冨田ただすけさんの「旬の献立」
【連載】冨田ただすけさんの「旬の献立」 
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冨田ただすけさんの「旬の献立」
Vol.2-素朴な庶民食『きつねうどん』と、冬の常備菜

献立作成・調理・写真:冨田ただすけ(白ごはん.com) 文:キナリノ編集部

旬の食材を使った和食の献立を紹介する、料理研究家・冨田ただすけさんの『旬の献立』。連載第二回目は、年末年始のイベントで身も心も疲れ気味…そんな時に、ほっと一息つけるような、日本を代表する庶民食が登場します。併せて、旬の野菜類を使った、毎日の食卓で活躍する「冬の常備菜」もたっぷり5品ご紹介。忙しい時期だからこそ、たまには丁寧に和食を作ってみるのも、きっと良い気分転換になるのでは。一年を振り返りながら、また、新しい年に期待しながら食べたい“縁起物”も取り入れた今回の献立。じっくりと、ご賞味ください。

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2016年12月26日作成

年末年始の慌しい毎日に「お疲れさま!」心休まる和食の献立はいかがですか?

【連載】冨田ただすけさんの「旬の献立」 
Vol.2-素朴な庶民食『きつねうどん』と、冬の常備菜
忘年会にクリスマス、そしてお正月の準備と、日本の12月は誰もが大忙し。慌しい毎日の中で、ふと一息つきたくなったときに「丁寧に和食を作る」という時間を持ってみてはいかがでしょうか。

調理中に立つ、心をほぐすような出汁の香りや、煮炊きしている間のゆったりとしたひと時…。そんなリフレッシュを叶えながら、疲れた胃にもやさしく染み入る、まさに“今”食べたい和食の献立を、料理研究家の冨田ただすけさんが考えてくれました。

引き続き、冬真っ盛り。今回用意した「旬の食材」は?

一年でもっとも夜が長い日とされる冬至を迎え、引き続き季節は冬真っ盛り。今回は「冬の常備菜」として、そして“新しい年の始まりに似合う”という意味で旬の食材を用意しました。

野菜類(水菜、れんこん、長芋、長ねぎ)

水菜は冬の青菜の代表格。旬の長ねぎは甘みが強く、鍋物から薬味まで冬の食卓には欠かせない野菜です。根菜類は今の時季に旬を迎えるものが多いですが、今回は「見通しがきく」と、縁起物でもあるれんこんと、消化の良い食材として知られる長芋を用意。

水菜は冬の青菜の代表格。旬の長ねぎは甘みが強く、鍋物から薬味まで冬の食卓には欠かせない野菜です。根菜類は今の時季に旬を迎えるものが多いですが、今回は「見通しがきく」と、縁起物でもあるれんこんと、消化の良い食材として知られる長芋を用意。

黒豆よりも時短で簡単!黒千石大豆

黒千石(くろせんごく)大豆は、一般的な黒豆に比べて粒が極小の品種です。数年前に、その栄養価の高さで注目されたのでご存知の方も多いのでは。身近なスーパーで見つけられないときは、ちょっと“こだわりの品揃え”の食料品店を探してみて。

黒千石(くろせんごく)大豆は、一般的な黒豆に比べて粒が極小の品種です。数年前に、その栄養価の高さで注目されたのでご存知の方も多いのでは。身近なスーパーで見つけられないときは、ちょっと“こだわりの品揃え”の食料品店を探してみて。

冨田さんが考えてくれた「本日の献立(おしながき)」

ふとしたときに作りたくなるような素朴さもありながら、年末年始のこの時期ならではのエッセンスも取り入れた献立を、今回もキナリノ読者のために冨田さんが考案。副菜は豪華に5品用意しましたが、すべて揃える必要もなく、準備できるものだけでも十分です。

【主食】きつねうどん

うどんは古くから日本全国で食べられてきた代表的な庶民食。甘く煮たジューシーなおあげの、ほっこりとした味わいは、きっと誰もが好きなはず。

【副菜】水菜の漬物

鮮やかな緑色は、地味に見えがちな冬の食卓のアクセントにもなってくれます。

【副菜】酢れんこん

手作りすると、思わず「こんなに美味しいの?」と驚いてしまうほど、市販のお弁当に入っているものとは食感や風味がまったく違います。冨田さんの娘さん(小学三年生)も大好きなレシピ。

【副菜】長芋の煮物

生だとシャキシャキ食感の長芋も、煮物にするとホクホクとした“お芋感”が楽しめます。おせち料理にもおすすめ◎

【副菜】長ねぎのマリネ

ねぎを買う機会の多い冬。余ったときに是非作ってみたい一品。少し洋風の味付けで肉料理の添え物や、サラダなどにもアレンジ可能な万能常備菜です。

【副菜】黒千石大豆の甘煮

黒豆よりも短時間で簡単に煮れる黒千石大豆は、柔らかく炊くよりも少し食感が残るくらいの硬さで炊きます。もちろん、おせちにもぴったり。冨田家ではヨーグルトのトッピングとしても人気の定番レシピです。

調理しながら一年を振り返る。ひとつひとつの工程を丁寧に。

気がつけばあっという間に過ぎていった一年。じっくり丁寧に和食を作りながら、振り返ってみてはいかがですか?

先のことを見越して…だし汁はまとめてとっておく

今回の献立ではだし汁を使うレシピが「長芋の煮物」「きつねうどんのあげ」「うどんつゆ」と三品あります。それぞれの分量を計算してまとめてとっておくと効率的。うどんつゆは雑節の方が旨味やコクが強まりますが、すべてのだし汁をベーシックな「昆布とかつお節」のだしにしてもOK。

今回の献立ではだし汁を使うレシピが「長芋の煮物」「きつねうどんのあげ」「うどんつゆ」と三品あります。それぞれの分量を計算してまとめてとっておくと効率的。うどんつゆは雑節の方が旨味やコクが強まりますが、すべてのだし汁をベーシックな「昆布とかつお節」のだしにしてもOK。

昆布とかつお節のだしのとり方

ちょっとした工夫で変わる…野菜の切り方のポイント

一般的な酢れんこんは薄く切られていることが多いですが、おかずや酒の肴にするなら少し厚めにして食べ応えを出しましょう。長ねぎの白い部分は、切り落とす前に浅く切り込みをいれてあげると、マリネ液がよく染み込み、噛みやすくもなります。

一般的な酢れんこんは薄く切られていることが多いですが、おかずや酒の肴にするなら少し厚めにして食べ応えを出しましょう。長ねぎの白い部分は、切り落とす前に浅く切り込みをいれてあげると、マリネ液がよく染み込み、噛みやすくもなります。

基本をおさらいすることも大切…改めて浅漬けを美味しく作る

今回、水菜の浅漬けはジップロックを使い、バットに広げて漬け込む方法で作りますが、そのままだと塩や昆布がよく混ざらないのでボウルで混ぜてから袋に入れます。野菜や漬け込むものによって、浅漬けの方法もいろいろ。食材に対する塩の分量はきちんと把握していますか?この機会に浅漬けの基本をおさらいしてみるのも良いかも知れませんね。

今回、水菜の浅漬けはジップロックを使い、バットに広げて漬け込む方法で作りますが、そのままだと塩や昆布がよく混ざらないのでボウルで混ぜてから袋に入れます。野菜や漬け込むものによって、浅漬けの方法もいろいろ。食材に対する塩の分量はきちんと把握していますか?この機会に浅漬けの基本をおさらいしてみるのも良いかも知れませんね。

基本の浅漬けの作り方

手間と時間を惜しまない…美味しく仕上げるコツ

長芋は味をしっかり染みこませるため、一度煮汁ごと完全に冷ますことが必須。黒千石大豆は沸いたらアクが出てくるので、丁寧に取り除きましょう。水で戻したり、味が染みるまで寝かせたり…美味しさを得るには、ときには手間も時間も必要なんですね。

長芋は味をしっかり染みこませるため、一度煮汁ごと完全に冷ますことが必須。黒千石大豆は沸いたらアクが出てくるので、丁寧に取り除きましょう。水で戻したり、味が染みるまで寝かせたり…美味しさを得るには、ときには手間も時間も必要なんですね。

備えておけば安心…「冬の常備菜」の保存について

あると毎日の食卓が充実する「常備菜」。今回の5品それぞれの保存期間の目安も気になりますよね。長く日持ちするものは前々から作っておくとラクかも知れません。

あると毎日の食卓が充実する「常備菜」。今回の5品それぞれの保存期間の目安も気になりますよね。長く日持ちするものは前々から作っておくとラクかも知れません。

■水菜の漬物…2~3日
■酢れんこん…1週間~10日
■長芋の煮物…3日ほど
■長ねぎのマリネ…1週間ほど
■黒千石大豆の甘煮…(冷蔵)1週間ほど、(冷凍)1ヶ月ほど

自分でもできるんだ!…ふっくらジューシーな「おあげ」

お店で食べるような、甘い出汁がしみしみのジューシーなおあげ。実はだし汁さえあれば、簡単に家庭でも作れるんです。冷凍保存も出来るので、作り置きしておけばいつでも手軽に“お店のきつねうどん”が食べられます。フライパンで両面を焼けば、お酒のおつまみとしても絶品です。

お店で食べるような、甘い出汁がしみしみのジューシーなおあげ。実はだし汁さえあれば、簡単に家庭でも作れるんです。冷凍保存も出来るので、作り置きしておけばいつでも手軽に“お店のきつねうどん”が食べられます。フライパンで両面を焼けば、お酒のおつまみとしても絶品です。

最後まで抜かりなく…盛り付けのポイント

副菜5品のうち、オイルを使った「長ねぎのマリネ」と、煮汁の色が濃く味が甘めの「黒千石大豆の甘煮」は、それぞれ別のうつわに。

残りは一つのうつわに3点盛りにしても良いですが、盛り付けの際に気をつけたいのが「汁気」「色合い」「高さ」です。キッチンペーパーなどで汁気を軽くとり、色のバランスを考える。そして、平べったくならないように、高さを出して盛り付けると、こなれた雰囲気になります。

副菜5品のうち、オイルを使った「長ねぎのマリネ」と、煮汁の色が濃く味が甘めの「黒千石大豆の甘煮」は、それぞれ別のうつわに。

残りは一つのうつわに3点盛りにしても良いですが、盛り付けの際に気をつけたいのが「汁気」「色合い」「高さ」です。キッチンペーパーなどで汁気を軽くとり、色のバランスを考える。そして、平べったくならないように、高さを出して盛り付けると、こなれた雰囲気になります。

頑張った自分へのご褒美…おあげ載せ放題!

おうちで作る「きつねうどん」の最大の魅力は、ジューシーなおあげを好きなだけ載せることができることかも!?。毎日頑張っている自分への、ささやかなご褒美としていかがですか…?

おうちで作る「きつねうどん」の最大の魅力は、ジューシーなおあげを好きなだけ載せることができることかも!?。毎日頑張っている自分への、ささやかなご褒美としていかがですか…?

さぁ!うどんがアツアツのうちに「いただきます!」

【連載】冨田ただすけさんの「旬の献立」 
Vol.2-素朴な庶民食『きつねうどん』と、冬の常備菜
普段なら一品だけで済ませてしまいそうな「うどん」。そこにシャキシャキ、ホクホクといった食感や、酸味や甘みなど様々な味わいの常備菜が加わると、とても満足な食卓が楽しめます。

今の時期の疲れた胃にやさしく寄り添い、お正月のハレ気分も味わえる。冨田さんが提案してくれた、そんな新鮮さのある献立を、是非参考にしてみてくださいね。

※おあげは煮汁をたっぷり吸っているので、アツアツを食べるときはやけどに注意してくださいね

今回ご紹介したレシピ

きつねうどん

【連載】冨田ただすけさんの「旬の献立」 
Vol.2-素朴な庶民食『きつねうどん』と、冬の常備菜
きつねうどんの作り方

水菜の漬物

【連載】冨田ただすけさんの「旬の献立」 
Vol.2-素朴な庶民食『きつねうどん』と、冬の常備菜
水菜の漬物の作り方

酢れんこん

【連載】冨田ただすけさんの「旬の献立」 
Vol.2-素朴な庶民食『きつねうどん』と、冬の常備菜
酢れんこんの作り方

長芋の煮物

【連載】冨田ただすけさんの「旬の献立」 
Vol.2-素朴な庶民食『きつねうどん』と、冬の常備菜
長芋の煮物の作り方

長ねぎのマリネ

【連載】冨田ただすけさんの「旬の献立」 
Vol.2-素朴な庶民食『きつねうどん』と、冬の常備菜
長ねぎのマリネの作り方

黒千石大豆の甘煮

【連載】冨田ただすけさんの「旬の献立」 
Vol.2-素朴な庶民食『きつねうどん』と、冬の常備菜
黒千石大豆の甘煮の作り方

料理研究家・冨田ただすけ

大学卒業後、食品メーカー勤務や日本料理店での修業を経て2013年に料理研究家として独立。
忙しい現代の家庭環境のなかでも、作り手の心のこもった、素朴で体にしみ込むような家庭料理を大切にしてほしいという思いから、家で作りやすい和食レシピを考案し、届けている。和食レシピサイト「白ごはん.com」運営。近著に『2皿で完結!和のラクうま定食』『冨田ただすけの和定食』などがある。

大学卒業後、食品メーカー勤務や日本料理店での修業を経て2013年に料理研究家として独立。
忙しい現代の家庭環境のなかでも、作り手の心のこもった、素朴で体にしみ込むような家庭料理を大切にしてほしいという思いから、家で作りやすい和食レシピを考案し、届けている。和食レシピサイト「白ごはん.com」運営。近著に『2皿で完結!和のラクうま定食』『冨田ただすけの和定食』などがある。

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