「ハーブ」というと海外のものというイメージですが、日本で古くから親しまれている野菜や植物にもいわゆる「ハーブ」のように体にうれしいものや食生活に豊かさを加えてくれるものがあります。名前を聞くと「これもハーブなの?」と思うほど身近な存在なはず。食事や生活に取り入れるだけでなく、自分で栽培もしてみると、新たな発見があるかも。「日本のハーブ」と仲良くなってみてください。2020年03月27日作成
「ハーブ」とは、香りや味に何らかの作用があり、料理の香りづけや保存を高めるなどの食用のほか、薬用、防虫にも使われる「生活に役立つ」植物全般を指します。ラベンダーやローズマリー、カモミールなどヨーロッパで伝統的に使われてきた植物をイメージしますね。これらは料理やハーブティーとして食用に使われたり、アロマオイルやポプリなど香りを楽しんだりして、生活に取り入れられてきました。
香りや味に何らかの作用があり、食用、薬用、防虫などに使われるとなれば、日本で昔から愛用されている身近な植物でも「ハーブ」と言えるものがあるのではないでしょうか。それらを改めて「日本のハーブ」として、西洋のハーブと同じように生活に取り入れてみると、活用の幅が広がりそうです。ここでは、身近な「日本のハーブ」についてその特徴だけでなく、育て方や取り入れ方について、ご紹介していきたいと思います。
野草として生えているのを見かけることもある「よもぎ」。春にはよもぎを練り込んだ草餅を食べたり、お灸の「もぐさ」として使われたり、日本人にはとても身近な「ハーブ」と言えるでしょう。葉の緑の部分にはクロロフィルが含まれていたり、食物繊維はほうれん草の約3倍もあると言われています。また、その香りにはリラックス効果も。漢方の生薬として用いられることもあります。
苗を購入して、植木鉢やプランターなどで育てることもできます。野原で群生しているのを見かけることがあるように、特に丁寧な手入れなどしなくても、ぐんぐん育っていきます。繁殖しやすいだけに、庭などに地植えするよりは植木鉢、プランターでの栽培が安心です。
葉を乾燥させたものを煮出して「よもぎ茶」として飲むことも。よもぎに含まれる栄養を効率よく摂ることができます。煮出して抽出したエキスをお風呂に入れれば「よもぎ風呂」にもなります。
自宅で収穫するなどそのまま食べても大丈夫なよもぎが手に入ったら、かきあげにしてみては? 柔らかい若芽が伸びる春におすすめの食べ方です。
よもぎの葉を練り込んだ草餅を見ると春を感じますよね。彩りが良いだけでなく、体にうれしい栄養も摂れると思うとますます食が進みます。白玉粉なら簡単に家でもよもぎを使った和菓子が作れますね。
よもぎを練り込むことで美しいグリーンのお菓子が出来上がります。熱を加えても色味の鮮やかさは消えません。
天然の色素として、パン作りにも活用できますね。春らしさを感じるかわいらしいちぎりパンにも。
食卓に上がる機会の多いシソ。緑色の青じそは大葉とも呼ばれます。梅干しを漬けるときなどに色付けに使う赤紫の「赤じそ」もありますね。縄文時代の遺跡からシソの種が発見されたと言われており、日本人とは長いおつきあいが。青じその清々しい香りの元はぺリアルデヒドという成分ですが、これは強い防腐・殺菌効果を持つもの。ほかに消化酵素の分泌を促して、食欲を増進させる効果も。その他、βカロテンやミネラルも豊富に含んでいます。
4月~6月ごろに種まきをすると、夏には葉を収穫することができます。日当たりのいい場所に置くと活発に成長しますが、葉が厚くなりすぎることも。食用なら日が当たりすぎないところで育てるのがよさそうです。花が咲きかけた「花穂」、花が落ちた後の「穂紫蘇(シソの実)」も食べられます。
青じその爽やかな風味を味わうなら、ザクザク刻んで薬味として。食欲が落ちる夏に持ってこいの食べ方ですね。
青じそがたっぷり手に入ったらバジルの代わりにシソを使った「しそベーゼソース」を作ってみては?パスタなどに活用できますよ。
シソは保存が難しく、すぐにしなびたり葉のまわりが変色するのが悩みの種。浅漬けにしてしまえば、美しい色のまま楽しむことができます。そのままご飯のお供にも♪
春の七草のひとつでもあるセリ。昔は水田の近くなどに自生しているのがよく見られたようです。旬の時期は2月~4月ごろ。スーパーでも売られているものの「買ったことがない」という人もいるかと思いますが、秋田県ではきりたんぽ鍋には欠かせないおなじみの野菜です。独特の香りはオイゲノールという成分によるもの。シナモンやクローブに含まれるのと同じ成分で、抗菌・殺菌作用とともに、鎮静効果もあると言われています。茎や葉を乾燥させたものは「水芹(すいきん)」と呼ばれる生薬として、食欲増進や解熱に用いられてきました。ビタミンCやミネラル、βカロテンの栄養素が豊富です。
スーパーなどでセリを買うと、根っこがついていることがあると思います。根っこも食べられるのですが、あえて食べずに取っておき、水をはったコップに差しておきましょう。しばらくすると根が伸びてきます。そのまま土に植え替えてもいいですし、水耕栽培を楽しんでも。
セリの香りをたっぷり楽しむなら、汁物に。いつものお味噌汁に具材として加えるだけで、春らしい香りが。
きりたんぽでもセリをよく使う秋田県の郷土料理「せり蒸し」。根っこもしっかり洗って刻み、一緒に食べるのだとか。お出汁のやさしい味わいとセリの風味が染みます。
セリの独特の香りや風味はパクチーに近いものがあるかもしれません。となると、エスニックな味わいにも合うはずですよね。新玉ねぎの程よい辛みとの相性もぴったり。
漢字で書くと「山葵」とされることからも、水のきれいな山あいの土地で収穫されるイメージがあるわさび。収穫できるようになるまでには、種類によって1年から2年とも。その生育条件も厳しく、希少なものです。鼻に抜けるような辛みの元は「アリルイソチオシアネート」という成分。この成分に抗菌作用があることは有名ですね。ほかにもわさびに含まれる成分には、血栓ができるのを防ぐ働きや、抗酸化作用があると言われています。また、わさびの香りには、睡眠からの覚醒作用もあるとも。
すりおろして食べるのは、わさびの根茎部分。その上に伸びていく葉や花は「葉わさび」「花わさび」と呼ばれ、食べることができます。「花わさび」は花が咲く前のつぼみの状態ですが、葉もつぼみもわさび特有のツンとした辛さがあります。
水のきれいな沢で育てる「沢わさび」は難易度が高いですが、畑の土の中で育てる「畑わさび」なら自宅でも育てられそう。温度管理が難しいので、ほどよい温度の場所へ移動できるようにプランターで育てるのがよさそうです。茎部分が食べられるまで育つにはかなり時間がかかるものの、葉わさび、花わさびなら、すぐに収穫できそうです。
野菜がたっぷり余ってしまったら、わさびをピリリと効かせたわさび漬けに。きゅうりもいいですし、セロリや山芋なども。食欲が落ちる夏に冷蔵庫に常備したいですね!
わさびにはマヨネーズや乳製品に混ぜると辛みを感じにくくなる特徴が。マヨネーズ、醤油と合わせた「わさびドレッシング」もおすすめですが、さらにわさびドレッシングを使ったタルタルソースも肉料理、魚料理に、ディップとして、活用の幅が広がりそうです。
おつまみとして欠かせない枝豆。わさびに漬けこむとピリッとした辛みがますますクセになるおつまみにバージョンアップされます。
花わさびが手に入ったら、さっとゆでておひたしでいただくのもいいですが、しょうゆ漬けにして常備菜とするのもおすすめです。熱湯で茹でず、80度程度のお湯で茹でることが、辛みを逃がさないコツとか。
親しみ深い野菜や植物も「ハーブ」と捉えると、また違ったおつきあいができそうですよね。体にうれしい働きを美味しく取り入れて、より豊かな生活が送れますように。
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「ハーブ」とは、香りや味に何らかの作用があり、料理の香りづけや保存を高めるなどの食用のほか、薬用、防虫にも使われる「生活に役立つ」植物全般を指します。ラベンダーやローズマリー、カモミールなどヨーロッパで伝統的に使われてきた植物をイメージしますね。これらは料理やハーブティーとして食用に使われたり、アロマオイルやポプリなど香りを楽しんだりして、生活に取り入れられてきました。