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前編では、単なる実用品ではない「歴史を紡ぐことができる服」のお話を中心に、それぞれの洋服と丁寧に向き合うおしゃれ観を伺いました。
一方で、旅行に出かける機会が多いエマさん。特に「実用性」「機能性」を求められる場面ではどんな服を選んでいるのでしょう?
一方で、旅行に出かける機会が多いエマさん。特に「実用性」「機能性」を求められる場面ではどんな服を選んでいるのでしょう?
旅行でのおしゃれ
「旅行ではできるだけ荷物を持って行きたくないので、枚数を絞ってとにかく着回します。ただ、限られた服の中でも、自分のテンションが楽しくなるような服が着たいと思っています。」
着回しが得意というエマさんは、快適で動きやすいけれど自分らしくいられる服装を心がけています。
旅行中でも“自分らしさ”を大事にするのには理由がありました。
「旅行先って初めての人に出会う場所でもありますよね。服は人を表すものでもあるのから、自分らしくいたいです。例えば、カジュアルなコーディネートだとしても大好きな赤い色を取り入れるとか、フリルがついたものをTシャツの上に羽織るなど、少しの工夫で結構楽しめます。」
旅行先で何をするかと同じくらい重要なのは“誰と会うか”。
足元はスニーカーでとことん歩きやすくするけれど、洋服では自分らしいエッセンスを入れるようにしているそうです。
旅行中でも“自分らしさ”を大事にするのには理由がありました。
「旅行先って初めての人に出会う場所でもありますよね。服は人を表すものでもあるのから、自分らしくいたいです。例えば、カジュアルなコーディネートだとしても大好きな赤い色を取り入れるとか、フリルがついたものをTシャツの上に羽織るなど、少しの工夫で結構楽しめます。」
旅行先で何をするかと同じくらい重要なのは“誰と会うか”。
足元はスニーカーでとことん歩きやすくするけれど、洋服では自分らしいエッセンスを入れるようにしているそうです。
バランスの取り方
子どもの頃からずっと好きな洋服やテイストが変わらないエマさん。流行を取り入れることは得意ですか?
「流行のもの、苦手ですね。もちろんいいなと思うものもありますけど、〈どうしてこれがいいのでしょうか?〉など、いろいろ疑問を持ってしまうことも多いので。それよりも、自分の今の気分や生活に合うものの方が重要だし、しっくりくるんです。」
「流行のもの、苦手ですね。もちろんいいなと思うものもありますけど、〈どうしてこれがいいのでしょうか?〉など、いろいろ疑問を持ってしまうことも多いので。それよりも、自分の今の気分や生活に合うものの方が重要だし、しっくりくるんです。」
エマさんが好きなのは、レースやフリル、Aラインなどのいわゆる「甘い服」。
好きなものはずっと変わらないけれど、それをそのまま着れるのは子どものうちだけ、ということも考えているそうです。
大人として甘い服を着る時に、心がけていることがあります。
「甘い服を着るときはちょっとメンズライクなものやハードなアイテムなどを取り入れて、甘くない部分を作ろうと思っています。例えば生成りの『iai』のワンピースには黒のローファーでマニッシュな感じを出すとか、黒いワンピースは『ドクターマーチン』を合わせる、など。甘くなりすぎないようにバランスを取るのが自分の中でポリシーになっているかもしれません。」
流行は気にしないけれど、好きな服を着るためにバランスをとる。
それは、世間や周りの目を気にすることとは、少し違うようです。
好きなものはずっと変わらないけれど、それをそのまま着れるのは子どものうちだけ、ということも考えているそうです。
大人として甘い服を着る時に、心がけていることがあります。
「甘い服を着るときはちょっとメンズライクなものやハードなアイテムなどを取り入れて、甘くない部分を作ろうと思っています。例えば生成りの『iai』のワンピースには黒のローファーでマニッシュな感じを出すとか、黒いワンピースは『ドクターマーチン』を合わせる、など。甘くなりすぎないようにバランスを取るのが自分の中でポリシーになっているかもしれません。」
流行は気にしないけれど、好きな服を着るためにバランスをとる。
それは、世間や周りの目を気にすることとは、少し違うようです。
今の東京に馴染む服
「わたしのおしゃれの趣味はちょっと浮世離れしているのかもしれないけど、自分なりに今の東京に馴染むように服を着ているつもりです。」
自分が好きな服、似合う服を着るだけではない。
“今の東京”に馴染むという俯瞰する視点はどこから来たのでしょう。
自分が好きな服、似合う服を着るだけではない。
“今の東京”に馴染むという俯瞰する視点はどこから来たのでしょう。
「その場所や空気に存在する自分を想像して服を着ています。ただ単にかわいい服を着るのはちょっと違うかな、と。服を着ることって、風景の中に自分が存在することだと思います。座ったり歩いたり、いろんな動作もする。そんな中で、楽しい時間を誰かと共有できるようなおしゃれをしたいと思っています。」
「誰とどんな1日を過ごすか」によって装いを変えるのは、子どもの頃に大好きだった絵本やぬりえから影響を受けたのでしょうか?
「つながっているかもしれないです。今もシチュエーションによって服を変えたりするのが好き。漫画『カードキャプターさくら』のさくらちゃんのように、変身してパワーをもらうような感じもあります。」
「誰とどんな1日を過ごすか」によって装いを変えるのは、子どもの頃に大好きだった絵本やぬりえから影響を受けたのでしょうか?
「つながっているかもしれないです。今もシチュエーションによって服を変えたりするのが好き。漫画『カードキャプターさくら』のさくらちゃんのように、変身してパワーをもらうような感じもあります。」
特別な日の、とっておきアイテム
とっておきアイテムとして持ってきていただいたのは、美しい靴たち。
中でも、写真中央の『LANVIN(ランバン)』のヒールにはひときわ思い入れがあります。
中でも、写真中央の『LANVIN(ランバン)』のヒールにはひときわ思い入れがあります。
「祖母からもらいました。普段は歩きやすい靴しか履かないから、ヒールを履くのは特別な日。だからこそ、良いものを大事に長く履きたいなと思っています。」
「『LANVIN』の靴はいつ自分が履くのだろうとすごく考えています。結構前に譲ってもらったのですが、実はまだ一度も履いていないので。今考えているのは、今年の秋に幼馴染みの大親友の結婚式があるので、そのときかなと思っています。」
長く着られて、本当に好きなものしか持ちたくないというエマさんにとって、”一度も身につけていない”ものを持っているのはとても珍しいこと。
「基本がケチなので、無駄な買い物したくないんですよ(笑)。わたしも人間だから失敗もありますけど、やっぱり買わなければよかったっていうのはなるべくしたくないんです。本当に気に入ったものしか持ちたくないから、着ない服を持っている、ということがほとんどない。だから、使っていないのに大切に持っているアイテムがあること自体が自分にとって不思議な感覚ですし、履くときのことを思うとワクワクします。」
好きなものが変わらないエマさんは物持ちがすごく良さそうです。
「雑だしズボラなので、そんなこともないですけどね(笑)。でも、直したりして、ずっと着ています。」
「雑でズボラ」といいながらも、撮影のために持ってきたワンピースは自身の手で素早くきれいにアイロンがかけられていました。
短時間できれいにアイロンがかけられるのは、普段から手入れを丁寧にしているからでしょうね。
長く着られて、本当に好きなものしか持ちたくないというエマさんにとって、”一度も身につけていない”ものを持っているのはとても珍しいこと。
「基本がケチなので、無駄な買い物したくないんですよ(笑)。わたしも人間だから失敗もありますけど、やっぱり買わなければよかったっていうのはなるべくしたくないんです。本当に気に入ったものしか持ちたくないから、着ない服を持っている、ということがほとんどない。だから、使っていないのに大切に持っているアイテムがあること自体が自分にとって不思議な感覚ですし、履くときのことを思うとワクワクします。」
好きなものが変わらないエマさんは物持ちがすごく良さそうです。
「雑だしズボラなので、そんなこともないですけどね(笑)。でも、直したりして、ずっと着ています。」
「雑でズボラ」といいながらも、撮影のために持ってきたワンピースは自身の手で素早くきれいにアイロンがかけられていました。
短時間できれいにアイロンがかけられるのは、普段から手入れを丁寧にしているからでしょうね。
年齢とおしゃれ
今年27歳になるエマさんも、年齢を重ねるということを意識しているそうです。
「今のわたしはすごく中途半端な年齢だなと思っています。良いものを手に入れたいけど、それが似合う年齢なのかは微妙だな、と。コーディネートで着た黒いワンピースは『アーツ&サイエンス』のものなのですが、このブランドはずっと着られる大人のための服。今の自分にはちょっと早いなとも思うので、パニエや付け衿などちょっと甘くて幼いアイテムを合わせて着るなどの工夫をしています。」
「今のわたしはすごく中途半端な年齢だなと思っています。良いものを手に入れたいけど、それが似合う年齢なのかは微妙だな、と。コーディネートで着た黒いワンピースは『アーツ&サイエンス』のものなのですが、このブランドはずっと着られる大人のための服。今の自分にはちょっと早いなとも思うので、パニエや付け衿などちょっと甘くて幼いアイテムを合わせて着るなどの工夫をしています。」
「幼なすぎてももう似合わないし、かといって背伸びしすぎても違う。良いものを愛着を持って長く着たいので、合わせるアイテムで今の自分に合う感じを考えてコーディネートしたいと思っています。黒いワンピースは、これから歳を重ねるとアクセサリーをつけないで着れるようになるかもしれないし、逆にもっと合わせる小物が増えていくのかもしれない。どう変化していくのだろうと楽しみに思いながら着ています。」
安いものを着る年齢でもないけれど、高くて良いものばかりではなんだか落ち着かない。
20代後半から30代にかけての時期は、女性にとって悩ましいものかもしれません。
エマさんも年齢のことは意識しつつも、世間がいう「○○歳にふさわしい服装」などの基準とは少し違うところを見ているような気がします。
「世間の目とかわからないですよ。ボンネットも、普通の大人はかぶらないらしくてみんなにびっくりされます。(笑)大きいリボンとかを髪につけたくなるんですけど、それもあまり普通ではないみたいですね。自分が好きなものを好きに着たい。でも、周りにいる人が嫌な気持ちになるのはちょっと違うなと思うので、自分も周りも楽しい気分になれる服を着たいと思っています。」
20代後半から30代にかけての時期は、女性にとって悩ましいものかもしれません。
エマさんも年齢のことは意識しつつも、世間がいう「○○歳にふさわしい服装」などの基準とは少し違うところを見ているような気がします。
「世間の目とかわからないですよ。ボンネットも、普通の大人はかぶらないらしくてみんなにびっくりされます。(笑)大きいリボンとかを髪につけたくなるんですけど、それもあまり普通ではないみたいですね。自分が好きなものを好きに着たい。でも、周りにいる人が嫌な気持ちになるのはちょっと違うなと思うので、自分も周りも楽しい気分になれる服を着たいと思っています。」
かぎ針で編んだボンネット。素材や色を変えてたくさん編んだそう。
好きな服装を貫きつつも、“歴史を紡ぐことができる服”“今の東京に馴染む服”などの自分を俯瞰する目線を持っている前田エマさん。
変わらないことと、変わっていくもの。
自身の芯はぶれないけれど、時の流れや街の変化によって化学変化を起こしていきそう。
彼女はこれから洋服とどんな物語を作っていくのでしょうか。
(取材・文/金美里)
変わらないことと、変わっていくもの。
自身の芯はぶれないけれど、時の流れや街の変化によって化学変化を起こしていきそう。
彼女はこれから洋服とどんな物語を作っていくのでしょうか。
(取材・文/金美里)
前田エマ(モデル)
1992年、神奈川県生まれ。東京造形大学卒業。オーストリア ウィーン芸術アカデミーに留学経験を持つ。
雑誌や広告のモデルをはじめ、エッセイ、写真、ペインティング、朗読、ナレーションなど、様々な分野で活動中。
現在は雑誌・ウェブの連載でエッセイを執筆中。ラジオパーソナリティにも挑戦している。
雑誌や広告のモデルをはじめ、エッセイ、写真、ペインティング、朗読、ナレーションなど、様々な分野で活動中。
現在は雑誌・ウェブの連載でエッセイを執筆中。ラジオパーソナリティにも挑戦している。
叔母さまから受け継いだロマンティックなワンピースに、コートやキャップ、スニーカーでボーイッシュなエッセンスを加えたミックスコーデ。