読者の皆さんの日々のお悩みをキナリノ的に解決し、毎日を少しでも健やかに過ごしていただく企画「キナリノ駆け込み寺」。第8回目は、特別編として「防災」をテーマにお届けします。
防災対策、どれくらいできてる?今一度見直してみよう
地震をはじめ、台風や豪雨、それに伴う洪水など、私たちの身近に迫ってきている自然災害。備えを先延ばしにしていたり、準備したものの見直してない方も多いのではないでしょうか?
9月1日は防災の日。この日を含めた1週間は「防災週間」とされています。誰にでも起こりうる災害に備えて、この機会にぜひ定期的に見直すようにしてみてください。今回は、東日本大震災をきっかけに、防災と整理収納を学び始めたという防災士の熊田明美さんにお話を伺いました。
9月1日は防災の日。この日を含めた1週間は「防災週間」とされています。誰にでも起こりうる災害に備えて、この機会にぜひ定期的に見直すようにしてみてください。今回は、東日本大震災をきっかけに、防災と整理収納を学び始めたという防災士の熊田明美さんにお話を伺いました。
教えてくれた人
防災士
熊田明美さん
非常時に慌てないために!事前にやっておくべき3つのこと
皆さんは災害が起こった時、どこに避難するのか、何が必要なのか把握できていますか?
「日本は自然災害の多い国です。そこで暮らす私たちは、日頃から防災を意識する必要があります。命を守るために防災意識を高め、命をつなぐために防災備蓄をするのです」と熊田さん。
1.災害種別で備えよう
自然災害といっても、地震、台風や水害では対策が異なってきます。それぞれに応じて備えなければなりません。
【地震】
世界で発生する大地震(M6以上)の20%は、日本付近で発生しているといわれています *1。自分の住んでいる地域が地震で揺れやすいか、津波が発生しやすいかなど、ハザードマップで確認しておくことが大切です。
ここでチェック!
国土交通省ハザードマップポータルサイト
国土交通省ハザードマップポータルサイト
「自治体の防災マップも一緒に確認しておきましょう。手元になければ、自治体(役場)の受付などに置いてあります。受付になければ防災課などへ。緊急時でも見れるように、印刷して手元に置いておいておくのがおすすめです」
地震が起きたら、まずは身を守ること。そして、安全な場所からむやみに移動を開始しないようにしましょう。
地震が起きたら、まずは身を守ること。そして、安全な場所からむやみに移動を開始しないようにしましょう。
【台風・水害】
近年、海水温の上昇により台風が大型化し、今までとは違ったルートで日本に上陸するようになりました。さらにゲリラ豪雨・雷雨も多発し、水害や浸水の被害が拡大しています。気象庁や自治体の避難情報を確認しておき、安全なのは在宅避難か避難所か、自ら判断し迅速に行動するようにしましょう。
「特に、豪雨による浸水は急激に水位が上がります。水害が心配な地域の場合、事前にマイ・タイムライン(防災行動計画)を作成し備えておくといいですよ」と熊田さん。
また、マンションやアパート住まいであれば、何階に住んでいるかで避難の仕方が変わってきます。下の階に住んでいる場合、大型台風や豪雨などの発生に備えて、あらかじめ親戚や知人宅に避難できそうかどうか打ち合わせしておくようにしましょう。
また、マンションやアパート住まいであれば、何階に住んでいるかで避難の仕方が変わってきます。下の階に住んでいる場合、大型台風や豪雨などの発生に備えて、あらかじめ親戚や知人宅に避難できそうかどうか打ち合わせしておくようにしましょう。
2.避難場所、把握している?
災害種別により避難できる避難所が異なることを知っていますか?
防災マップには記載がなく、実際に避難所に行って「災害種別図記号*2」を確認する必要があります。×印がついている場所は、災害によってはかえって身を危険にさらしてしまうことも。
また、津波が起こったとき、高台などに避難できない場合は「津波避難ビル」への避難が必要になります*3。津波の際、この看板がない避難所であれば、別の避難所へ移動しないといけない可能性があります。
「事前に、防災マップに記載されている避難所を数か所巡り、どこに避難するべきか確認しておきましょう。その際、避難ルートの安全性なども確認しておくこと。家族でお散歩がてら、チェックしてみるのもよさそうですね」
加えて、「災害時拠点病院」のチェックを行うことも大切です。災害時に行ける病院は予め定められています。できるだけ怪我をしないように身を守るのが第一ですが、必要に迫られたとき、迷わずそこに目掛けて行けるようにしておきましょう。
防災マップには記載がなく、実際に避難所に行って「災害種別図記号*2」を確認する必要があります。×印がついている場所は、災害によってはかえって身を危険にさらしてしまうことも。
また、津波が起こったとき、高台などに避難できない場合は「津波避難ビル」への避難が必要になります*3。津波の際、この看板がない避難所であれば、別の避難所へ移動しないといけない可能性があります。
「事前に、防災マップに記載されている避難所を数か所巡り、どこに避難するべきか確認しておきましょう。その際、避難ルートの安全性なども確認しておくこと。家族でお散歩がてら、チェックしてみるのもよさそうですね」
加えて、「災害時拠点病院」のチェックを行うことも大切です。災害時に行ける病院は予め定められています。できるだけ怪我をしないように身を守るのが第一ですが、必要に迫られたとき、迷わずそこに目掛けて行けるようにしておきましょう。
3.家族と連絡手段を話しておこう
大きな災害が発生した場合、家族やパートナーが一緒にいるとは限りません。首都圏などの都市部では「72時間一斉帰宅抑制」の方針が打ち出されており*4、オフィスに出勤している方は3日、長いと一週間帰宅できず連絡がとれない可能性も。
「家族やパートナー間で、連絡手段やどう行動するか、しっかり話し合っておくことが大切です。万が一のために、連絡先は紙で印刷しておくと安心。また、お迎えが必要な子どもの場合、保育園や幼稚園の防災マニュアルを確認したり、勤めている会社の防災訓練に積極的に参加したりして、シミュレーションしておくのがおすすめです」
「家族やパートナー間で、連絡手段やどう行動するか、しっかり話し合っておくことが大切です。万が一のために、連絡先は紙で印刷しておくと安心。また、お迎えが必要な子どもの場合、保育園や幼稚園の防災マニュアルを確認したり、勤めている会社の防災訓練に積極的に参加したりして、シミュレーションしておくのがおすすめです」
*1…国土技術研究センター「地震の多い国、日本」参照
*2…「緊急避難場所」「避難所」の表示には、どの災害から避難するものなのかがわかるよう、災害種別の図記号が併記される。内閣府「避難場所等の図記号標準化の取組」などを参照
*3…津波警報や大津波警報が発表され、避難勧告や避難指示が発信された場合などに高台などへの避難が困難となり、やむを得ず緊急的に一時避難するための建物。津波時においては、近くの高台などへ迅速に避難することが大原則であり、必ずしも「津波避難ビル」に避難しなくてはならないということではありません。平常時から家族や地域の自主防災組織自治会などで避難場所を確認しておくことが重要。
*4…内閣府(防災担当)「大規模地震の発生に伴う 帰宅困難者対策のガイドライン」より参照
*2…「緊急避難場所」「避難所」の表示には、どの災害から避難するものなのかがわかるよう、災害種別の図記号が併記される。内閣府「避難場所等の図記号標準化の取組」などを参照
*3…津波警報や大津波警報が発表され、避難勧告や避難指示が発信された場合などに高台などへの避難が困難となり、やむを得ず緊急的に一時避難するための建物。津波時においては、近くの高台などへ迅速に避難することが大原則であり、必ずしも「津波避難ビル」に避難しなくてはならないということではありません。平常時から家族や地域の自主防災組織自治会などで避難場所を確認しておくことが重要。
*4…内閣府(防災担当)「大規模地震の発生に伴う 帰宅困難者対策のガイドライン」より参照
家が被災しないように、設備や家具の配置も見直そう
災害時、自宅付近の安全性が確認できたり、家が被災したりしていなければ「在宅避難」も一つの方法です。そのためにも、自宅の安全性を高めておくことが大切なのだとか。
【地震】
耐震等級などを参考に、住宅の耐震性を確認しておきましょう。不安な場合は耐震診断、耐震補強工事も手です。
「簡単に始められるのは家具・家電の転倒防止や、配置変えです。耐震ジェルマットや滑り止めシートを敷いたり、出入口を塞いだりしていないか確認しておきましょう。割れる素材のものを置かない、掛けないことも大切です。災害が起きても、人間が怪我をしない工夫をしておくといいですよ」
熊田さんのご自宅に飾られている花瓶は、耐衝撃性や耐久性、透明度に優れたポリカーボネート製のものを使用しているそう。ガラスの花瓶を飾っている方は、耐震ジェルマットをぜひ敷くようにしてみてください。
設備を整えても、地震が起こった場合、その場で身を守ることが重要です。揺れが収まり、安全確認してから動き出しましょう。その際、怪我をしないように家の中でも靴を履く。寝室に靴を置けない場合、踏み抜き防止スリッパや、手持ちのものにソールを付けるなどでも可能です。
「簡単に始められるのは家具・家電の転倒防止や、配置変えです。耐震ジェルマットや滑り止めシートを敷いたり、出入口を塞いだりしていないか確認しておきましょう。割れる素材のものを置かない、掛けないことも大切です。災害が起きても、人間が怪我をしない工夫をしておくといいですよ」
熊田さんのご自宅に飾られている花瓶は、耐衝撃性や耐久性、透明度に優れたポリカーボネート製のものを使用しているそう。ガラスの花瓶を飾っている方は、耐震ジェルマットをぜひ敷くようにしてみてください。
設備を整えても、地震が起こった場合、その場で身を守ることが重要です。揺れが収まり、安全確認してから動き出しましょう。その際、怪我をしないように家の中でも靴を履く。寝室に靴を置けない場合、踏み抜き防止スリッパや、手持ちのものにソールを付けるなどでも可能です。
【台風・水害】
自宅の耐風等級や、何階に住んでいるのかで避難所へ行くべきか、在宅避難が可能かどうか変わってきます。在宅避難をする場合は、土嚢、水嚢、浸水シャッターなど、水が入ってこない対策を。ホームセンターなどで自宅に取り入れやすいものを選ぶといいそうです。
「台風の場合、進路予想図を確認して、自転車やゴミ箱など、家の周りにある飛来物を移動させましょう。また、浸水しやすい地域の場合、2階建以上の一軒家に住んでいるのであれば、必要書類や重要なものは2階以上へ移動させておくようにしましょう」
「台風の場合、進路予想図を確認して、自転車やゴミ箱など、家の周りにある飛来物を移動させましょう。また、浸水しやすい地域の場合、2階建以上の一軒家に住んでいるのであれば、必要書類や重要なものは2階以上へ移動させておくようにしましょう」
定期的に防災セットを見直そう
災害時に備えて、防災グッズを揃えている方も多いかもしれません。ですが、もしかするとそれだけでは足りない可能性も。
災害はいつ、どこで起こるか分かりません。会社や学校、通勤や買い物の最中。もしかすると旅行先の可能性も。「0次」「1次」「2次」と段階に分けて備えておくといいそうです。
【0次避難】
外出中に災害が発生した際に、外出先から自宅や避難所まで安全に移動するための助けになる備え。または移動できない場合に、数時間から一晩を過ごすことができることも想定した準備のこと。ポーチに入れるなど、常に持ち歩くことが推奨されている。
【1次避難】
非常用持ち出し袋を指す。自宅や勤務先などに準備しておき、安全な場所に避難する際にすぐに持って逃げることができるよう備えること。
【2次避難】
災害でライフラインが途絶えても、一週間程度は生活することができるだけの水や食料などの備え。自宅や勤務先にストックしておく。
「防災の備えは実際に身を守るだけでなく、心の余裕にも大きく影響します。いざというときに慌てず、自分と大切な人を守るための備えを予習しておきましょう」
衣替えをするように、防災セットも見直しを
非常用持ち出し袋を購入してそれで満足し、押し入れの奥にしまったまま…なんてことはないですか?
「非常時は冷暖房が使えないことを想定し、夏は携帯扇風機や冷感タオルなど熱中症対策、冬はカイロや毛布など防寒対策など、季節によって見直すことが大切です。衣替えの時期などに、一緒に見直すことをおすすめしています」と熊田さん。
また、今は感染対策の備えもしておくことが大切。マスクや除菌シートなども併せて入れておくようにしましょう。
「非常時は冷暖房が使えないことを想定し、夏は携帯扇風機や冷感タオルなど熱中症対策、冬はカイロや毛布など防寒対策など、季節によって見直すことが大切です。衣替えの時期などに、一緒に見直すことをおすすめしています」と熊田さん。
また、今は感染対策の備えもしておくことが大切。マスクや除菌シートなども併せて入れておくようにしましょう。
心配なことを考えて、備えておこう
自分が被災したとき、何が不安か考えてみて、それを準備しておくのが大切なのだとか。
「私の場合、(地震の)揺れと臭いに弱いので、酔い止め薬とアロマオイル、気持ちを落ち着けるためにハーブティーなどを備えています。自分や家族にとって、ないと困るものは必ず入れてください。また、お子さんがいる方はトランプやオセロなど、電池を使わない遊び道具があれば、不安なとき気が紛れますよ」
日常的に車で出かけることが多い方は、車にも備蓄をしておくと安心だそう。シートベルトが災害の衝撃で外せなくなったり、大雨や洪水の際は水位が上がってドアが開かなくなった場合に備えて、緊急脱出ハンマー(シートベルトカッター付き)を置いておくのもおすすめです。
「私の場合、(地震の)揺れと臭いに弱いので、酔い止め薬とアロマオイル、気持ちを落ち着けるためにハーブティーなどを備えています。自分や家族にとって、ないと困るものは必ず入れてください。また、お子さんがいる方はトランプやオセロなど、電池を使わない遊び道具があれば、不安なとき気が紛れますよ」
日常的に車で出かけることが多い方は、車にも備蓄をしておくと安心だそう。シートベルトが災害の衝撃で外せなくなったり、大雨や洪水の際は水位が上がってドアが開かなくなった場合に備えて、緊急脱出ハンマー(シートベルトカッター付き)を置いておくのもおすすめです。
日常の延長で考えよう
今や防災は特別なものでなく、日常の延長線にあります。雨予報に雨具を備えるように、防災についても日頃から意識しましょう。
「災害が起こった場合に備えて、シミュレーションをしておくことが大切です。例えば、避難所への道のりを確かめておく、ライフライン使わないおうちキャンプを家族でやってみる…。私たちはとっさのことは対応できませんが、慣れていることはすぐに行動できます。いざというとき慌てないために、ぜひ防災について考える機会を設けてみてください」
後編では、ローリングストックやフェーズフリーアイテムなど、防災グッズについてご紹介します。ぜひチェックしてみてくださいね。
「災害が起こった場合に備えて、シミュレーションをしておくことが大切です。例えば、避難所への道のりを確かめておく、ライフライン使わないおうちキャンプを家族でやってみる…。私たちはとっさのことは対応できませんが、慣れていることはすぐに行動できます。いざというとき慌てないために、ぜひ防災について考える機会を設けてみてください」
後編では、ローリングストックやフェーズフリーアイテムなど、防災グッズについてご紹介します。ぜひチェックしてみてくださいね。
illustration/Shinco Uematsu
https://www.nicelife-sbs.com/