昔からの伝統・技術を守り、受け継いで、職人さんがひとつひとつ手づくりしている日用品や実用品は「民藝品」と呼ばれています。大量生産された日用品も安価で便利ですが、日本の手しごとで作られ続けている伝統工芸品は、佇まいが美しく、機能的で、丈夫で長く使い続けられるものばかりです。毎日使うアイテムこそ、民藝品を取り入れてみませんか?今回はわたしたちの暮らしの中にある身近な民藝品をご紹介します。2018年01月29日作成
芸術品や美術品ではなく、名も無き職人さんが伝統を引き継ぎながら作り出す日用品こそ美しい。それが「民藝品」と評価されたきっかけです。その民衆的工芸の美しさは「用の美」と呼ばれました。
工場での大量生産が当たり前になっている今だからこそ、職人さんの手作業でひとつひとつ作られた日用品に目を向けてみましょう。どれも丈夫で、機能的で、精巧なものばかり。長く大切に使おうという気持ちになりますよ。それでは、具体的にどんなものがあるのか、素敵な民藝品をご紹介します。
こちらは富山県で作られている「手つき楕円ざる」。本体は淡竹が、縁には強度のある真竹が使われています。ざるなので野菜や蕎麦など麺類の水を切るのに使えるほか、こんな風におにぎりや果物を乗せても、風情が楽しめます。
どこか懐かしさを感じる「六角盛りかご」は、岩手県二戸郡一戸町で作られています。材質は鈴竹。4mmほどのヒゴにした鈴竹を六角のかご目にきれいに編み込まれています。手作業の細やかさが感じられますね。ふきんを入れたり、水切りカゴにしたりと、使い勝手が良さそうです。
こちらは「ワラ釜敷き」。新潟県佐渡島で作られています。職人さんが手と足を使って、しっかりと編み込んでいます。鍋敷きとして使っても便利ですし、使っていない時も思わず壁にかけておきたくなる美しさですね。
「あけびのかごバッグ」は、青森の伝統工芸です。青森で取れるあけびの蔓を、職人さんがひとつひとつ丁寧に編み込んでいます。とても丈夫で、経年変化でどんどん飴色にツヤがでていくので、何十年と長く長く使うことができます。
こちらは鈴竹を編み込んだ「手提げ買い物かご」。岩手県・鳥越地区の鈴竹細工です。高い技術が必要で、さらに手間ひまがかかっているため製作期間が長く、年々希少となっているのだとか。マルシェバッグにも、ピクニックにも、お部屋に置いてインテリアとしても素敵なかごバッグです。
山本勝之助商店(かねいち)の「棕櫚(シュロ)ほうき」は、和歌山県の伝統工芸です。手軽でエコな掃除用品として最近人気のほうきですが、棕櫚製のものは適度に天然の油分が含まれているので、ワックス効果もあるのだそう。見た目も職人技が光り、スタイリッシュですね。
「はりみ」のちりとりと、はりみに合わせて作られた小箒です。生産地は新潟。はりみは厚紙と竹ひごで作られ、柿渋が塗られています。柿渋は静電気が起きにくい天然塗料なので、細かいちりを集めるのに最適なのだとか。小箒は茨城県の職人さんが、丁寧に丈夫に編み上げています。
鍛冶の町・新潟県・燕三条市の老舗包丁メーカー「包丁工房タダフサ」。伝統技術に培われた切れ味は、国内の人気だけでなく、海外でもその名を知られているほど。とはいえ難しいものではなく、日常的なふだんの料理を作るのにぴったり。特に女性が毎日使いやすいように作られています。
こちらは東京・浅草が起源の「大矢製作所」の銅おろし金です。職人さんの手作業で、ひと目ずつ刃を掘り起こして作られています。大根を潰さず、この細やかな刃で切っておろすので、とってもふわふわのみずみずしい大根おろしができるそう。プロにも愛用されている伝統工芸です。
「播州刃物」のはさみは、250年以上から金物産業が盛んな兵庫県の南西部で製造されています。キッチンばさみ、裁ちばさみ、植木ばさみ…どれも品質や耐久性が非常に高いものとなっています。
見た目のスタイリッシュさと、鉄分補給に効果的とのことで近年人気の「南部鉄器」は、岩手県の伝統工芸です。その歴史は深く、なんと平安時代後期からと言われています。最近はかわいらしいカラーポットなども展開していますね。
東京の下町・足立区にて、創業80年以上、親子4代にわたって銅鍋を製作している「中村銅器製作所」の銅の卵焼き鍋です。焼きムラや焦げつきが起こりにくいので、ふんわりとした卵焼きを焼くことができるんです。全国のプロの料理人に愛され続けています。
富山県高岡は、鋳物工芸が盛んな地域。こちらは大正5年創業の老舗金属加工メーカー「能作 (のうさく)」の、真鍮製の花器です。こちらもすべて職人さんによる手作業で作られています。4パターンそれぞれ違った表情が魅力的な一輪挿しです。
石川県金沢の伝統工芸、桐工芸品。石川県指定伝統工芸品に認定されています。こちらは「岩本清商店」の蒔絵のトレイです。味わい深い桐のトレイに、ちょこんと入れられたかわいらしい高蒔絵が素敵ですね。
石川県・七尾市で古くから作り続けられている「和ろうそく」。こちらは、七尾和ろうそくの老舗である高澤ろうそく店の「ろうそく等伯 燭台セット」です。櫨や米ぬか、菜種、椰子の油など、環境にも人にもやさしい自然素材にこだわって作られています。なんとも素朴な佇まいは、キャンドルとはまた違った魅力がありますね。
青森県の津軽地方に伝わる伝統工芸「こぎん刺し」の名刺入れです。繊細な幾何学模様は、ちょっとレトロな感じがかわいらしいですね。他にもポーチや印鑑ケースなど、日頃持ち歩けるアイテムが揃っています。
一方こちらは、山形県遊佐町に伝わる「遊佐刺し子」です。庄内刺し子の中のひとつで、印を付けずに一目ずつ刺していく「横刺し」という手法でつくられているそう。刺し子にも地方によってデザインや雰囲気の違いがあるんですね。
長い歴史と伝統技術が詰まった「民藝」と呼ばれる日用品について詳しくご紹介しました。美しい日本の手しごとを感じられるアイテムは、暮らしを豊かにしてくれます。日用品ではあるけれど、どれも丁寧に作り込まれているものなので、長く大切に使い続けようという気持ちにもなりますね。ぜひみなさんも、民藝品を暮らしに取り入れてみませんか。
アプリ限定!12星座占い、天気予報と気温に合わせたコーデをお楽しみいただけます
お買いものもキナリノアプリで◎
キナリノアプリ
「これが好き」、「これが心地よい」と感じてもらえるお買いもの体験と情報を。自分らしい暮らしがかなう、お買いものメディア
芸術品や美術品ではなく、名も無き職人さんが伝統を引き継ぎながら作り出す日用品こそ美しい。それが「民藝品」と評価されたきっかけです。
その民衆的工芸の美しさは「用の美」と呼ばれました。