素敵な人に聞いた「おしゃれ」のあれこれ
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素敵な人に聞いた「おしゃれ」のあれこれ vol.13-ファッションデザイナー 米田有希さん

写真:松木宏祐 ヘアメイク:草場妙子 文:キナリノ編集部

「素敵なあの人は、なんでおしゃれなんだろう?」――この疑問をご本人にぶつけて、おしゃれのあれこれを聞く連載の第13回目。今回はファッションデザイナーの米田有希(よねだ あき)さんにお話を伺いました。スペイン・バルセロナで家族と暮らしながら、洋服のデザインや刺繍の仕事をする米田さん。毎日を楽しく快適に過ごすおしゃれの「あれこれ」をどうぞ。

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2020年02月04日作成
【連載】素敵な人に聞いた「おしゃれ」のあれこれ vol.13-ファッションデザイナー 米田有希さん
10代から雑誌『mc Sister(エムシー シスター)』の専属モデルとして活躍。現在はオリジナルブランド『Omas Hände(オーマスヘンデ)』のデザイナーを務める米田有希(よねだ あき)さん。日本を離れ、スペイン・バルセロナで旦那さまと4人のお子さんと暮らしています。
いつも自然体で美しい米田さんに、おしゃれのあれこれを伺いました。

おしゃれに興味を持ったきっかけ

【連載】素敵な人に聞いた「おしゃれ」のあれこれ vol.13-ファッションデザイナー 米田有希さん
「小さな頃から母がかわいい服を着せてくれたこともあり、その頃からおしゃれへのこだわりがありました。 」

お母さまが選んだ洋服を着ていた幼少期。着せてもらっていた洋服の中でも、「大きい派手な花柄より小花柄」「ピンクよりも黄色か水色」など、独自のこだわりがあったそうです。
共通するのは、いわゆる女の子らしいものではないということ。
そんな少し大人びたセンスを象徴するようなエピソードがありました。

「小学校3〜4年生の頃、画用紙で帽子を作る工作の時間がありました。他のみんなが作ったのはカラフルでたくさん飾りがついたものだけど、わたしが作ったのがグレーに白いラインだけが入ったシンプルな帽子。セーラーハットのようなものだったのですが、あまりにも飾りが少ないので先生の評価は低かったです。(笑)」
「これかわいいでしょ」とお母さまが言っていたというセーターは手編み。

「これかわいいでしょ」とお母さまが言っていたというセーターは手編み。

周りに流されることなく、自分の好きなものがはっきりしていた米田さんは、小学校高学年には自分で洋服を選ぶように。そして、10代は『CUTiE(キューティ)』『Olive(オリーブ)』などのファッション雑誌に夢中になりました。
いろんな洋服を着たい、背が高いことを活かしたいと思い雑誌のモデル募集に応募し、合格。『mc Sister』の専属モデルとして人気を集めます。
その頃は、徳島で高校生活を送りながら週末に東京へ行き、撮影していたそうです。

「東京は徳島と全然違って、いろいろなお店がたくさんある。しかも、撮影では最新の洋服を着て、買い取りもできたりします。洋服が大好きだったので、それはそれは刺激を受けました。」
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ただ、雑誌を真似して洋服を買ったりむやみに流行を追い求めることはなかったそうです。それでも、高校時代にひとつだけやってみたことがあります。

「高校生のときにルーズソックスがすごく流行していたんですけど、履いたことはありませんでした。でも、卒業前の1か月に、゛わたしはこれで女子高生を終わっていいのか…?”と思って、ルーズソックスを1足だけ買って、履いてみました。卒業してからはルームソックスとして活用してたのですが(笑)流行に乗らない!と一貫していたわけではないんです。」

定番の服

『MHL』のボーダーシャツ

体に沿うような着心地で、色も絶妙。こちらはこの日着ていたものの色違い。

体に沿うような着心地で、色も絶妙。こちらはこの日着ていたものの色違い。

定番アイテムとしてあげていただいたのは、『MHL(エムエイチエル)』のボーダーシャツ。

「数年前に帰国したときにロストバゲージに遭ってしまい、着る服がなくてたまたま近くにあったショップで買ったのがこのボーダーシャツ。わたしの体形に合うのか、着心地がすごく良くて気に入りました。それで、次に帰国したときに色違いを買ったので2枚持っています。今回ももう1枚買いに行く予定です。」

このボーダーシャツは、旦那さまがバルセロナで経営するうどん屋さんを手伝うときにも大活躍。
ボーダーシャツにデニムパンツがユニフォームのようになっています。
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「腕まくりしても落ちてこないし、何回洗っても型崩れしない。大きすぎず小さすぎないサイズ感もちょうどいいんです。」

とにかくしっくりくるので、毎日着られる実用的な服として重宝しているそうです。
定番アイテムのボーダーシャツの上に、ビッグシルエットのライダースジャケットを羽織って。『KEEN(キーン)』のアウトドアシューズのボリュームがアクセント。

定番アイテムのボーダーシャツの上に、ビッグシルエットのライダースジャケットを羽織って。『KEEN(キーン)』のアウトドアシューズのボリュームがアクセント。

好きな洋服と選び方

ボーダーシャツのような実用的な洋服とは別に、好きな洋服のデザインはありますか?

「ワンピースや羽織もので、とにかくボリュームがあるものが好きです。裾が揺れたり、動きが出るような長さやボリュームがあるものをよく着ます。着心地も、ぴったりしているよりは、ゆったりしたフォルムが好きです。」

洋服を買うときは、試着をする。そして、コーディネートのヒントもそこから思い浮かぶそうです。

「いつもMサイズを着ていたとしても、その服でもMサイズが良いとは限らないので、なるべく全部のサイズを試着します。1着のワンピースがあったら、まず着てみる。鏡の前に立つと、これとあれを合わせよう、あっちもかわいいかも!と次々にひらめくことが多いです。最初のワンピースがインスピレーションをくれるような感覚です。」

試着ができないから、通販で洋服を買うことはないという米田さん。着てみたときの感覚が何よりも重要だそうです。
今のおしゃれの情報源はありますか?

「やっぱり今はインスタグラムですかね。かわいいなと思ったら保存したりしていますが、実際にその服を買ったことはないです。バルセロナはZARAやH&Mばかりで、マイナーなブランドのかわいい洋服はなかなか買えないんです。だから目の保養として楽しんでます。」
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年齢を重ねることで、洋服選びは変わりましたか?

「以前は自分で選んだ服なら何を着ても違和感がなかったんですけど、最近は、“なんか似合わないかも…?”という感覚が出てきました。歳とともに、若い服が似合わなくなってきたような気がします。今までは全然気にせずに着ていた膝上丈や二の腕が出る服が、ちょっと恥ずかしいような感覚になってきました。そういうこともあって、ボリュームのある服がさらに好きになってきたような気がします。」

今のおしゃれの気分

バルセロナで買った古着のワンピースに、デニムを合わせたカジュアルコーデ。

バルセロナで買った古着のワンピースに、デニムを合わせたカジュアルコーデ。

基本的には、自身のブランドを着ている米田さん。「最近、また古着が着たくなった」そうですが、古着は昔から好きだったのでしょうか?

「20歳くらいのときに古着というか、セカンドハンドから掘り出しものを探すのが好きになって。その頃通っていた学校の近くで救世軍のバザーが開催されていて、友達とよく行っていました。あとは、下北沢などで学生でも買いやすい値段の古着を探したり。卒業してからは、ヨーロッパのアンティークがすごく好きになってよく着ていました。」

今なら古着はどこで買いますか?

「最近はあまり買っていないですけど、買うとしたらバルセロナですかね。日本に帰ってきたときにはあまり時間もないし、バルセロナのほうが安いことが多いので。今日のコーディネートで着ている古着のワンピースも、バルセロナで5千円くらいで買いました。日本にいた頃に好きで着ていたアンティークのワンピースは3万円くらいしていたんですけど、今はもう古着にそんなお金はかけられないような気がしますね。」

バルセロナでの服選び

今は旦那さまと4人のお子さんとバルセロナで暮らす米田さん。
日本から移住して、洋服の選び方は変わったのでしょうか?

「バルセロナの人たちはみんな力が抜けているので、気合を入れておしゃれをすると浮くような気がします。だから、日本にいるときよりはかなりシンプルです。日本にいた頃は大ぶりなアクセサリーを重ねづけするのが好きだったんですけど、バルセロナだとなんか気恥ずかしくてできないんですよね。だから、バルセロナではほとんどつけないアクセサリーを、日本に帰ったときはたくさんつけています。」



イヤリング、ネックレス、バングル、時計。大ぶりなアクセサリーの重ねづけは「東京仕様」。

イヤリング、ネックレス、バングル、時計。大ぶりなアクセサリーの重ねづけは「東京仕様」。

自身のブランド『Omas Hände』のこと

2012年からはじめたブランド『Omas Hände(オーマス ヘンデ)』。刺繍など、手仕事のあたたかみも取り入れながら米田さんが着たい服を作っています。

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シャツワンピースのプリーツの大きな襟やパンツのカーブした前立てなど、米田さんがデザインする洋服は“ひとひねり”が利いているものが多い印象です。

「普通の、他でも売っているような洋服を作ってもしょうがないし、ちょっとひねりがあるもの好きなので。全部着たい服を作ってるので、早く着たくて着たくてしょうがない、って思いながら毎回作ってます。」

米田さんは、洋服のデザインに加えて数点の刺繍も手掛けています。忙しい毎日の中、洋服のデザインや刺繍はどういうときにしていますか?

「今やるぞ、と集中してやるのがほとんどです。デザインは子どもが夜寝た後にすることが多いです。刺繍の仕事は自然光じゃないとやりづらいので、子どもが学校に行った後の午前中に集中してやっています。」

とっておきアイテム

とっておきアイテムは、『ROLEX(ロレックス)』の腕時計と、ダイヤの原石の指輪。
それぞれに、大切な家族との思い出があります。
【連載】素敵な人に聞いた「おしゃれ」のあれこれ vol.13-ファッションデザイナー 米田有希さん
「時計は、祖父に成人のお祝いとしてもらいました。振袖を買ってくれると言っていたのですが、一生で数回かしか着ないのでずっと身に着けられるものを、と思って時計をリクエストし、買ってもらいました。」

普遍的な価値のある時計は、まさに一生もの。いつも身に着けているわけではないけれど、洋服に合わせる小物の感覚でたまにつけているそうです。

「指輪は、結婚11年記念のプレゼント。世間では結婚10周年をスウィート10っていうんだってという話をしていたときに、丸10年で11年目に入ったタイミングのほうが良いと押し切られました。(笑)日本へ帰るときなど、旅行に行くときはお守りとして必ずつけていきます。」

【連載】素敵な人に聞いた「おしゃれ」のあれこれ vol.13-ファッションデザイナー 米田有希さん
人生の節目に贈られた大切なものたちを、お子さんに受け継ぐ予定はありますか?

「今すごく狙われてます。(笑)娘が3人、息子が1人いるので誰にあげるとかは全く決めていないです。」

3人いる娘さんは、19歳、15歳、13歳。洋服をシェアすることはありますか?

「好きなテイストが違うのであまりないですね。あの子たちはストリートファッションが好きなようです。今日もへそ出しで出かけようとしていて、東京ではみんなにすごく見られるよ!と言って止めて、しょうがないのでわたしのトレーナーを貸しました。(笑)」

お子さんたちの話を楽しそうにする米田さん。この日同行してくれた息子さんに宿題は?と聞いたり、お母さんとして家族を大切にしつつも、自分らしいおしゃれを日々楽しんでいることが伝わってきました。

(取材・文/金美里)

【連載】素敵な人に聞いた「おしゃれ」のあれこれ vol.13-ファッションデザイナー 米田有希さん

米田有希(ファッションデザイナー)

徳島県出身。10代からモデル活動を開始。雑誌『mc Sister』専属モデルを経て、数々の雑誌や広告で活躍。2012年に趣味である手刺繍を取り入れた洋服のブランド『Omas Hände(オーマスヘンデ)』を立ち上げ、他ブランドとのコラボレーションなども行う。現在はスペイン・バルセロナで家族と暮らしている。
Aki Yoneda(@akiyoneda) Instagram

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