天然のお出汁のすすめ
日本料理に欠かすことのできない出汁(だし)。料理の基本となる出汁が美味しくなければ、美味しいお料理を作ることははできません。
普段は手軽に使える粉末出汁で済ませているという人も、料理の腕を上げたいなら、基本の出汁の取り方は身につけておきたいもの。天然素材を使った出汁は、風味の香りも格別で、いつものお料理もぐっと美味しく感じられます。
普段は手軽に使える粉末出汁で済ませているという人も、料理の腕を上げたいなら、基本の出汁の取り方は身につけておきたいもの。天然素材を使った出汁は、風味の香りも格別で、いつものお料理もぐっと美味しく感じられます。
天然出汁を作る4つの素材
・かつお節
・昆布
・煮干し
・干し椎茸
この4種類が、一般的に日本で使われている出汁の天然素材です。
それぞれの特徴を活かして使い分けたり、いくつかの素材を組み合わせたりすることで、出汁の風味に奥行きをだしたり、お料理の味わいに上品な深みを出すことができます。
・昆布
・煮干し
・干し椎茸
この4種類が、一般的に日本で使われている出汁の天然素材です。
それぞれの特徴を活かして使い分けたり、いくつかの素材を組み合わせたりすることで、出汁の風味に奥行きをだしたり、お料理の味わいに上品な深みを出すことができます。
もともと、人の味覚とは「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」の4つが基本だと言われていました。のちに味覚に関する研究が進むと、昆布出汁の主成分“グルタミン酸”が発見され、「旨味」と名付けられた味覚が追加されました。
昆布の旨み成分が発見された後、かつお節や煮干しには“イノシン酸”、干し椎茸には“グアニル酸”といった旨み成分の発見にもつながっています。
昆布の旨み成分が発見された後、かつお節や煮干しには“イノシン酸”、干し椎茸には“グアニル酸”といった旨み成分の発見にもつながっています。
出汁の使い分け
出汁は、素材の種類や取り方によって濃さが代わり、合わせる素材との相性でも風味が変化します。
例えば、鰹だしは、上品な香りと出汁そのものの美味しさが味わえる「一番だし」、一番だしと昆布を合わせて煮物などの味付けに使われる「二番だし」があります。また、昆布だしは、粘りが出る直前まで煮出す湯だしと、水につけておくだけの「水だし」では、出汁の力強さが違います。
例えば、鰹だしは、上品な香りと出汁そのものの美味しさが味わえる「一番だし」、一番だしと昆布を合わせて煮物などの味付けに使われる「二番だし」があります。また、昆布だしは、粘りが出る直前まで煮出す湯だしと、水につけておくだけの「水だし」では、出汁の力強さが違います。
かつお節
独特の香りと旨みで日本食に欠かせない存在のかつお節。かつお節の主な旨み成分はイノシン酸で、昆布の旨み成分グルタミン酸と合わせると、より深い味わいの出汁を作り出せます。
最初に取れる「一番出汁」はすまし汁や茶わん蒸しなどに、一番出汁をひいた後のかつお節を使った「二番出汁」は、味噌汁や煮物などに向いています。
最初に取れる「一番出汁」はすまし汁や茶わん蒸しなどに、一番出汁をひいた後のかつお節を使った「二番出汁」は、味噌汁や煮物などに向いています。
一番出汁の取り方
ぐらぐらと沸騰した600㏄のお湯に、ひとつかみ(約12g)のかつお節を入れます。かつお節と水の分量の目安は、水の量に対してかつお節がその約2%~4%です。
二番出汁の取り方
水から煮出す二番出汁は、一番出汁で残ったかつお節をもう一度、最初の半分の量の水に入れます。水から煮立て、3分間沸騰させたら火を止め、上澄をこします。
かつお出汁を使ったレシピ
『かつおだしとだし巻き卵』
『かつお出汁が決め手!帆立と茗荷(みょうが)の炊き込みご飯』
昆布
北海道と東北で採集される昆布は、アミノ酸系のグルタミン酸が豊富な海の幸。だしを取るだけでなく、煮たり焼いたりしても美味しいミネラル豊富な食材です。
昆布は産地によってたくさんの種類がありますが、出汁用として有名なのは日高昆布や利尻昆布です。湯豆腐や鍋、茶碗蒸など食材の味わいを大切にするお料理に、上品で控えめな旨みがぴったりです。
昆布出汁の取り方
昆布だしの基本は、水の重量に対して昆布1%。水1リットルだとしたら、使うだし昆布は10g~20gです。
鍋に昆布と水を入れて30分くらいそのまま浸したあと、中火にかけて沸騰する直前で昆布を取り出します。
鍋に昆布と水を入れて30分くらいそのまま浸したあと、中火にかけて沸騰する直前で昆布を取り出します。
昆布の表面についている白い粉は旨み成分です。水洗いをすると、この旨み成分まで流れてしまいますから、昆布の表面を固く絞った布巾でさっと拭きます。
昆布出汁を使ったレシピ
『ハマグリ湯豆腐』
『里芋と昆布の雑炊』
昆布とかつお節の合わせ出汁
出汁の四素材は、組み合わせることでそれぞれの旨みが相乗効果で増し、奥の深い味わいのある出汁が取れます。最も人気のある組み合わせは、昆布とかつお節の合わせ出汁です。
合わせ出汁の取り方
水2リットルあたりに、昆布は20gとかつお節30gを使用します。
昆布の表面は布巾でさっと拭きとり、分量の水に約3時間ぐらい水に漬けておきましょう。鍋を火をかけて沸騰する直前に昆布を取り出し、弱火にしてアクを取り除きます。
昆布の表面は布巾でさっと拭きとり、分量の水に約3時間ぐらい水に漬けておきましょう。鍋を火をかけて沸騰する直前に昆布を取り出し、弱火にしてアクを取り除きます。
沸騰したら、差水をするかしばらく火を止めます。温度が下がったらかつお節を入れて、再び火にかけ、沸騰してから更に20~30秒くらい煮出します。
最後に火を止めて、ざるや布巾でかつお節を濾して出来上がりです。
最後に火を止めて、ざるや布巾でかつお節を濾して出来上がりです。
合わせ出汁を使ったレシピ
『大根のだし煮』
『鯛かぶら高野豆腐 』
煮干し(いりこ)
同じ魚系だしのかつお節に比べると、安価で手に入りやすい煮干し。旨み成分のイノシン酸はかつお節の約2倍、カルシウム・鉄・ビタミンD・たんぱく質などが豊富に含まれて、栄養価が高いのが特徴です。
かつお節よりも独特の魚の香りが強く、味噌汁によく使われます。
一般的なイワシの煮干しの他に、地方によってアジ、鯛、飛魚(あご)などの煮干しもあります。
かつお節よりも独特の魚の香りが強く、味噌汁によく使われます。
一般的なイワシの煮干しの他に、地方によってアジ、鯛、飛魚(あご)などの煮干しもあります。
いりこ出汁の取り方
水1リットルにつき、頭とはらわたを取った煮干しを20g~30g使います。
水に煮干しを入れ、30分以上水に浸してから火にかけ、アクをていねいにすくいながら、沸騰させます。沸騰したら火を弱め、さらに10分程煮込んでから煮干しを取り出します。
水に煮干しを入れ、30分以上水に浸してから火にかけ、アクをていねいにすくいながら、沸騰させます。沸騰したら火を弱め、さらに10分程煮込んでから煮干しを取り出します。
頭とはらわたを取り除くと雑味が取れて、さらに美味しいお出汁が取れます。
煮干しの魚臭さが苦手な方は、水につける前にフライパンで3~4分空炒りすると臭みが軽減します。
煮干しの魚臭さが苦手な方は、水につける前にフライパンで3~4分空炒りすると臭みが軽減します。
いりこ出汁を使ったレシピ
『きのこたっぷり・けんちん汁』
『トロトロ冬瓜入りの豚汁』
干し椎茸
干し椎茸の種類は、肉厚で歯ごたえが楽しめる冬茹(どんこ)と、肉が薄くちらし寿司や炒め物などに使われる香信(こうしん)に分かれます。
椎茸は、干すことによって味・香り・旨みが深まります。干し椎茸の旨み成分“グアニル酸”は、過熱すると旨みが増す特徴があり、煮物や麺つゆなどの出汁に少し加えると、干し椎茸独特の香りと旨みが加わります。干し椎茸の出汁は、干し椎茸を戻した時にできる戻し汁を出汁や煮汁として使用します。
椎茸は、干すことによって味・香り・旨みが深まります。干し椎茸の旨み成分“グアニル酸”は、過熱すると旨みが増す特徴があり、煮物や麺つゆなどの出汁に少し加えると、干し椎茸独特の香りと旨みが加わります。干し椎茸の出汁は、干し椎茸を戻した時にできる戻し汁を出汁や煮汁として使用します。
干し椎茸の出汁の取り方
干し椎茸の出汁は、干し椎茸を柔らかく戻した時にできる“戻し汁”を出汁や煮汁として使用します。
出汁として使う場合には、椎茸の出汁は単独ではなく、昆布やかつお節などの出汁と合わせて使うことが多いです。
出汁として使う場合には、椎茸の出汁は単独ではなく、昆布やかつお節などの出汁と合わせて使うことが多いです。
干し椎茸は水で素早く洗い、汚れを落とします。水1リットルあたり干し椎茸約30gを水につけて、柔らかくなるまで戻します。
水に浸してから出来るだけ時間をかけて、香りの成分をじっくり引き出すのがポイント。肉厚の冬茹なら3~4時間、香信でも1~2時間はかかります。
水に浸してから出来るだけ時間をかけて、香りの成分をじっくり引き出すのがポイント。肉厚の冬茹なら3~4時間、香信でも1~2時間はかかります。
干し椎茸の出汁を使ったレシピ
『高野豆腐と干し椎茸の含め煮』
『鶏肉とシイタケの煮物』
終わりに
美味しいお料理に欠かせない美味しいお出汁。和食の要となる出汁は、私たち日本人の日々の食生活を豊かなものにしてくれています。
昆布、かつお節、干し椎茸、煮干しの天然のお出汁素材には、それぞれ独特の風味と特徴があります。風味の違いや特徴を使い分けたり組合せることで、毎日のお料理が一層幅広くなりそうですね。
昆布、かつお節、干し椎茸、煮干しの天然のお出汁素材には、それぞれ独特の風味と特徴があります。風味の違いや特徴を使い分けたり組合せることで、毎日のお料理が一層幅広くなりそうですね。
沸騰したお湯にひとつかみのかつお節を入れ、約1分ほど煮立てます。その後火を止めて3分程たったら、ざるや布巾でかつお節をこします。