女性から意中の男性や恋人、友人、会社の同僚などにお菓子をプレゼントする、日本のバレンタイン。一方ドイツでバレンタインが楽しまれるようになったのは、実は30年ほど前からと最近のことです。日本と同じく「恋人たちの日」ではあるのですが、実は大きな違いが。日本では主に女性から男性へプレゼントするイベントであるのに対し、ドイツでは主に男性から女性へプレゼントするイベント。渡す際に告白することはなく、恋人同士や夫婦間でのイベントという意味合いが強いんです。
それでは、ドイツでは恋人に何をプレゼントするのでしょうか。スーパーではバレンタイン風のチョコレートやお菓子も登場しますが、実際に贈るのは花束が主流。友人や同僚などに渡す義理チョコの文化はないそうです。他のヨーロッパ諸国も同様の形なので、世界を見渡してみると日本の方が特殊なのかもしれませんね。しかし日本では日本らしく、今年もバレンタインを楽しみましょう!ということで、今回はそんなドイツから、バレンタインにおすすめの手作りお菓子をピックアップしてみました。
ドイツには、古くから伝統的に作られ続けてきたお菓子がたくさんあります。日本でよく知られているものも多く、プレゼントとしても喜ばれるはず。ここでは比較的簡単に作れる、特別な材料を必要としないレシピを集めました。
出典: 「ドイツのお菓子といったら?」と聞かれたら、このお菓子が思い浮かぶのではないでしょうか。バーム(Baum)=木、クーヘン(kuchen)=お菓子という意味で、断面が木の年輪に見えることからつけられた名前です。しかし実のところ、ドイツでは日本ほどバームクーヘンは一般的ではありません。特別な時にプレゼントする「敷居の高いお菓子」と考えられており、「食べたことがない」というドイツ人もいるほど。そこで発祥の地にならって、バームクーヘンを特別な日のプレゼントにしてみましょう。ご家庭でも、フライパンを使えばあの年輪のような層は再現可能!かわいらしい一口サイズにして、飾りつけにもこだわってみてくださいね。
出典: シュネーバルは、ドイツ南部、城壁に囲まれた街として知られるローテンブルクの名物です。生地はサクサク&ほろほろで、優しい甘さが特徴。Schneeball=雪玉という意味で、その名の通り粉砂糖が真っ白になるまで振りかけられています。そのほか、チョコレートが全体にかけられたものや、シナモン、ナッツを散らしたものまで、バリエーションはさまざま。少し小さめに作ってデコレーションにこだわれば、見た目もかわいいプレゼントになりますよ。
出典: レープクーヘンは、ドイツでクリスマスの時期に食べられる伝統的なお菓子。はちみつやスパイス、かんきつ類の皮などを使った豊かな味わいが特徴で、初めて食べる人はびっくりするくらい強い風味があります。特にスパイスは、クローブ、アニス、カルダモンなど日本ではあまり使われないものが多く、苦手な方がいる可能性も。プレゼントにするなら、スパイス類は一切使わないレシピで挑戦してみましょう。ハートの型で抜き、アイシングやトッピングでデコレーションすればバレンタインにもぴったりです。
出典: 最近日本でもクリスマスに見かけるようになった、ドイツの伝統的なお菓子シュトレン。一般的なシュトレンにはレーズンやナッツ、マルツィパンなどが入っていますが、バレンタインにはチョコチップをたっぷり入れてみましょう。生地にカカオを入れたり、色とりどりのドライフルーツを入れれば、さらに華やかに。切った時の断面も鮮やかになり、プレゼントにもぴったりです。こちらのレシピならホットケーキミックスで作れるのでとっても簡単。スパイスも使わないので、誰にでもプレゼントできる味わいになっています。
友達や会社の同僚にもバレンタインのプレゼントを贈らなきゃ!そんな時におすすめの、大量生産にもぴったりなレシピを集めました。どのレシピもアレンジ次第でいろいろな表現ができるので、想像力を働かせながら楽しく作ってみてくださいね♪
出典: シュペクラティウス(Spekulatius)は、ドイツやオランダ、ベルギーなどで食べられているジンジャービスケット。ドイツでは、薄くのばしてサンタクロースなどの模様が付けられ、スーパーなどでも市販されているお菓子です。シナモンやカルダモンの香りが特徴的で、やはりクリスマスによく食べられています。バターを使うとより風味が豊かになり、やみつきになる美味しさ。本場に近い形をめざし、できるだけ生地を薄くのばして焼くことで、食感がサクサクになってよりやみつき度が増しますよ。
出典: クリスマスの時期、ドイツの街を歩いていると、どこからか甘い香りが漂ってくることがあります。その香りの原因のひとつは、クリスマスマーケットなどで売られている焼きアーモンド。砂糖がけにしたアーモンドのことで、カリッとした食感と香ばしいアーモンドの風味が魅力。そのままはもちろん、シナモンやカカオをまぶしてもおいしいお菓子です。材料は少なく簡単にでき、誰にでも喜んでもらえる味なので、ぜひ気軽に試してみてくださいね。
出典: ドイツでクリスマスに食べられるお菓子はスパイスを使ったものが多いですが、キッフェルンは一切使わないお菓子です。三日月(Kipferl)という名前の通り月のような形をしており、ヘーゼルナッツパウダーやアーモンドパウダーがたっぷり入っているのが特徴。食べたところからほろほろと崩れ、バターの香りが口いっぱいに広がります。スパイスが苦手な方に贈るプレゼントにもおすすめです。
出典: マジパン(マルツィパン、Marzipan)は、砂糖と粉状のアーモンドを練り合わせた、日本でいう”あんこ”のようなお菓子。ドイツではそのまま食べられることもあれば、シュトレンに入れたり、ケーキの飾りつけとして使われたりすることもあります。お菓子としてプレゼントするなら、シンプルでアレンジも自在なチョコレートコーティングがおすすめ。しっとりとした口触りと、アーモンドの風味や香りがチョコレートで一体となって、これまでにない美味しさをお届けできますよ。
もしお菓子をプレゼントしたい人をおうちに招けるのなら、まだ寒さの残る2月ですから、あたたかいお菓子をプレゼントてみませんか?ドイツには、焼きたてアツアツを食べるのが美味しいお菓子もいっぱい。おうちなら誰にも邪魔されないゆったりとしたひとときを過ごしながら、バレンタインを思う存分楽しめますよ。
出典: アプフェル(Apfel)=りんご、シュトゥルーデル(strudel)=渦巻という名前の、オーストリアやドイツで食べられているお菓子です。グラニュー糖とシナモンで甘く煮詰めたリンゴを、向こう側が透けるくらい薄くのばした生地で渦巻きのように巻き、焼き上げて作ります。もうひと手間加えるなら、焼き立てにバニラアイスやホイップクリームを添えるとより美味しくいただけますよ♪
出典: ブッターは、ドイツ語でButter=バター。つまりブッタークーヘンはバターのお菓子という意味です。ふわふわなパンのような食感で、やさしい甘さとバターの風味が絶妙。焼きたてはトッピングのスライスアーモンドがカリカリとした食感をプラスしてくれますし、冷めると生地が落ち着いてまた違った味わいになりますよ。ケーキのような形に焼けば、特別感があってバレンタインでも楽しめます。
見た目からは想像できない美味しさ!カイザーシュマーレン
出典: 一見乱雑に見えますが、こちらはれっきとしたオーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世に愛されたお菓子。現在ではオーストリアから南ドイツまで、幅広く食べられています。パンケーキのように甘い生地を焼き、フォークなどで引き裂いて盛り付け、粉砂糖を振れば完成。いろいろなレシピがあり、レーズンやナッツを生地に混ぜ込むもの、ジャムやフルーツソースを添えるものなどバリエーションはさまざまです。温かいまま食べると、ふわふわの食感と優しい甘さが口いっぱいに広がりますよ。
出典: クラップフェン(Krapfen)は、日本で言う揚げパンのようなお菓子。地域によってさまざまな呼び方、作られ方、味わいがあります。こちらのレシピではイースト生地を使い、ふわふわの食感に。仕上げに粉砂糖を振り、アプリコットジャムを入れています。クラップフェンでは、その他いちごジャムを入れるもの、シナモンシュガーをまぶすものなどもあり、アレンジはあなた次第。冷めると食感が変わってくるので、温かいうちに食べてもらいたいですね。
一番大切な人には、一番手の込んだプレゼントをしたいもの。そこでちょっと時間はかかりますが、ケーキを贈ってみてはいかがでしょうか。ドイツで昔から食べられてきた本格的なケーキのレシピは、間違いのない美味しさ!大切な人の笑顔を思い浮かべながら、丹精込めて丁寧に作り上げましょう。
出典: オーストリアやドイツなどで親しまれているリンツァートルテ。オーストリア北部・リンツが発祥の地であると言われていますが、リンツ氏が作ったとも伝えられ、「リンツァー」が何を意味するかは分かっていません。アーモンドパウダーをたっぷり使い、シナモンなどのスパイスを混ぜ込んだサクサク生地に、甘酸っぱいジャムを塗って焼き上げるお菓子で、最上部に格子状の生地が乗っているのが特徴。切り分けても美しく見え、プレゼントにも最適です。絞り袋を使えば格子模様は難しくないので、ぜひ作ってみてくださいね。
お酒もチョコも濃厚!シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ
出典: シュヴァルツヴェルダー(Schwarzwälder)=黒い森の、キルシュトルテ(Kirschtorte)=さくらんぼ酒ケーキという、日本人にとってはちょっと名前が長すぎるこちらのケーキ。ドイツ・シュヴァルツヴァルト地方特産の、さくらんぼからできたお酒を使うケーキです。黒いココアのスポンジの間にクリームを塗り、削ったチョコレートをまぶして、最後にチェリーを飾り付ければ完成。チョコレートとお酒の風味が濃厚で、甘いもの好きとお酒好き、どちらにも好まれる味わいです。
出典: シュトロイゼル(Streusel)とは、ケーキ表面にまぶされたそぼろ状の生地のこと。これを散らしてケーキを焼き上げると、細かいシュトロイゼルがカリカリ、サクサクになり、食感のアクセントになります。シュトロイゼルが乗っているものはすべてシュトロイゼルクーヘンと呼びますが、こちらのレシピではチーズタルトがベース。濃厚なチーズの味わいと香ばしいシュトロイゼルが、絶妙なハーモニーを楽しませてくれます。
ドーム型のシルエットがかわいい♪マウルヴルフクーヘン
出典: マウルヴルフクーヘン(Maulwurfkuchen)は、マウルヴルフトルテともいい、直訳すると「もぐらケーキ」という意味です。こんもりとしたシルエットから分かるように、もぐらが土の中から顔を出す時にできる土の山を模したもの。もぐらが頑張って作ったケーキのようで、意味を知るとかわいらしく見えてきますね。ふわふわのココアスポンジでできた塚の中には、たっぷりのクリームとスライスされたバナナ。誰もが美味しいと知っている、間違いのない組み合わせです。
5.甘いものが苦手な人も楽しめる!しょっぱいお菓子
バレンタインでは、甘いお菓子が苦手な人に何を贈るかが、悩みどころのひとつ。そんな時には、塩気の効いたドイツのお菓子から選んでみませんか?お腹も気持ちも満足する、しょっぱくてボリュームのあるレシピです。
出典: くるんとひねった形のこちらのパン。プレッツェルという発音で知られていますが、本場ドイツの発音に倣うとブレーツェル(Brezel)と言います。ドイツではラウゲン液という大変危険な液体に付けてから焼くことで、こんがりとした色と独特の風味を出していますが、日本の家庭で扱うことはできません。そこで代用できるのが、重曹。重曹を溶かした水にくぐらせてから焼けば、本場に近い風味を再現できますよ。食べる時には、太いところにナイフを入れて、バターやハムを挟むのもおすすめです。
あめ色玉ねぎが美味しさの秘訣。ツヴィーベルクーヘン
出典: こちらは、ツヴィーベル(Zwiebel)=玉ねぎをたっぷり使った焼き菓子。お菓子という名前がついていますが、実際には甘くはなく、どちらかと言うとキッシュに近い味わいです。味の決め手は、玉ねぎを丸ごと2~3個スライスして、あめ色になるまで炒めること。深い甘味と香ばしい風味が、味わいに奥行きを与えてくれます。ドイツでは秋に家庭などでもよく作られ、出来立てのワイン「フェダーヴァイサー」と一緒にいただくのが定番。お酒好きの方へのプレゼントにもぴったりです。
出典: ドイツ南西部からフランス北東部にかけて広がる、アルザス地方で生まれたフラムクーヘン。パン生地を伸ばして、その上にサワークリーム、玉ねぎ、ベーコンなどを乗せ、フラム(flamm)=炎で焼き上げる料理です。上にのせる具材によって印象が全く違ってくるので、アレンジはあなた次第。例えばこちらのレシピでは、紫玉ねぎやズッキーニを使って色鮮やかに仕上げています。パプリカ、ルッコラ、トマト、ナスなども合いそうですね。
もちもち食感の甘くないパンケーキ!プファンクーヘン
出典: プファン(Pfann)=パンという名前のついた、ドイツの家庭でもよく作られるお菓子です。パンと言ってもクレープのように薄く、ジャムやヌテラを塗ったり、春の風物詩・ホワイトアスパラガスやハムと巻いて食べるのが定番。生地には砂糖を入れないので、甘くしてもしょっぱくしても楽しむことができます。ポイントは、クレープほど薄くはせず、厚みが残るように焼くこと。生地がもちっとして、日本人好みの食感になりますよ。
今年は大人なドイツのお菓子でバレンタインを楽しもう♪
年に1度のバレンタイン。せっかくのイベントをもっと楽しく過ごすために、今年はプレゼントのお菓子に力を入れてみませんか?意外なお菓子に会話がはずんで、大切な人の新たな一面を知ることができるかもしれませんよ。一口にドイツのお菓子といってもさまざまなので、プレゼントを贈りたい相手にぴったりなお菓子を探してみてくださいね。
それでは、ドイツでは恋人に何をプレゼントするのでしょうか。スーパーではバレンタイン風のチョコレートやお菓子も登場しますが、実際に贈るのは花束が主流。友人や同僚などに渡す義理チョコの文化はないそうです。他のヨーロッパ諸国も同様の形なので、世界を見渡してみると日本の方が特殊なのかもしれませんね。しかし日本では日本らしく、今年もバレンタインを楽しみましょう!ということで、今回はそんなドイツから、バレンタインにおすすめの手作りお菓子をピックアップしてみました。