カヌレとは、どんなお菓子?

出典:pixabay.com
ここ数年、専門店などがオープンし再び注目を集めている「カヌレ」。普段お店で見かけることや一度は食べたことがあっても、意外とどんな由来のお菓子かあまり知らない方も多いのではないでしょうか。
Canneléはフランス語で“溝のついた”という意味
Canneléは、フランス語で“溝のついた”という意味で、フランスのボルドー地方の女子修道院が発祥とされています。カヌレの正式名称は「Cannelé de Bordeaux(カヌレ・ド・ボルドー)」で、こんがりとした艶やかな表面と独特の溝がある形が特徴的。ワインの産地であるボルドーでは、ワイン製造工程で澱を取り除くために卵白を多く使っており、その余った卵黄の活用法としてカヌレが生まれたといわれています。
蜜蝋とカヌレ型を使った伝統焼き菓子
カヌレは、ミツバチが巣を作る材料として分泌する『蜜蝋』を使って、『カヌレ型』で焼くのが特徴。蜜蝋は、蝋としては唯一食べられる安全なもので、これを型に塗ってじっくり焼き上げることによって表面のカリッと感を出します。ただ扱いにくいため、現在では蜜蝋の代わりに型にバターを塗ったりオイルスプレーを吹きかけるレシピも多くあります。
“カリカリ モチモチ”食感と風味が魅力
カヌレは、外側が“カリッ”とハードで、中は“モチッ”と弾力がありしっとりしているのが特徴。ひと口食べると、香り高いバニラとバターの濃厚な風味とともにこんがりとしたほろ苦さも感じられ、さまざまな食感を楽しめるのが魅力です。
【手作り】カヌレ型の選び方
おうちでカヌレを手作りする場合、カヌレ型を用意しましょう。素材はおもに、銅製、テフロン加工やフッ素加工の金属製、シリコン製の3つ。それぞれの特徴についてご紹介します。
銅製の型
蜜蝋を使った本場のカヌレ作りに!
銅は熱伝導率がよく、短い焼き時間でカリッときれいに焼けるのが特徴。プロが焼くような蜜蝋を使った本格的なカヌレが作りたいときにおすすめです。寿命も長く、また形も本場のものを思わせるおしゃれなものがたくさんあります。デメリットとしては、緑青(ろくしょう)がつきやすいので、お手入れに少し気を遣う必要があり、お値段も少々お高めです。
【銅製の型】はこんな人におすすめ!
☑蜜蝋を使った本格的なカヌレに挑戦したい
☑カリッとした焼き上がり、こんがりきれいな焼き色に仕上げたい
☑本場のカヌレ型に近いものが欲しい
☑長く使えるものが欲しい
☑蜜蝋を使った本格的なカヌレに挑戦したい
☑カリッとした焼き上がり、こんがりきれいな焼き色に仕上げたい
☑本場のカヌレ型に近いものが欲しい
☑長く使えるものが欲しい
浅井商店 銅 カヌレ型 小
1,430円〜(税込)
※価格等が異なる場合がございます。最新の情報は各サイトをご参照ください。
テフロンなどの加工をした金属型
ステンレス・スチール・アルミなど
テフロンやフッ素などくっつきにくい加工を施した鉄素材や合金鋼の型は、型離れのよさやお手入れの手軽さが大きな特徴。もちろん焼き色もきれいにつくので、本格的なカヌレに近い見た目のものを手軽に失敗なく作りたいときにおすすめです。一個当たりの値段が同に比べてリーズナブルなので、複数個揃えたいという方にも◎ただ、加工は使用を重ねるうちにはがれてきますので、寿命は銅より短めです。
【テフロンなどの加工をした金属型】はこんな人におすすめ!
☑できるだけ本格的な見た目のカヌレを簡単に作りたい
☑中身がはずれやすい型が欲しい
☑お手入れが簡単なものがいい
☑一個当たりがリーズナブルで豊富な種類から選びたい
☑できるだけ本格的な見た目のカヌレを簡単に作りたい
☑中身がはずれやすい型が欲しい
☑お手入れが簡単なものがいい
☑一個当たりがリーズナブルで豊富な種類から選びたい
霜鳥製作所 ブラックフィギュア カヌレ焼型 10個セット 日本製 D-076
2,160円〜(税込)
※価格等が異なる場合がございます。最新の情報は各サイトをご参照ください。
シリコン型
柔らかくてはずしやすい、シートタイプも便利
シリコン型は、テフロンなどの加工を施した金属製と同様に型離れやお手入れがとても簡単。とにかくカヌレを一気に複数作りたい大量生産に重宝します。写真のように1枚のシートにいくつもの型がついたシリコマートは、扱いやすく、また別売りのものをいくつもそろえるよりも経済的。ただ、金属製に比べ焼き色がつきにくく、焼き時間がやや長めになりがちです。
【シリコン型】はこんな人におすすめ!
☑簡単にカヌレを大量生産したい
☑するっと型離れするものが欲しい
☑お手入れは洗うだけの手軽なものがいい
☑リーズナブルな価格重視
☑簡単にカヌレを大量生産したい
☑するっと型離れするものが欲しい
☑お手入れは洗うだけの手軽なものがいい
☑リーズナブルな価格重視
シリコマート スモールカヌレ 18ヶ取 SF033
2,079円〜(税込)
※価格等が異なる場合がございます。最新の情報は各サイトをご参照ください。
【基本】カヌレの作り方
材料
牛乳・強力&薄力粉・卵・グラニュー糖、ラム酒・蜜蝋・バターなど
カヌレは、牛乳・小麦粉(薄力粉・強力粉)・卵・グラニュー糖・バターなど洋菓子の基本材料のほかに、ラム酒を使ったり、型に蜜蝋を塗るのが特徴。
※食用の蜜蝋は製菓材料店などで購入できますが、手に入りにくいのでバターやオイルスプレーでもOK。(より表面のカリッと感が長持ちするのは蜜蝋です)
※食用の蜜蝋は製菓材料店などで購入できますが、手に入りにくいのでバターやオイルスプレーでもOK。(より表面のカリッと感が長持ちするのは蜜蝋です)
作り方の手順
STEP1:焦がしバターを作る
バターを鍋に入れて中火にかけ、薄い茶色になるまで加熱します。そして濡れ布巾の上に鍋底を当てて色止めをします。バターを溶かして使うレシピもありますが、焦がしバターにすると香りが違うのでおすすめです。
STEP2:牛乳とバニラを沸騰させる
牛乳にバニラビーンズもしくは写真のようなバニラペーストを入れ、中火で沸騰させてから人肌程度に冷ましておきます。市販のバニラビーンズは量が少ないので、バニラペーストをひとつ持っていると重宝します。
【ここがポイント!】
牛乳は、必ず一度沸騰させましょう。沸騰させることで泡立たなくなるため生地が安定しやすく、焼いているときの生地の飛び出し防止にもなります。
牛乳は、必ず一度沸騰させましょう。沸騰させることで泡立たなくなるため生地が安定しやすく、焼いているときの生地の飛び出し防止にもなります。
STEP3:粉類と砂糖を混ぜ、牛乳を加える
薄力粉・強力粉・グラニュー糖を混ぜ、バニラ入りの牛乳を注ぎながら、泡立て器で優しく練らないように混ぜ合わせます。
【ここがポイント!】
混ぜすぎは、生地が飛び出したり焼きムラなど失敗の原因になるのでNG!牛乳を少しずつ加えて、粉っぽさがなくなる程度で混ぜるのをやめましょう。
混ぜすぎは、生地が飛び出したり焼きムラなど失敗の原因になるのでNG!牛乳を少しずつ加えて、粉っぽさがなくなる程度で混ぜるのをやめましょう。
STEP4:焦がしバター・卵・ラム酒を加え、網で濾す
STEP3に焦がしバター・卵・ラム酒を加えて優しく混ぜ合わせ、網で濾しましょう。こうすることで、だまがあってもなめらかな生地に仕上げることができます。
【ここがポイント!】
バターなどを冷たい生地にいきなり入れると分離しやすいので、40~50℃程度にしておくとよいでしょう。
バターなどを冷たい生地にいきなり入れると分離しやすいので、40~50℃程度にしておくとよいでしょう。
STEP5:生地を12時間以上寝かす
生地にラップを落とし蓋のように密着させて、冷蔵庫で一晩(最低でも12時間以上)休ませてください。こうすることでグルテンが落ち着きます。生地を寝かせたあと型に流す作業に入る前に、必ず生地を常温に戻しておきましょう。
【ここがポイント!】
生地は最低でも12時間寝かせますが、できれば24時間以上寝かせるのがおすすめ。休ませる時間が長いほど、生地の飛び出しが少なくなり、色も形もきれいに焼き上がります。ちなみに、寝かせた生地は、上にバター、下に粉と分離しやすいので一度濾すとよいでしょう。
生地は最低でも12時間寝かせますが、できれば24時間以上寝かせるのがおすすめ。休ませる時間が長いほど、生地の飛び出しが少なくなり、色も形もきれいに焼き上がります。ちなみに、寝かせた生地は、上にバター、下に粉と分離しやすいので一度濾すとよいでしょう。
STEP6:生地を常温に戻し、カヌレ型に蜜蝋やバターを塗る
蜜蝋を使う場合は、120℃の温度のオーブンに蜜蝋入りの型を入れて溶かし、ハケで全体に塗ったら、網の上に型を逆さに置いて余分な蜜蝋を下に落とします。バターまたはオイルスプレーを塗る場合も同様に、型を伏せて置きましょう。
【ここがポイント!】
型を逆さにして蜜蝋が固まったあと、部分的に分厚くなってしまった場合はナイフを使ってきれいに削ってください。蜜蝋をより均一にするには、型の内側に塗って逆さにしたらもう一度オーブンに入れるとよいでしょう。
型を逆さにして蜜蝋が固まったあと、部分的に分厚くなってしまった場合はナイフを使ってきれいに削ってください。蜜蝋をより均一にするには、型の内側に塗って逆さにしたらもう一度オーブンに入れるとよいでしょう。
STEP7:生地を注いで温度調整しながら焼く
生地をカヌレ型に8分目程度注ぎ、230℃程度の高温に予熱したオーブンへ。途中で190℃に温度を落とし、さらに焼きましょう。カヌレは、最初に一気に高温で焼いて水分を飛ばし、そのあと少し温度を下げてしっかり焼くことで、外はカリカリ、中はしっとりの焼き上がりになります。
【ここがポイント!】
焼く途中で生地が浮いてきたら、型を取り出して斜めにしてトンと底を打ちつけて中の空気を抜きましょう。この作業を行わないと焼きムラができやすくなるので、焼成中も状態をよく確認してください。
焼く途中で生地が浮いてきたら、型を取り出して斜めにしてトンと底を打ちつけて中の空気を抜きましょう。この作業を行わないと焼きムラができやすくなるので、焼成中も状態をよく確認してください。
カヌレの完成!
焼きあがったらすぐに型からはずしましょう。外側はカリカリ、中はしっとりの美味しいカヌレのできあがりです。
作り方の動画もチェック
カヌレの作り方が分かりやすくまとめられた動画です。作業の流れを把握するためにチェックしておきましょう。
※焦がしバターでなく溶かしバターを使うなど若干の作り方の相違がありますが基本的には同じです。
【本格】こだわりが光るプロのレシピ
エシレバターやバニラビーンズでワンランクアップ
芳醇な香りの発酵バターとして人気の「エシレバター」を使ったワンランクアップのカヌレレシピ。バニラビーンズも使用して香り高い味わいに仕上げています。バニラビーンズは鞘を半分に割いたら、ナイフの先を使って種を丁寧にこそげ、鞘も種も牛乳に入れて加熱して香りを移すのがポイント。生地を寝かせるときも、鞘は浸したままにしましょう。
銅型で作る本格カヌレ・ボルドー
銅型で焼けば本格的な焼き上がりになるのですが、問題は型離れ。こちらのレシピは、澄ましバター(湯煎でバターを溶かした際の上澄み)を型に塗ることでその悩みを解消しています。乳固形分を取り除いた純粋な乳脂肪分のため、250℃までは焦げない特徴があり型離れがよくなるようです。
澄ましバターについて紹介されています。
48時間生地を寝かせたブランデー入りカヌレ
こちらは、2日間(48時間)生地を寝かせた本格カヌレ。生地が落ち着くので、外カリッ・中しっとりの対比が際立ちます。また、カヌレは本来はラム酒を使いますが、このレシピではダークラム酒のほか、ブランデーも使っているのがポイント。種類の違う洋酒やアルコールを加えてアレンジするとよりリッチな風味を楽しめそうです。
生地に生クリームを入れてしっとり感アップ
本来のカヌレには生クリームは入れませんが、生地に入れるとしっとり感が増し、焼いたあとの風味もよくなるようです。本場のプロのテクニックとして、取り入れてみるのもいいですね。
【簡単】100均・型なし・時短のお手軽レシピ
セリアのシリコン型で作るカヌレ
100均(セリア)のシリコン型を使って、プチプラでおいしいカヌレができます。このレシピでは「耐熱温度以下でも20分以内の使用で」という商品の説明書きに沿って、温度調整の合間に一度型を外で休ませるなどの工夫がされています。また、セリアのシリコン型は4個取りで内側の部分に焼き色がつきにくいため、はさみで4つに切って使うのもおすすめのアイデアです。
カヌレ型なしでもOK!使い捨てのマフィンカップで代用
カヌレ型がない場合は、100均の使い捨ての紙のマフィンカップなどでもカヌレができます。カヌレは高温で焼くので、ステンレスのプリン型でもOK。紙型やアルミ型を使う場合は、耐熱温度を確認して使いましょう。
寝かせない時短カヌレ
カヌレは生地を長時間寝かすのが基本ですが、時間がない場合は寝かせずに焼いてもそれなりに美味しくできます。日常のティータイムのおやつとして手軽に楽しむなら十分かもしれませんね。
【応用】アレンジカヌレの人気レシピ
甘さと塩気のバランス!塩カヌレ
板チョコでできるカヌレ・ショコラ
モッチリ感アップの米粉カヌレ
紅茶のフレーバーカヌレ
ほんのり和風味♪抹茶カヌレ
リキュールが香り立つ オレンジカヌレ
甘酸っぱくてキュート!いちごカヌレ
クリーミーな生カヌレ
りんごの半熟カヌレ風
【参考】カヌレのおすすめレシピ本
カヌレ|熊谷真由美著(日東書院本社)
簡単な基本のカヌレをはじめ、ショコラ・紅茶・キャラメルなどフレーバーをきかせたものから、和風カヌレ、お食事系など、バリエーション豊富なカヌレのレシピが紹介されています。
カヌレ
1,232円〜(税込)
※価格等が異なる場合がございます。最新の情報は各サイトをご参照ください。
カヌレ Kindle版
1,109円(税込)
※価格等が異なる場合がございます。最新の情報は各サイトをご参照ください。
【番外編】カヌレ型を使ったアイデアスイーツ
カヌレ型は、カヌレ以外の使い方もできます。いろんなスイーツ作りにぜひ活用してみましょう。
バター控えめ!カヌレ風カップケーキ
プチケーキ風の低糖質チョコカヌレ
シリコン型でしっとりキャロットケーキ
キャンドル風がかわいいゼリー
ベリーのぷるぷるカヌレ型ゼリー
セリアのシリコンカヌレ型でボンボンショコラ
フルーツや練乳たっぷりのしろくまアイス風
cottaのレシピも参考に!
カヌレ以外のお菓子はこちらも参考に。
手作りカヌレで至福のティータイムを
見た目も味も食感も女性の心をくすぐるカヌレ。おうちで手作りしておいしく味わう生活なんて素敵だと思いませんか?次のお休みにぜひ挑戦して、リッチなティータイムをお過ごしください。
写真の左は寝かす時間が短かったもの、右はしっかり寝かせたもの。