読者の皆さんの日々のお悩みをキナリノ的に解決する「キナリノ駆け込み寺」。
第6回目のお悩みは「人間関係に疲れてしまう。気持ちが楽になる方法やコツは?」です。前編に引き続き、今回もHSP専門カウンセラーの武田友紀さんにお話を伺いました。
*前編はこちら
第6回目のお悩みは「人間関係に疲れてしまう。気持ちが楽になる方法やコツは?」です。前編に引き続き、今回もHSP専門カウンセラーの武田友紀さんにお話を伺いました。
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【お悩みNO.6】人間関係に疲れてしまう。気持ちが楽になる方法やコツは?
前編では、繊細さん*の心の仕組みを中心にご紹介しました。後編では、苦手な人や不機嫌な人へ直面したときの対処法についてお話していきます。
* HSP=Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)のことで、生まれつき感受性が強く敏感な人という意味。武田さんは親しみを込めて「繊細さん」と呼んでいます。詳しくは前編を。
教えてくれた人
HSP専門カウンセラー・公認心理師
武田友紀さん
こんな人への接し方・心構え
「相手の感情を察しやすい」「その場の雰囲気を感じる」など感じる力の強い繊細さん。いい面もある一方で、人間関係の壁にぶつかることも。ケース別にどのように対処すればいいのか伺いました。
Case1.不機嫌な人
理由は分からないけどイライラしている人、嫌味ばかり言う人、周りのものや人に当たり散らす人…。みなさんの身近にはいませんか?傍にいるだけで自分の気持ちもしんどくなってしまいますよね。
「大切なのは、
「大切なのは、
不機嫌な人の機嫌を、自分が直そうとはしない
ということです。繊細さんは他の方よりも『この不機嫌だな』と気が付きやすいです。なかには、不機嫌な人に明るく声をかけたり、お茶を出したりと気遣う人もいます。そうすると、相手は『この人は私の機嫌を直してくれる人だ!』という認識になり、より八つ当たりされるようになってしまいます」
不機嫌な人からはなるべく離れるようにしましょう。
とはいえ、職場や家庭にそんな方がいると離れにくいこともありますよね。
「職場の場合は、お手洗いに行くなどして物理的に距離をとる、ハンドクリームを塗ってほっとするなど、自分のペースを取り戻すようにしましょう。相手のケアをするのではなく、自分のケアをするのがポイントです。『この人と話すと落ち着く』と思える同僚がいたら、仕事の話しでも雑談でもいいので、ちょっとした話ができると、気持ちを立て直すきっかけになりますよ。
また、家庭での場合は、なるべく外にいる時間を増やすのも手です。親が始終愚痴を言う、暴言があるなどの場合には、家を出て距離を置くことも考えてみてください。金銭的に難しければシェアハウスを探してみたり。相手の機嫌をどうすれば直せるのかを考えるのではなく、『しんどいな』という自分の気持ちを大切にしてあげてくださいね」
不機嫌な人からはなるべく離れるようにしましょう。
とはいえ、職場や家庭にそんな方がいると離れにくいこともありますよね。
「職場の場合は、お手洗いに行くなどして物理的に距離をとる、ハンドクリームを塗ってほっとするなど、自分のペースを取り戻すようにしましょう。相手のケアをするのではなく、自分のケアをするのがポイントです。『この人と話すと落ち着く』と思える同僚がいたら、仕事の話しでも雑談でもいいので、ちょっとした話ができると、気持ちを立て直すきっかけになりますよ。
また、家庭での場合は、なるべく外にいる時間を増やすのも手です。親が始終愚痴を言う、暴言があるなどの場合には、家を出て距離を置くことも考えてみてください。金銭的に難しければシェアハウスを探してみたり。相手の機嫌をどうすれば直せるのかを考えるのではなく、『しんどいな』という自分の気持ちを大切にしてあげてくださいね」
Case2.苦手な上司
職場にどうしても相性が良くない上司がいると、毎日が少し憂鬱になってしまいます。びくびくしてしまって、仕事のパフォーマンスが落ちてしまうなんてことも。
「繊細さんは、相手と良い関係を築きたい方が多い印象があります。苦手な上司にほど『認められたい』『自分の仕事を応援してもらいたい』と、何度も説明に行っている、なんて話を聞くことがあります。もちろん、それがうまくいくのであれば、OKです。でも、苦手な上司といてしんどいときには、
「繊細さんは、相手と良い関係を築きたい方が多い印象があります。苦手な上司にほど『認められたい』『自分の仕事を応援してもらいたい』と、何度も説明に行っている、なんて話を聞くことがあります。もちろん、それがうまくいくのであれば、OKです。でも、苦手な上司といてしんどいときには、
“分かってもらいたい”という気持ちを持ちすぎない
ことも必要です。苦手な相手と接するとき、大切なのは、心の距離や物理的な距離を離すことです。 “分かってほしい”という気持ちが強いと、つい自分から近づいてしまったり、相手の言動に振り回されてしまって、適切な距離をとるのが難しくなります」
あまりにもモラハラに近い上司の場合は、辛いことを他の人に相談したり、さらに上の上司に相談してチーム編成を考え直してもらうなど、ひとりで抱え込まないようにしましょう。
あまりにもモラハラに近い上司の場合は、辛いことを他の人に相談したり、さらに上の上司に相談してチーム編成を考え直してもらうなど、ひとりで抱え込まないようにしましょう。
Case3.配慮が足りない人
「どうしてあんな言い方をするのだろう」「失礼な立ち振る舞いだと思わないのかな」などと、周りの人たちの言動に“配慮がない”と感じることはありませんか?時には、嫌われていると感じたり、傷ついてしまったりする方もいるかもしれません。
「繊細さんは、小さなことにも気づく分、相手への配慮がごく自然にできる方が多いです。しかし、それは世の中全体でみると、なかなか難しいことかもしれません。
「繊細さんは、小さなことにも気づく分、相手への配慮がごく自然にできる方が多いです。しかし、それは世の中全体でみると、なかなか難しいことかもしれません。
『配慮する力』にも個人差がある
という視点を持つといいですね。『配慮するのが苦手なんだな』『こちらの状況に気づかない、ということがあるんだな』と捉えると、相手の行動に振り回されることが減りますよ」
顔が見えない人の反応が気になる
コロナ禍で人と会う回数が減り、仕事やプライベートでも、チャットやメールで会話する機会が増えた方も多いのではないでしょうか。相手の表情や声のトーンが読み取れず、怒っているのかどうなのかが分からずモヤモヤしてしまう、なんてことはないですか?
「チャットやメールでのやりとりのほうが断然ラク、という人もいれば、苦手な人もいるんですよね。『自分は相手の顔がみえないと不安になるな』と感じる場合には、電話やビデオ通話など、自分が楽なコミュニケーション方法をたまに混ぜるといいですね。心配になったら電話をするなど、『大丈夫だ』と思えるポイントをつくってみてください」
また、気になっているポイントを相手に伝えてしまうのもいいのだとか。
「言葉遣い大丈夫ですか?」
「チャットだと気持ちが伝わりにくいと思うので、何か気になることがあったら言ってくださいね」など
相手にボールを投げておくことで、「なにかあったら言ってくれるだろう」と気持ちも楽になるそうです。
また、気になっているポイントを相手に伝えてしまうのもいいのだとか。
「言葉遣い大丈夫ですか?」
「チャットだと気持ちが伝わりにくいと思うので、何か気になることがあったら言ってくださいね」など
相手にボールを投げておくことで、「なにかあったら言ってくれるだろう」と気持ちも楽になるそうです。
言いたいことが言えない
「思っていることが上手く言えない」「言おうとすると涙が出てくる」というお悩みも多く寄せられていました。どうすれば、自然と話せるようになるのでしょうか?
言いたいことを言うと良くないことが起きる、という経験を何度もしていると、無意識のうちに身体が反応してしまうのだそうです。
「まず一つ目は、小さな成功体験を思い出すことです。自分の気持ちや意見を言えた経験が、人生の中で何回かはあると思うんです。『子どもの頃は言ってたな』『あの人には、少しだけど気持ちを言えるなぁ』とか。その言えた時の感覚を大切にしてみてください。
二つ目は、『言いたいことを言えないのは、悪いことではなく、自分を守る仕組みなのだ』と知ってほしいです。過去に自分の気持ちを話して傷ついた経験があるから、自分を守ろうとして、言わないようにしているんですね。ですから、無理に言うのではなく、『気持ちを話すのって、怖いよね。わかるよ』と、自分に寄り添ってあげてほしいです。安心すると、少しずつ言えるようになっていきますよ」
この2つのポイントを、心の片隅にぜひ置いてみてください。
「まず一つ目は、小さな成功体験を思い出すことです。自分の気持ちや意見を言えた経験が、人生の中で何回かはあると思うんです。『子どもの頃は言ってたな』『あの人には、少しだけど気持ちを言えるなぁ』とか。その言えた時の感覚を大切にしてみてください。
二つ目は、『言いたいことを言えないのは、悪いことではなく、自分を守る仕組みなのだ』と知ってほしいです。過去に自分の気持ちを話して傷ついた経験があるから、自分を守ろうとして、言わないようにしているんですね。ですから、無理に言うのではなく、『気持ちを話すのって、怖いよね。わかるよ』と、自分に寄り添ってあげてほしいです。安心すると、少しずつ言えるようになっていきますよ」
この2つのポイントを、心の片隅にぜひ置いてみてください。
人を嫌いになってもいいの?
人間関係で苦労しているとき、相手にもいいところがあったり、自分も悪いなと感じたりして、「嫌い」になりきれないことはありませんか?「人を嫌う自分がイヤ」と思ってしまう方も少なくないかもしれません。
「相手のいいところをみつけられるって、素敵なことです。ですが、それをやり過ぎると自分の周りに“難しい人”が集まってしまいます。『あなただったら、あの気難しい人ともやっていけるでしょ』と、苦手な相手とチームを組まされてしまったり。
『嫌い』というのは、自分の身を守る上で大切な感情です。
自分に不利益をもたらす気がする、嫌な予感がする、ということでもあるのです。『この人、なんとなく嫌だな』と思ったら、問題が起きていなくても最初から近づかない、または距離を遠目にとるのがおすすめです。時間がたって、近づいても大丈夫そうだと思ったら、少しずつ距離を縮めていったらいいですよ」
嫌いな人といたり、嫌いなことをやり続けると、人生がそちらの方向に進んでしまうということを、武田さんは教えてくれました。
『この人苦手だな』と思う気持ちも大事にしながら、『いいなと思う人』をみつけることが大切です。共感できる人や一緒にいて楽しい気持ちになる人と一緒にいる時間を、増やしてみてください。
嫌いな人といたり、嫌いなことをやり続けると、人生がそちらの方向に進んでしまうということを、武田さんは教えてくれました。
『この人苦手だな』と思う気持ちも大事にしながら、『いいなと思う人』をみつけることが大切です。共感できる人や一緒にいて楽しい気持ちになる人と一緒にいる時間を、増やしてみてください。
自分の本音を大切にして、“いい人間関係”を
人生において人間関係の悩みは絶えない一方、人と人との関わりがあるからこそ、『楽しいな』『幸せだな』という気持ちが生まれます。知らず知らずにしている“我慢”をやめて、自分の本音を大切にすると、いい人間関係を築けるようになるはずです。すぐには難しくとも、ぜひ毎日少しずつ実践してみてくださいね。
お悩み募集中*
「キナリノ駆け込み寺」では、皆さんの日頃のお悩みを募集しています。
些細なことでも結構ですので、お悩みや気になること、知りたいことをぜひ教えてください。皆さんのお声をお待ちしております♪
些細なことでも結構ですので、お悩みや気になること、知りたいことをぜひ教えてください。皆さんのお声をお待ちしております♪
illustration/Shinco Uematsu
HP:https://sensaisan.jp/