ミネラル不足に要注意!でも、そもそもミネラルって?
ミネラルとビタミンの違いとは
夏は特にミネラルを失いやすい季節
気温の高い状態が続く夏は、特にミネラル不足に注意が必要です。大量の汗が体内のミネラルも一緒に排出してしまったり、食欲が落ちて慢性的な栄養不足に陥ってしまう恐れがあるためです。夏に負けない元気な身体を維持するために、まずは私たちにとってミネラルがなぜそれほど大切なのか、体内でどんな役割を果たしているのかについて見ていきましょう。
ミネラル不足になるとどんなことが起こる?
足がつりやすくなる
寝ている間に急に足がつり、「イタタ!」なんて悲鳴を上げながら目が覚めた経験はないでしょうか?
足がつる症状には筋肉疲労や血流不足などいくつかの原因が考えられますが、発汗による水分・電解質のバランスの乱れもそのひとつです。筋肉の収縮をスムーズにするカルシウム、神経の興奮を抑えてカルシウムの働きを助けるマグネシウム、筋肉の活動を調節するナトリウムやカリウムといったミネラルが不足すると、筋肉の収縮と弛緩がうまくいかず、こむら返り(筋痙攣)を引き起こす原因となってしまいます。
貧血を起こしやすくなる
ヘモグロビン(血液の赤色色素)の成分となる鉄分が不足すると、貧血や倦怠感、筋力の低下、冷え性などの原因となることがあります。女性はそもそも月経や出産によって鉄分を排出する機会が多く、気付かないうちに慢性的な鉄不足となっていることも。妊婦・授乳期の方や月経過多にお悩みの方は、特に積極的に摂取するようにしましょう。
骨がもろくなる
体内のカルシウムのうち99%は骨と歯に、残りの1%は血液や細胞に含まれていて、血液中のカルシウム濃度が下がると、骨に貯蓄された分が溶け出して補おうとします。しかし血中カルシウム不足が長く続いた場合、骨のカルシウムは排出されすぎてスカスカの状態に。こうした骨粗しょう症に陥らないためには、若いうちからカルシウムをしっかり補い、丈夫な骨を作っておくことが大切です。
不安やイライラが起こりやすい
カルシウムにはイライラや抑うつ感を防止し、神経の伝達機能を正常に保つ役割もあります。また、カルシウムがきちんと働くにはマグネシウムの存在が欠かせません。マグネシウムが不足するとカルシウムも一緒に溶け出てしまい、逆にカルシウムを摂りすぎてもマグネシウムの吸収を妨げるため、どちらもバランスよく摂取する必要があります。
髪の毛や爪、肌の健康が損なわれる
歯、骨、爪を形成するカルシウム、血液循環によって体内に酸素を運ぶ鉄、新陳代謝を活発にする亜鉛などが不足すると、肌や髪、爪などの健康が損なわれることがあります。「最近爪が薄くなった」「髪にツヤがない」と気付いたら、たんぱく質やビタミンとともにミネラルの積極的な摂取も心がけましょう。
ホルモンバランスが崩れやすい
亜鉛、セレン、銅といったミネラルが不足すると女性ホルモンのバランスが乱れ、生理痛や生理不順を引き起こすと言われています。特に亜鉛の不足は女性ホルモンの分泌量を減少させるため、卵巣の成長不良、排卵の遅れ、子宮内膜の早期剥離による生理不順の原因に。生理中の身体が特につらいと感じたら、毎日の食生活を改めて見直してみるのもひとつの方法です。
ミネラルは体内では作り出すことができない成分
私たちがミネラルと呼んでいる無機質には、実はとてもたくさんの種類があります。その中でも、人間の身体を作る上で欠かせない栄養素としてわかっているミネラルは16種類。さらにその中の13種類(マグネシウム、カルシウム、リン、カリウム、ナトリウム、クロム、モリブデン、マンガン、鉄、銅、亜鉛、セレン、ヨウ素)については、厚生労働省によって摂取指標が定められています。
ミネラルは体内で作り出すことはできないため、食べ物として外から取り入れるしかありません。サプリメントで効率よく摂取することもできますが、身体作りの基本は、やはり野菜を中心としたバランスの良い毎日の食事です。夏の暑さによるちょっとした体調不良に気付いた時は、ミネラルを上手に補給できるメニューを一品加えてみませんか?
食事でしっかり補おう!おすすめの『ミネラル食材』とレシピ
ナトリウムの補給 → 食塩、味噌、醤油、干物、漬け物など
カリウムの補給 → 海藻類、大豆、アボカド、きのこなど
鉄分の補給 → レバー、ひじき、小松菜、豆腐など
カルシウムの補給 → 乳製品、小魚、緑黄色野菜など
マグネシウムの補給 → 海草類、ナッツ類、ごま、大豆製品など
亜鉛の補給 → 牡蠣、豚レバー、ごま、ココアなど
外出中のミネラル補給は、携帯できる食品でお手軽に
塩飴
外出先でミネラルを補いたい時には、塩飴を持ち歩いていると便利です。最近ではナトリウムに加え、同じく汗で失われやすいカリウム、カルシウム、マグネシウムなどを配合したものや、お年寄りから子どもまで食べやすい味に仕上げたものも市販されています。充分な水分補給とともに、手軽な塩飴を食べて熱中症予防に役立てましょう。
スポーツドリンク
甘酒
ミネラルをしっかり補給して、元気に夏を乗り切ろう
ミネラルは本来、野菜や肉、魚、穀物類をバランス良く食べていれば敢えて補う必要のない栄養素です。一度にたくさん取り入れれば良いというわけではなく、過剰摂取はかえって禁物。大切なのは、発汗や体調の変化などの自分の状態を把握し、適度なミネラルを補給することです。充分な睡眠や運動も組み合わせながら、猛暑に負けない元気な身体で夏を乗り切っていきましょう。
ミネラルとは、私たちの生命維持に必要な物質を作る無機質の総称で、具体的には、骨を作る「カルシウム」や、ヘモグロビンの成分である「鉄」などのことをさします。少量でも大事な役割を担う点はビタミンと同じですが、「代謝を助ける」という潤滑油の働きをするビタミンに比べ、体の構成成分そのものでもあるところが大きな違いです。