年末年始の慌しい毎日に「お疲れさま!」心休まる和食の献立はいかがですか?
調理中に立つ、心をほぐすような出汁の香りや、煮炊きしている間のゆったりとしたひと時…。そんなリフレッシュを叶えながら、疲れた胃にもやさしく染み入る、まさに“今”食べたい和食の献立を、料理研究家の冨田ただすけさんが考えてくれました。
引き続き、冬真っ盛り。今回用意した「旬の食材」は?
野菜類(水菜、れんこん、長芋、長ねぎ)
黒豆よりも時短で簡単!黒千石大豆
黒千石(くろせんごく)大豆は、一般的な黒豆に比べて粒が極小の品種です。数年前に、その栄養価の高さで注目されたのでご存知の方も多いのでは。身近なスーパーで見つけられないときは、ちょっと“こだわりの品揃え”の食料品店を探してみて。
冨田さんが考えてくれた「本日の献立(おしながき)」
【主食】きつねうどん
【副菜】水菜の漬物
【副菜】酢れんこん
【副菜】長芋の煮物
【副菜】長ねぎのマリネ
【副菜】黒千石大豆の甘煮
調理しながら一年を振り返る。ひとつひとつの工程を丁寧に。
先のことを見越して…だし汁はまとめてとっておく
今回の献立ではだし汁を使うレシピが「長芋の煮物」「きつねうどんのあげ」「うどんつゆ」と三品あります。それぞれの分量を計算してまとめてとっておくと効率的。うどんつゆは雑節の方が旨味やコクが強まりますが、すべてのだし汁をベーシックな「昆布とかつお節」のだしにしてもOK。
ちょっとした工夫で変わる…野菜の切り方のポイント
一般的な酢れんこんは薄く切られていることが多いですが、おかずや酒の肴にするなら少し厚めにして食べ応えを出しましょう。長ねぎの白い部分は、切り落とす前に浅く切り込みをいれてあげると、マリネ液がよく染み込み、噛みやすくもなります。
基本をおさらいすることも大切…改めて浅漬けを美味しく作る
今回、水菜の浅漬けはジップロックを使い、バットに広げて漬け込む方法で作りますが、そのままだと塩や昆布がよく混ざらないのでボウルで混ぜてから袋に入れます。野菜や漬け込むものによって、浅漬けの方法もいろいろ。食材に対する塩の分量はきちんと把握していますか?この機会に浅漬けの基本をおさらいしてみるのも良いかも知れませんね。
手間と時間を惜しまない…美味しく仕上げるコツ
長芋は味をしっかり染みこませるため、一度煮汁ごと完全に冷ますことが必須。黒千石大豆は沸いたらアクが出てくるので、丁寧に取り除きましょう。水で戻したり、味が染みるまで寝かせたり…美味しさを得るには、ときには手間も時間も必要なんですね。
備えておけば安心…「冬の常備菜」の保存について
あると毎日の食卓が充実する「常備菜」。今回の5品それぞれの保存期間の目安も気になりますよね。長く日持ちするものは前々から作っておくとラクかも知れません。
■酢れんこん…1週間~10日
■長芋の煮物…3日ほど
■長ねぎのマリネ…1週間ほど
■黒千石大豆の甘煮…(冷蔵)1週間ほど、(冷凍)1ヶ月ほど
自分でもできるんだ!…ふっくらジューシーな「おあげ」
お店で食べるような、甘い出汁がしみしみのジューシーなおあげ。実はだし汁さえあれば、簡単に家庭でも作れるんです。冷凍保存も出来るので、作り置きしておけばいつでも手軽に“お店のきつねうどん”が食べられます。フライパンで両面を焼けば、お酒のおつまみとしても絶品です。
最後まで抜かりなく…盛り付けのポイント
副菜5品のうち、オイルを使った「長ねぎのマリネ」と、煮汁の色が濃く味が甘めの「黒千石大豆の甘煮」は、それぞれ別のうつわに。
残りは一つのうつわに3点盛りにしても良いですが、盛り付けの際に気をつけたいのが「汁気」「色合い」「高さ」です。キッチンペーパーなどで汁気を軽くとり、色のバランスを考える。そして、平べったくならないように、高さを出して盛り付けると、こなれた雰囲気になります。
頑張った自分へのご褒美…おあげ載せ放題!
おうちで作る「きつねうどん」の最大の魅力は、ジューシーなおあげを好きなだけ載せることができることかも!?。毎日頑張っている自分への、ささやかなご褒美としていかがですか…?
さぁ!うどんがアツアツのうちに「いただきます!」
今の時期の疲れた胃にやさしく寄り添い、お正月のハレ気分も味わえる。冨田さんが提案してくれた、そんな新鮮さのある献立を、是非参考にしてみてくださいね。
※おあげは煮汁をたっぷり吸っているので、アツアツを食べるときはやけどに注意してくださいね
今回ご紹介したレシピ
きつねうどん
水菜の漬物
酢れんこん
長芋の煮物
長ねぎのマリネ
黒千石大豆の甘煮
料理研究家・冨田ただすけ
大学卒業後、食品メーカー勤務や日本料理店での修業を経て2013年に料理研究家として独立。
忙しい現代の家庭環境のなかでも、作り手の心のこもった、素朴で体にしみ込むような家庭料理を大切にしてほしいという思いから、家で作りやすい和食レシピを考案し、届けている。和食レシピサイト「白ごはん.com」運営。近著に『2皿で完結!和のラクうま定食』『冨田ただすけの和定食』などがある。
水菜は冬の青菜の代表格。旬の長ねぎは甘みが強く、鍋物から薬味まで冬の食卓には欠かせない野菜です。根菜類は今の時季に旬を迎えるものが多いですが、今回は「見通しがきく」と、縁起物でもあるれんこんと、消化の良い食材として知られる長芋を用意。