古くから親しまれている《フランス家庭料理》で、乾杯しませんか*
身の回りの手に入れやすい食材でつくれると思うと、なんだか親近感がわきませんか?今回は、ぜひ、その《フランス家庭料理》の味を楽しんでいただきたいと思い、定番のレシピをまとめました。お肉や豆の煮込み料理など、親しみやすいものばかりです◎。ワインと一緒にいただく、本場スタイルで楽しんでみて♪
ブルゴーニュ地⽅の家庭料理『ブフ・ブルギニョン』
ブルゴーニュ地⽅とは?
フランスの中東部に位置するブルゴーニュ地⽅。ロマネ・コンティなどで知られるワインの名産地であり、また、りんごの産地としても有名。りんごのお酒である「シードル」や「カルヴァドス」を作っている農家さんも多いです。また、そば粉でつくったクレープ「ガレット」発祥の地としても知られていますよ。
『ブフ・ブルギニョン』…本場ではどんな料理?
『ブフ・ブルギニョン』は、⽜⾁を⾚ワインで煮込んでつくる、シチューのような料理。「ブフ(boeuf)」とはフランス語で“⽜⾁”、「ブルギニョン(Bourguignon)」とは“ブルゴーニュの”という意味を指します。
元々はブルゴーニュ地方の貧しい農⺠たちが、筋の多い牛肉をなんとかして食べるため、飲み残しのワインで煮込んでつくったものなんだそう。そのようなエコ料理感覚のものですが、ビーフシチューの原型になったとの説もあります。ブルゴーニュ地⽅では各家庭ごとにオリジナルレシピがあるそうですよ。
『ブフ・ブルギニョン』のつくりかた
サヴォワ地方の家庭料理『タルティフレット』
サヴォワ地方とは?
アルプス山脈の懐にあるサヴォワ地方。ヨーロッパ最高峰のモンブランがあることでも有名です。毎年冬にはスキーを楽しめるリゾート地として、盛り上がりを見せますよ。
名産品は、広大な土地を利用した放牧でつくられるチーズ。スイス、イタリアと国境を接していることもあり、いろんなチーズ料理を味わえるところでもあります。
『タルティフレット』…本場ではどんな料理?
『タルティフレット』は、オートサヴォア地方で古くから作られていた「ペラ」という伝統料理に着想を得て、1980年にアレンジしてつくられたものとのこと。その名は、産地のじゃがいも名「タルティフラ」から名付けたそうです。チーズ、玉ねぎ、ベーコン、じゃがいもと、材料はいたってシンプル。かつて「ペラ」はフライパンで作られていたようですが、現在はこのように耐熱容器に入れてオーブンで焼いたものが一般的です。
ルブロションチーズが一般的ですが、家庭によってはチーズをミックスしたりと、アレンジしてつくられています。
『タルティフレット』のつくりかた
ラングドック地方の家庭料理『カスレ』『鱈のブランダード』
ラングドック地方とは?
ラングドック地方といえば、世界遺産であり、ヨーロッパ最大級の城塞都市「カルカソンヌ」のあるところ。フランスでは「カルカソンヌを見ずして死ぬな」と称されるほど、美しい外観を誇ります。そんなラングドック地方は、赤ワインの名産地としても知られています。
『カスレ』…本場ではどんな料理?
『カスレ』とは豚肉ソーセージやアヒル肉などと、白いんげん豆を煮込んだ煮込み料理。カソール(cassole)と呼ばれる土鍋で煮ることからその名が付いたそうです。実は、14~15世紀にかけて起こった百年戦争時代からの郷土料理なんだとか。傷ついた兵士への食事としてつくった豆料理が起源とされています。たくさんの食材を煮込めば栄養たっぷりで、体も温まりますね。
『カスレ』のつくりかた
『鱈のブランダード』…本場ではどんな料理?
ラングドックやプロヴァンス地方など、南仏を代表する郷土料理。調理手順は様々ですが、基本は牛乳で茹でた干し鱈とジャガイモ、ニンニク、オリーブオイル、牛乳を混ぜて、ペースト状した料理です。鱈は地中海料理においてメジャーな食材になっていますが、バイキングの時代に北欧から持ち込まれ、保存食として定着したんだとか。現地で干し鱈は、保存食として、あら塩が付いた状態で売られていてます。
『鱈のブランダード』のつくりかた
【おまけ】チーズを溶かすだけ♪簡単すぎる《家庭料理》もご紹介
サヴォワ地方の家庭料理『ラクレット』のつくりかた
フランス語で、削る、削ぎ落とすという意味の「ラクレ」が由来になっている『ラクレット』。チーズの断面を温めて、溶かした部分を蒸したじゃがいもの上に削ぎ落として食べる郷土料理です。フランスでは、家庭用にラクレットグリルが売られています。塩っけの強い生ハムやサラミ、ピクルスなどと一緒に食べるのが一般的です。
サヴォワ地方の家庭料理『チーズフォンデュ』のつくりかた
サヴォワ地方は、白ワインの産地としても有名な土地。その白ワインなどで煮込んだチーズをたっぷり使う料理が、フランス語で「フォンデュ・サヴォワイヤール」と呼ばれる『チーズフォンデュ』です。
面白いのが、本場フランスでチーズフォンデュをいただくとき、パンを鍋の中に落として見失ってしまうと、奢らなければいけない習慣があるんだそう。そんな罰ゲームで盛り上げてくれるのも、チーズフォンデュの魅力。
日本でもお馴染みのチーズフォンデュですが、ちなみに本場では、食材よりも、断然チーズが主役。コンテ、トム・ド・サヴォワ、ボーフォールなど、サヴォア地方特産のもの、また、エメンタール、ルブロションといったチーズも使われます。この中から3種類ほどチーズを混ぜるのが一般的だそうですよ。
フランスに想いを馳せる、美味しいひと時を♪
つくってみたい《フランス家庭料理》はありましたか?その土地に古くから伝わる郷土料理も、今では家庭で愛されるおふくろの味になっているんですね。そのような文化を大切にするフランスに想いを馳せながら、美味しい一皿をぜひ味わってみてください。
フォアグラ、トリュフ、キャビア……。フランス料理と聞くと、そのような高級食材をイメージする方が多いかもしれませんが、実際、フランスの一般家庭のほとんどで親しまれているのは、昔から伝わる伝統的な郷土料理。じゃがいも、チーズ、さらには飲み残して余った赤ワインを使ったりと、庶民的な食材によるものが多いのです。