不安でそわそわするのに原因がわからない・・・
この不安はどこからやってくるの?
近年の研究では、扁桃体だけでなく脳のいろいろな場所で不安に対する反応が出ると報告されています。脳への刺激や脳の反応の具合で、“不安”の形や大きさは変わるとも言えるでしょう。不安と対峙するとき、「気の持ちよう」とがむしゃらに向かうのではなく、体や脳のメカニズムを知るとよさそうですね。
理由のわからない不安にかられたときに試したいテクニック
まずは深呼吸
リラックスの基本といえば、深呼吸。呼吸を整えることは、場所や道具に関係なく簡単にできるリラックス法です。
不安が押し寄せてきて胸がどきどきしているとき、体は緊張状態にあります。緊張状態にあると無意識に呼吸は浅くなり、交感神経が優位になって興奮している状態に。深い呼吸を意識的に多くすると副交感神経が優位になって休息状態になり、心も体もリラックスできます。
筋弛緩法で体の力を抜く
緊張状態にあると体にもたくさん力が入ってしまっているから、意識的に力を抜いて強張りを取り除きましょう。筋弛緩法は、一度思い切り力を入れてから一気に脱力することで、筋肉の緊張を緩める方法です。
1.手をグーに握るなど、10秒ほど思い切り力を入れる。
2.手をパーに開いて、20秒ほど完全に脱力する。
3.1~2を繰り返す。
脱力したときに、体からの緊張がぱっと解放されるのを感じてください。
歩行瞑想で感覚に注意を向ける
心に穏やかさを取り戻すため、瞑想を行なう人もいるでしょう。しかし不安にかられているといてもたってもいられず、瞑想を開始してもしばらく心のざわつきが取れないときがありますよね。そんなときは、歩行瞑想を試してください。
読んで字の如く、歩きながら行なう瞑想法。足や歩行そのものに意識を向けます。まず体を動かすこと自体が、不安やストレスへの対処法の一つ。さらに、思考を落ち着けつつ軽い有酸素運動をする中で、幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンが分泌されて安らぎを取り戻しますよ。
エンプティ・チェアで外から不安を見つめる
溢れてくる不安に飲み込まれそうになったら、客観視する習慣が大切。エンプティ・チェアは、話を聞いて欲しい人や自分自身に語りかけることで問題などを客観視し、直情的な不安やストレスを手放す方法です。
1.2つのイスを用意する
2.片方のイス(A)に座り、もう片方のイス(B)に話したい人やもう一人の自分が座るのをイメージする
3.話したい人やもう一人の自分に向け、不安について話す
4.AからBに座り直し、話したい誰かやもう一人の自分ならどう声をかけるか考えながら、不安な自分に語りかける
5.1~4を数回繰り返して、不安を客観視していく
Aのイスに座る不安のいっぱいの自分から、Bのイスに座るたびに解き放たれていくはずです。
落ち着いたら不安の理由を探ろう
感情をすべて書き出す
不安でいっぱいで、きしきしと痛くてしかたなかった心や体が少し楽になったら、不安の根底を探りましょう。おすすめなのが、頭の中にあることをとにかく書き出して整理する方法。エクスプレッシブライティング(筆記開示)と呼ばれ、アメリカの社会心理学者ペネベーカーによって提唱されました。
1.ノートや紙に、思っていること、本音、些細な感情まですべて書き出す
2.毎日決まった時間に約10~20分間行なう
3.愚痴や文句ではなく、不安や悩みを書き出すのがポイント
このエクスプレッシブライティングは、続けるだけで気持ちが楽になりストレス耐性ができると言われています。不安や悩みをあるがまま認め、客観視する中でどう解決するかが見えてくるのかもしれません。
何が変われば“安心”するだろう
理由がわからないけれど、なぜか不安。漠然とした不安感は、日常の小さな幸福とそうでないことを見つめることで、形が見えてくるかもしれません。「こうだったらな」「ここが変化したら嬉しいのにな」と、変化することで安心につながるポイントを探すことで、不安の原因が見えてきます。
不安の形は見えるものの、どう対処したらいいかわからないときも、「どう変化すれば安心するか」を考えてみましょう。どう行動するか考えることはとても大切だけれど、やり方がわからないとさらに不安が膨らむこともあります。そんなとき、ゴールがイメージできていることは大切です。
不安は自分がつくり出している?
不安な気持ちは、まだ見ぬ未来に対して起こります。過去に起きた事象が理由だとしても、それが未来にどう変化するかが心配になる。未来に軸をおいた感情なのです。そこで大切なのが、未来に対し生まれる不安の原因が、“事実”なのか、ただの“想像”なのか、ということ。
未来の事象や人の解釈について、自分の中でイメージを膨らませてはいませんか?
起きてもいない未来を想像してしまうことを「先読み」、事実かわからない他人の感情などを深堀りして想像してしまうことを「深読み」と言います。正答だとしても、自分で考える時点では”想像”に過ぎません。
不安でいっぱいになったとき、確実に“事実”と言えることは何か、常に見つめ直すようにしましょう。
不安を減らすライフスタイルをつくろう
バランスのよい食事と水分を摂る
不安が起こりやすい体の状態は、食生活に原因がある場合も。塩分やカフェインなど、特定の成分を過剰に摂取して過栄養バランスが偏っていると、体の調子が崩れ、心の不調につながってしまいます。バランスのよい食事、たっぷりの水分補給を心掛けましょう。
ビタミンB、Dやマグネシウムを摂るとよいとされ、反対にカフェインや糖質の取り過ぎには注意したほうがよさそうです。
しっかりと深く眠る
不安やストレスに飲み込まれないためには、質のよい睡眠が欠かせません。この記事でも、不安は脳の扁桃体が司っていると説明しましたが、しっかりと睡眠をとらないと扁桃体が休めずに過活動になり、より不安を感じやすくなってしまいます。
朝日をしっかりと浴びて、反対に寝る前の光刺激を避けることがポイント。眠りを引き起こすメラトニンがしっかりと働いて、睡眠へと誘ってくれますよ。
定期的に体を動かす
ストレス解消に運動する人は多いと思いますが、定期的な運動はストレス解消や気分転換になるだけでなく、そもそものストレス耐性づくりにも効果的です。
運動をすると幸せホルモンと呼ばれるセロトニンやエンドルフィンがよく分泌され、心の疲れを取り去ってくれます。悩みが生まれたとき、なんとかなる!と強く思えたらいいですね。
ありがとうを贈り合う
ポジティブな言葉は、ときに魔法の薬になってわたしたちを支えてくれます。「ありがとう」や「嬉しい」、「幸せ」などの言葉を人に伝えたり、反対にもらったりする中で、心が自然と安心を感じていきますよ。
日本人は、何かしてもらったときに感謝とともに「申し訳ない」という気持ちも一緒に抱きやすいとされています。相手との信頼関係にもよりそうですね。純粋に感謝の気持ちや行動にフォーカスすることがポイントです。
不安をエネルギーに
不安はネガティブな感情のイメージがありますが、そもそもネガティブ感情は必ずしも悪いものではありません。不安があるからこそよい緊張感が生まれ、頑張ろうと思えたり達成した喜びを感じたりしますよね。
ある研究では、ジェットコースターに乗る前に強い不安を感じていた人ほど、乗った後に興奮や快感を感じたという結果が報告されています。リバーサル理論といい、不安はよりよい未来へのエネルギーになる可能性を秘めいているのです。
不安は隣にあるもの、仲よくできるもの*
とはいえ、今まさに体に襲いかかる不安の痛みはどうしようもないもの。リラックスしたり客観視したりする方法を試して、まずは自分を安心させてあげましょう。
そもそも、不安ってなんでしょうか。人はなぜ不安を感じるのでしょう。同じ未来を予想しても、不安を抱く人とそうでない人がいます。感情を司るのは脳の扁桃体という部位ですが、その前提には楽観的かどうかや育ってきた環境などが複雑に絡んでいるようです。