラダ油をさっと塗り、2~3分空焼きしておくと網にくっつきにくくなります。中火で様子を見ながら焼いていきます。
ほぐして、ほぐして、ほぐす!
焼きあがったらバットなどに取り出して、お箸で身を丁寧にはがして、食べやすい大きさのほぐし身にしていきます。
丁寧に、丁寧に…途中つまみ食いしたくなる気持ちを必死で抑えて…
もうひとつの具材「薬味」も用意
混ぜ込む基本の薬味は「ねぎ」と「生姜」。それぞれ刻みねぎとせん切りにしておきます。今回は、さらに薬味たっぷりと豪華に「みょうが」と「大葉」も用意。どれも切ったら水にさらすので、小回りのきく薬味俎板があると便利そう。
水切りをした薬味たちは、基本の薬味(刻みねぎ、しょうが)と、お好みでトッピングするものとで分けておきます。
土鍋で白ごはんを炊きましょう
ふっくら炊くための基本――浸水
お米は研いだらボウルなどで真っ白に濁るまで水に浸けておきます。浸水したらざるにあげて、土鍋に移し水を加えて炊いていきます。混ぜご飯にするときは少しだけ硬めに炊いたほうが美味しいので、米2合に対して水は350~400mlがおすすめ。
沸騰したら弱火で約15分
中火で10分ほど経つと沸騰してきます。慣れないうちは蓋をとって目視で確認してもOK。それから弱火にして約15分炊いていきます。熱を逃がさない土鍋だから弱火でも大丈夫なんだとか。
火からおろして、蒸らす
蓋をあけてみて水気が残っていないことを確認したら火からおろして10分蒸らします。おろす前に中火に戻して10秒ほど加熱すると、より効果的。ふっくら美味しい土鍋ごはんが完成です!
仕上げは是非テーブルの上で
さんまと薬味を混ぜ込むだけ!
蓋をとって全体を混ぜ余分な水分を飛ばしたら、ほぐしたさんまの身と、薬味(刻みねぎ、しょうが)を混ぜ込みます。
味を見ながら醤油を調節
さんまの塩加減もあるので、味見をしながら醤油を加えて混ぜていきます。アツアツのごはんの熱で軽く火が通るため、薬味特有のくせが落ち着き、子どもの味覚でも食べやすそう。
“今日はご飯が主役だね!”みんなで楽しく「いただきます!」
つるりとしたモロヘイヤのおひたしと、ほくほくとした長芋の味噌汁。それぞれ違った食感が楽しめて、一汁一菜のシンプルな献立でも十分すぎるほど満足できそう。
サイト名に『白ごはん.com』と名付けるだけあって、冨田さんのご家族はみんな揃ってごはんが大好き。気がついたら今回のように、ご飯が主役の献立になるときも多いそうです。
今年のさんまは、新米とお気に入りの土鍋を用意して、ひと味違った“贅沢な美味しさ”を楽しんでみませんか?
今回ご紹介したレシピ
さんまと薬味の混ぜご飯
モロヘイヤのおひたし
長芋のみそ汁
料理研究家・冨田ただすけ
大学卒業後、食品メーカー勤務や日本料理店での修業を経て2013年に料理研究家として独立。
忙しい現代の家庭環境のなかでも、作り手の心のこもった、素朴で体にしみ込むような家庭料理を大切にしてほしいという思いから、家で作りやすい和食レシピを考案し、届けている。和食レシピサイト「白ごはん.com」運営。近著に『2皿で完結!和のラクうま定食』『冨田ただすけの和定食』などがある。
【東屋】(混ぜご飯)伊賀 飯椀 石灰・松灰/木箸/印判箸置 一本・ありがとう/(土鍋)伊賀 布袋鍋 石灰(中)/(しゃもじ)宮島 六寸半/(しゃもじ受け)伊賀 丸湯呑 呉須鉄十草/薬味俎板 長角/(さんまのほぐし身、薬味)光春 とり皿 杵灰
【TIME & STYLE】(味噌汁)TSUBAKI 椀 端反椀 溜塗・朱塗
代表的な“秋の味覚”として庶民の味方であったさんまも、不漁続きで少し高騰気味の様子。ご馳走だと思って、いつも以上に大切に味わいたいですね。