“季節”を美味しくいただこう。旬の食材を使った「和食の献立」はいかがですか?
そんな冨田さんの連載企画がキナリノで始まりました!連載のテーマは、ずばり『旬の献立』。“今”が美味しい食材をたっぷり使った、一汁三菜をベースにした献立を毎月一回お届けします。
毎日献立を考えるのは大変なもの…ぜひ、参考にして旬の味覚を楽しんでくださいね。
小雪の候。今回用意した「旬の食材」は?
ぶり(あら)
冬野菜(大根、ごぼう、白菜、ねぎ)、そして黄柚子
今回用意した冬野菜は、とても身近な食材ばかり。店頭で一年中見かけるものもありますが、たくさん出回る旬の時期は、美味しさはもちろん、栄養価も高いので積極的に食べたいですね。熟して黄色くなった柚子は、冬の到来を教えてくれる風物詩。鮮やかなイエローは、使い方次第で料理のアクセントとしても映えます。
冨田さんが考えてくれた「本日の献立(おしながき)」
【主菜】ぶり大根
【副菜】たたきごぼう
【副菜】白菜の浅漬け
【汁物】根深汁
【主食】白ごはん(鍋炊き)
「昔ながらの和の献立」は難しそう?実は作りやすいものばかりです。
野菜の下ごしらえ
いつもは脇役になりがちな「ねぎ」が、今日のお味噌汁の主役!太めのものを選んでザクザクと大きめにカットします。大根は厚めに皮をむくことで味がしみこみやすく、口当たりもやさしくなります。剥いた皮は「ポン酢漬け」にして、無駄にせず美味しくいただいちゃいましょう。
その名のとおり、「ごぼう」はたたく!
ごぼうは縦に割り、すりこ木などを使って、ところどころ繊維をつぶすようにたたきます。このひと手間が、味を馴染みやすくさせる大事なポイント!だから「たたきごぼう」なんですね。胡麻を粗めにすって調味料と混ぜ合わせ、軽くゆでたごぼうと和えれば完成。すり鉢&すりこ木コンビが大活躍です。
20年近く作り続けているレシピは、とても“シンプル”
「ぶり大根」は冨田さんが大学生のころから作り続けている定番レシピ。ご家族にも大好評の一品だそうです。ポイントは、ぶりのあらを湯通しした後に丁寧に洗うこと!少々面倒ですが、無駄な下処理などありません。きっと美味しく仕上がると信じて行いましょう。
食材は大根とぶりのみで、大根は下ゆでしないでそのままぶりと炊いていきます。作り方も調味料もとてもシンプルなので、初心者でも気軽にチャレンジできそうです。
仕上げに、風味と香り、季節の彩を添えて
ぶり大根が炊き上がったら、ゆずの皮をおろして、ふりかけます。黄柚子がなければ、もちろんそのままでも十分ですが、こうすることで風味もワンランクアップの仕上がりに。ちなみに、おろし金を使うときに便利な「薬味寄せ」は、冨田さんが最近お気に入りのキッチン道具のひとつだそう。
皮だけじゃない。ゆずの果汁もたっぷり活用
塩と昆布でシンプルに浅漬けした白菜(前日から漬けておいても◎)。実は、ゆずととても相性が良いんです。ぶり大根では皮を使うので、余った果汁は白菜の浅漬けに活かしましょう。食べる前にジュッとしぼるだけで、さらに美味しくなりますよ。
副菜の盛り付けは、まとめてもOK
好きな豆皿をちょこちょこと組み合わせて、テーブルコーディーネートを楽しめることも、和食の魅力のひとつ。でも、今回のように同じ酸味のある副菜同士なら、ひとつの器にまとめてしまうのもアリだそうです。意外と自由なんですね。
ゴロっとしたねぎの甘みをたっぷりと
お味噌汁の具は、ねぎと大きさを揃えてカットした油あげのみ。シンプルだけどベストな組み合わせですね。これほど大きめにカットしたねぎをお味噌汁に使えるのは、ねぎの甘みが強くなる “今”だから。お好みで、一味唐辛子をふりかけてピリリと仕上げてもおすすめです。
せっかくだから、「鍋炊きごはん」にしてみませんか?
シンプルで素朴な「昔ながらの和食」を丁寧に作ってみるなら、炊飯器ではなく、お鍋でごはんを炊いてみませんか?鍋炊きごはんの“マエストロ”である冨田さんが今回選んだ鍋は、古き良き昭和の時代に、庶民の暮らしを支えてきた「文化鍋」。ノスタルジックなムードだけでなく、お鍋で炊いたご飯は、ひと味違います。
食事の用意ができました。「いただきます!」
うちの魚料理でいちばん好き――そう、ご家族に言われるほど愛されている、冨田さんの「ぶり大根」。明日の夕飯にいかがですか?
今回ご紹介したレシピ
ぶり大根
たたきごぼう
白菜の浅漬け
根深汁
鍋炊きごはん
料理研究家・冨田ただすけ
大学卒業後、食品メーカー勤務や日本料理店での修業を経て2013年に料理研究家として独立。
忙しい現代の家庭環境のなかでも、作り手の心のこもった、素朴で体にしみ込むような家庭料理を大切にしてほしいという思いから、家で作りやすい和食レシピを考案し、届けている。和食レシピサイト「白ごはん.com」運営。近著に『冨田ただすけの和定食』『雪平鍋ひとつでラクうま和食』などがある。
【東屋】伊賀 飯碗/伊賀 丸湯呑/光春 海鼠釉 皿/印判箸置撰集/木箸/醤油差し/六寸皿 印判鳥獣五画(scope別注)/印判豆皿(scope別注)
【木屋】薬味寄せ
【TIME & STYLE】TSUBAKI 端反椀
冬の味覚を代表する魚のひとつ「鰤(ぶり)」。旬のぶりは脂がのって美味しく、刺身、煮付け、照り焼きetc.いろいろな食べ方で楽しめます。今回は、切り身ではなく「あら」を用意。スーパーなどでも手軽に手に入り、どっしりたっぷりなのに、お手頃価格。賢い主婦から人気の食材ですね。