クリスマスが今年もやって来る♪
献立の考案だけでなく、飾り付けやプレゼント交換など本番さながらに準備をしてくれた冨田さん。小学生の娘さんは「今年は2回もやっていいの!?」と大喜びだったそう。
“クリスマスディナー”と聞くとキラキラした豪華なテーブルを想像するかも知れませんが、どこかやさしくてあたたかく、そして楽しい。そんな、いつもの『冨田家のクリスマス』を教えていただきました。
気になる!冨田さんのクリスマスメニューは?
【主菜】チューリップ唐揚げ
【主菜】サーモンのゆずマリネ
【副菜】野菜スティックサラダ
【副菜(主食)】自家製ミートソース(バゲット)
【汁物】かぼちゃのポタージュ
ポイントは「前日に用意できるメニュー」を取り入れること!
前日用意①)常備菜にもおすすめ「ミートソース」
トマト缶はホールのものを使い、お好みの大きさにヘラでつぶして。空いたトマト缶に水を入れて、缶に残ったトマトもきれいに使いきりましょう。
弱火(強め)で10分ほど煮詰めて汁気を飛ばしていきます。調味料は塩と醤油と砂糖。それと、ほんの少しカレー粉をいれると隠し味に。なければ入れなくても大丈夫ですが、肉の臭みを消して、ソースの風味を引き立ててくれる役割があるそう。
前日用意②)保存袋で漬け込む「サーモンのゆずマリネ」
スーパーなどでサクの状態で売られている刺身用のサーモンを買ってきたら、塩と砂糖をまぶして下味を。適度に水分を抜くためでもあります。ゆずの皮も一緒に漬け込むので粗めのみじん切りに。
薄切りにした玉ねぎも風味アップのための大事な材料。マリネ液はオリーブオイルをベースにゆずの果汁を加え、酢、塩、砂糖、こしょうで整えます。
漬け込みには市販の保存袋が便利。サーモンと一緒に刻んだゆずの皮と玉ねぎを入れ、マリネ液を注ぎます。空気を抜くように封をして冷蔵庫へ。最低1時間は寝かせて味を馴染ませましょう。
前日用意③)電子レンジも活用「かぼちゃのポタージュ」
ポタージュはシンプルに材料4つで作ります。かぼちゃ、玉ねぎ、バター、そして牛乳。生クリーム不要のレシピなので冷蔵庫に常備しているもので手軽に作れそう。
ピーラーで皮を剥いたかぼちゃを、画像くらいのサイズに適当にカットしたら、お皿に広げて電子レンジへ。爪楊枝などを刺して様子を見ながら、ほぼ火が通っている状態にしておきます。小さめに切っているので、加熱時間もさほどかかりません。
鍋にバターを入れ、薄切りにした玉ねぎを透明になるまで炒めます。ここで、小麦粉をふりかけることがポイント。ザラっとしがちな口あたりがなめらかになり、飲みやすくなるそうです。
まず3/5量の牛乳を加えて温め、かぼちゃを投入し(レンジ加熱のムラがないよう念のため)1~2分ほど極弱火で加熱します。
残りの牛乳を冷たいまま足して、ミキサーやジューサーなどに。ポタージュ状になれば完成。あとは当日お鍋で温めればOKです。飲む前に味見をしながら塩や砂糖で調味しましょう。
当日の調理も「作りやすいレシピ」を組み合わせて
素材の美味しさとディップで楽しむ「野菜スティック」
今回は大根、セロリ、きゅうり、れんこん、にんじんの5種類を用意。茹でると甘みが出て食べやすいにんじんと、れんこんは2分くらい茹でて火を通します。
スティックにする野菜は、彩りのバランスを考えながらセレクトを楽しみましょう。他には、パプリカやじゃがいもなどもおすすめ◎今の季節は旬の根菜を固ゆでにして、ぜひ取り入れてみては。
せっかくなのでディップソースも色々用意したいところ。火も使わず、少ない材料で作れるものなら手軽です。今回は、以前も本連載で紹介した「黒胡椒みそだれ」と、マヨネーズとたらこを2:1で合わせたソースを用意。にんじんやれんこんなど味の濃い根菜には、先ほど作った自家製ミートソースもおすすめとのこと。
ひと手間でパーティー気分に!「チューリップ」
チューリップの独特な形、鶏のどこの部位なんだろう…そう思っていた方もいるはず。冨田さんのレシピでは手羽先を使った作り方が紹介されています。手作業なので少し手間ですが、丁寧に料理をしている気分も味わえます。未体験の方は是非チャレンジしてみて!
そして、チューリップを作るときのポイントは「皮を内側にせず、外側の状態で仕上げる」こと。皮にしっかりと火が通り、パリッとした食感に揚がります。
下味は醤油と酒に、すりおろした生姜で風味を足します。骨があるので全体が浸かりやすいように、ボウルより食品用のポリ袋などを使うのがおすすめ。外から手で揉んで、空気が入らないように口をしばったら20分ほど寝かせて馴染ませます。
皮が重なっている部分や骨と身の間など、くまなく片栗粉をまぶして180度の揚げ油の中へ。途中何度か返しながら、全体をこんがりと揚げます。取り出したらこしょうを全体にしっかり振って、味を引き締めて。
クリスマスディナーはここからがポイント!真似したい「盛り付け方」
「普段の食卓だと、お皿がバラバラでもあまり気にしません。だけど、クリスマスだから揃えようかな…という程度です」と、冨田さんのおうちではあまり華美にテーブルを飾ることはしないのだとか。
しかし、器選びや盛り付けのセンスは抜群!思わず真似したくなる盛り付け方をご紹介します。
プレート×小鉢
こんがり焼いたバゲットは、小さな鉢に盛ったミートソース、パセリ、カットしたチーズと一緒にワンプレートにまとめます。プレートに選んだのはイッタラのティーマ21cm。石のような表情をしたドッテドグレーは、どこか和の雰囲気も感じさせますね。
シックな器で料理を引き立てる
お刺身のようにサーモンを切り、一緒に漬けた玉ねぎとゆずの皮をトッピング。マリネ液も注いだら醤油を少しだけ全体にたらして仕上げます。液体が入るので、盛り付けには少し高さがある器がおすすめ。渋めの和食器にサーモンやゆずの色味がとても映えています。
各自で使う食器類は揃える
色々な食器を組み合わせるとしても、一人ひとりが使う食器類を揃えれば自然と「イベント感」が演出できます。粗挽き黒胡椒を少し振りかけて“見た目も”引き締めたポタージュは、こっくりと深いカラーのスープボウルへ。フォルムが特徴的なgrafのスープスプーンもお揃いでばっちり決まっています。
取り分けは「ワンプレートごはん」で
取り分け用のお皿は20cmくらいのプレート1枚。“ワンプレートごはん”にして楽しんでみてはいかがでしょうか?ワインやシャンパンなども並ぶテーブル。多くの食器で溢れてしまわない工夫にも繋がりそう。冨田さんは唯一の柄物を選んでアクセントに。アジアンチックな雰囲気の花柄が描かれたロールストランドの『Ostindia Floris』が、まさにクリスマスのテーブルを華やかにしてくれています。
今日は特別に、こどもたちも「おとな気分」
こどもたちにとってクリスマスディナーの楽しみのひとつ「シャンメリー」。おとなが美味しそうにシャンパンを飲む姿に憧れたものです。では、今日は特別!大人用のグラスに注いであげませんか?注意して持たないといけない“重み”も感じてくれるかも。
メリークリスマス!からの「いただきます!」
みんなが大好きなチューリップの唐揚げをはじめ、お魚料理も、野菜のおつまみも、温かいスープも並んでいます。バゲットに添えるミートソースにいたるまで、そのどれもが手作り。でも、前日から余裕を持って準備をできたり、作りやすいレシピだったり。
これだけの献立を用意しても、クリスマスの夜を楽しむ元気はまだまだ残っていそうです。
冨田家のおたのしみ
■こどもも一緒に家族で楽しめるカードゲーム
■食事を楽しんだあとはクリスマスケーキ
■家族みんなでプレゼント交換
今年、少し早いクリスマスに冨田さんがもらったもの――娘さんからは犬のイラストが描かれたメモ帳、奥様からはハンドタオル。
そして、家族で過ごす楽しいひとときだったようです。
今回ご紹介したレシピ
チューリップ唐揚げ
サーモンのゆずマリネ
野菜スティックサラダ
自家製ミートソース
かぼちゃのポタージュ
料理研究家・冨田ただすけ
大学卒業後、食品メーカー勤務や日本料理店での修業を経て2013年に料理研究家として独立。
忙しい現代の家庭環境のなかでも、作り手の心のこもった、素朴で体にしみ込むような家庭料理を大切にしてほしいという思いから、家で作りやすい和食レシピを考案し、届けている。和食レシピサイト「白ごはん.com」運営。近著に『2皿で完結!和のラクうま定食』『冨田ただすけの和定食』などがある。
【iittala】(バゲット皿)Teema プレート21cmドッテドグレー/Kivi キャンドルホルダー ブラウン、オリーブ
【Rorstrand】(取り皿)Ostindia Floris プレート20cm
【TIME & STYLE】(白ワイン)RAISIN glass シャルドネ/(シャンメリー)AYEワイン
【graf】(ポタージュ)Sunao カトラリー スープスプーン
【東屋】(サーモンマリネの工程にて)ジューサー/チーズボード(小)、チーズナイフ
【木屋】打ち出しフライパン260mm
冷蔵で5日、冷凍で1ヶ月ほど日持ちするミートソースは、前日に限らず用意しておきやすいメニュー。みじん切りにした玉ねぎとにんじん、にんにくを炒めて合挽き肉を加えます。合挽き肉は、塊が少し残る程度軽めにほぐすと食べ応えアップ。塩こしょうで下味をつけたら小麦粉を全体にふり、軽く混ぜ合わせます。