江戸の俳人が詠んだ「目には青葉 山ほととぎす 初鰹」
江戸時代の庶民には高級すぎて滅多に口に出来なかったと言われる初鰹も、今ではスーパーや魚屋で手軽に手に入る時代になりました。そこで今回は、料理研究家の冨田ただすけさんに、江戸庶民が狂喜乱舞するような「かつおのたたき」をメインにした和食の献立を考えてもらいました。
初夏の気だるさを吹き飛ばしたい!今回用意した「旬」の食材は?
かつお、オクラ
冨田さんが考えてくれた「本日の献立(おしながき)」
【主菜】かつおのたたき
【副菜】オクラの炒め煮
【副菜】ちくわの磯辺炒め
【汁物】なめこと豆腐の味噌汁
【主食】白ごはん
メインの「かつおのたたき」に集中!だから他はどれも簡単調理◎
ところで、かつおはどう選ぶ?
この時季、鮮魚コーナーにずらりと並ぶかつおのサク。すでに刺身になっているものより量をたくさん食べられて割安ですが、部位によって2種類あります。皮が黒っぽい「背」と、銀色っぽい「腹」――味の違いは、背側があっさりしていて、腹側は脂が比較的多くのっています。味の好みで選んだり、2種類を食べ比べたりしてみてはいかがでしょうか。
たっぷりの薬味は欠かせません!
かつおのたたきを美味しく食べるには、やはり「薬味」がポイントに。ねぎ、大葉、みょうが、しょうが、にんにくetc.好みのものや、用意できるものをたくさん揃えて組み合わせましょう。
ねぎは「刻みねぎ」に、みょうがと大葉は千切りに、しょうがはおろし、にんにくは薄切りにそれぞれします。かつおをカットした俎板とは別に、小振りなサイズの薬味俎板があると便利ですね。
さらに美味しく。ちょっとしたコツ
刺身に切った後、すだちや青柚子といった柑橘類を少しだけ搾ってかけると、よりさっぱりと食べられます。
盛り付けるお皿はあらかじめ冷蔵庫で冷やしておくと、さらに美味しく感じられます。そして、隙間を埋めるように薬味をたっぷりとのせたら完成!
旬の走りのオクラはやわらかく、丸ごと食べられる!
オクラの下ごしらえで覚えておきたいのは、ガク(ヘタと実の間あたり)を包丁でぐるりと剥き取れば、ヘタの近くも美味しく食べられるということ。特に今の時期のオクラはやわらかめなので、ガク部分を切り落とさず丁寧に剥いてあげましょう。
ごま油でさっと炒めたあとに、醤油ベースの煮汁でぐつぐつと。5分ほど煮れば、オクラはくたくたにやわらかくなっているはず。
ちくわを切って炒めて味付けするだけ
「パッと作れる弁当の定番おかずといえばこれ!」と冨田さんがおすすめするほど、手軽に作れる風味豊かな『ちくわの磯辺炒め』。レシピではごま油を使っていますが、今回はオクラの調理でも使っているためサラダ油にアレンジ。炒めて青のりと白いりごまをまぶすだけの簡単調理!
相性で選ぶなら、やっぱり「絹ごし」
お馴染みの、なめこ×豆腐の味噌汁ですが、お豆腐は木綿or絹ごし?冨田さんのおすすめは、つるんとのど越しの良い「絹ごし」のようです。みそを溶き入れたら、斜め薄切りにした青ねぎを加えて彩りも良く仕上げましょう。
白ごはんが炊けたら…「いただきます!」
江戸時代の人々も大好物だった一品を囲みながら、いにしえの暮らしに思いを馳せる夕食は、いつもよりちょっと“粋”なひとときになりそうですね。
今回ご紹介したレシピ
かつおのたたき
オクラの炒め煮
ちくわの磯辺炒め
なめこと豆腐の味噌汁
料理研究家・冨田ただすけ
大学卒業後、食品メーカー勤務や日本料理店での修業を経て2013年に料理研究家として独立。
忙しい現代の家庭環境のなかでも、作り手の心のこもった、素朴で体にしみ込むような家庭料理を大切にしてほしいという思いから、家で作りやすい和食レシピを考案し、届けている。和食レシピサイト「白ごはん.com」運営。近著に『2皿で完結!和のラクうま定食』『冨田ただすけの和定食』などがある。
【東屋】(かつおのたたき)木瓜角皿 土灰 長角/印判箸置撰集(別注) チェック/薬味俎板/醤油差し
【TIME & STYLE】(味噌汁)TSUBAKI 椀 端反椀 溜塗
【graf】三角箸
かつおの旬は年に二度。初夏に獲れるかつおは「初鰹」と呼ばれ、秋に獲れる「戻り鰹」に比べてさっぱりとした味が特徴的です。サクの状態で買って来て、自分でお刺身にしたほうが経済的でおすすめ。
夏野菜のイメージが強いオクラは、今くらいから市場に多く出回り始めます。