「べき」にとらわれない
ついつい頑張りすぎてしまうのは、「べき」にとらわれているからかもしれません。「最後まで完璧にやり遂げるべき」「少しの手抜きも許すべきではない」「弱音を吐くべきではない」というように、自分を追い込んでいないでしょうか。ほかにも、「ねばならない」「してはならない」といった考え方も同様です。そんな「べき」にとらわれそうになったら、もっと寛容な考え方に置き換えてみませんか。
「まあいいか」
高い目標をもって努力することは素晴らしいのですが、「完璧にこなすべき」と自分自身を追い込んで、苦しくなってしまっては本末転倒です。自分に対して厳しい頑張り屋さんほど、たまには「まあいいか」と肩の力を抜きましょう。そうやって心をゆるめたら、またできることからリスタートすればいいのです。
「それもありだよね」
相手に対して「こうあるべき」を求め、それが叶わないことでしんどい思いをしていませんか。親子やきょうだいであっても、それぞれ別の人格を持った人間です。「それもありだよね」と、相手の考え方、価値観、行動などを、ひとまず受け止めてみましょう。自分の凝り固まった考え方が、ふっとゆるむのを感じられるはずですよ。
「そのままでいいよ」
自分に対しても、相手に対しても、「べき」を求めすぎてしまう。そんな方は、最初は嘘でもいいので「そのままでいいよ」とつぶやいてみてください。失敗したり、うまくいかなかったり、完璧にできなかったりしても、「そのままでいいよ」と声に出すのです。人それぞれ、得意なことや不得意なことがあり、考え方や行動も違う、それがわたしたち人間なのだと気づくきっかけになります。
心をニュートラルに保つ
つらい、しんどい状況からなかなか抜け出せないのは、過剰に反応しているからかもしれません。「つらいのは○○だから」と理由を探したり、「しんどいのは△△が原因」と分析したり、自分で負の感情を増幅させてしまうことも。そうやって客観視するのも大切ですが、心をニュートラルに保つこと、偏りのない見方ができる状態をつくることも大切です。
反応しない
つらい、苦しい、しんどい、痛い、逃げたい……これらは危険を回避するための、生きものとして当然の反応です。ただし、それに固執しすぎるのは、正しい反応ではありません。
「つらい……と思っている」「苦しい……と感じている」というように、「と言葉」で表現してみましょう。まるで他人事のような表現に変えることで、過剰に反応しすぎずに留まれる効果がありますよ。
考えない
わたしたちは言葉で思考しており、一日に何万回も頭の中でおしゃべりを繰り返しています。つらい、しんどいときは、同じことをぐるぐると思いめぐらせ、負の感情を増幅させてしまうのです。
そんな負のスパイラルを止めるには、考えないレベルまで「小さく、小さく」していきましょう。「考えないようにしよう」とすればするほど、考えてしまうのがわたしたち人間ですから、「小さく、小さく」と唱えて意識をそらすのが有効です。
判断しない
あらゆる物事には、二面性があります。良い面もあれば、悪い面もあるものです。ちょっと嫌な思いをしたり、気分を損ねることがあったりすると、「これは悪い」「絶対に許せない」と決めつけがちですよね。そんな一時の感情で「良い」「悪い」を判断すると、視野が狭くなりばかりか、「許せない」範囲がどんどん広がって自分が苦しくなるだけです。「良い」「悪い」を判断する前に、ひと呼吸入れて、「判断しない」選択肢があることを思い出してみましょう。
具体的にどうすればいい?
「べき」にとらわれない、心をニュートラルに保つ……。そんなことが簡単にできれば苦労しない、そう思うのはごもっともです。では、執着や不安、こだわりを手放し、ラクに生きていくには、具体的にどうすればいいのでしょうか。ここでは、今日からできる“心を整える”方法をご紹介します。
感覚に意識を集中する「マインドフルネス」
感情からも思考からも離れる方法があります。それは、体の感覚に意識を集中する「マインドフルネス」です。
目を閉じ、あるいはうっすらと開けて、どんな音が聞こえているか、どんなにおいがしているかを感じ取ります。手のひらや足の裏は何に触れているか、温かいのか冷たいのか、お腹が膨らむ感じ、へこむ感じはどうでしょう。そうやって体の感覚に意識を集中すれば、あなたを煩わせる感情や思考は、自然と遠のいていきます。
書いて心を解放する「ジャーナリング」
頭の中で繰り返す思考は、そのままにしておくとどんどん増幅してしまいます。信頼できる人に話を聞いてもらうのも有効ですが、相手の都合もあって今すぐに対処できないこともありますよね。
そんなときは、思いのたけを紙に書き出す「ジャーナリング」がおすすめです。紙に書き出した後は、頭の中はスッキリしますし、心もふわっと軽やかになります。
ポジティブな宣言をする「アファメーション」
「べき」にとらわれないでいよう、心をニュートラルに保とう。そう決めたときは意識して実践するものの、時間が経つとともに忘れてしまい元通りに……なんてこともあるかもしれません。
そんな自分との約束を守りたいときは、「アファメーション」を試してみてはいかがでしょう。「わたしはもう自分を苦しめる“べき”にとらわれません」「良いも悪いも判断しない、フラットなわたしになります」というように宣言するのです。
怒りをコントロールする「アンガーマネジメント」
生きていれば「イライラする」「許せない」と怒りを抱くことも、ときにはあるでしょう。そんな怒りの感情のおもむくまま行動してしまうと、大切な人間関係や社会的立場を失いかねません。怒りという感情そのものが問題なのではなく、いかに感情と行動をコントロールするかが大切です。
怒りの感情にとらわれないためには、「アンガーマネジメント」を知ることが有効です。
とらわれない心でラクに生きよう
執着や不安、こだわりを手放す、心の持ち方をご紹介しました。「べき」にとらわれず、心をニュートラルに保つことで、今よりもずっとラクに生きていくことができるはずです。ご紹介した方法をご参考に、できるところからお試しくださいね。
つらいと思ってはいけない、しんどいのは自分だけじゃない。頑張り屋さんでまじめな方ほど、自分自身に厳しく、甘えを許さない傾向があるのではないでしょうか。わたしたちは生身の人間ですから、つらいときはつらい、しんどいときはしんどいと、ありのまま感じていいのです。そうやって自分の気持ちを無条件に受け入れられたら、もう少しラクに生きられる“心の持ち方”にシフトしていきましょう。