内なる「もやもや」、ためこまないで
「自分の感情」に正しく向き合うことは、私たちをより良い未来へと導いてくれる一歩となります。
今回は、自分の感情に向き合うことで心を整えるストレスコーピングの方法「8分間の筆記開示」をご紹介します。
- 寒さに負けない体を目指す!ゆらぎがちな冬のご自愛ケアキナリノ編集部
心を整えてくれるストレスコーピング「筆記開示」を試してみよう
筆記開示とは
筆記開示をすると、どんなメリットがあるの?
今の⾃分を、客観視できる
普段の忙しい日常のなかで、自分の感情と向き合うことはなかなか難しいもの。
本当は楽しくないのに“楽しい”と思い込もうとしていたこと、本当は辛いのに“平気”なふりをしていたことなど・・・。そういうことが蓄積されていくと、理由のない不安となって、心のモヤモヤの原因となってしまいます。
「筆記開示」でなんでもノートに書き記すようにすることで、客観的にどういう思考に陥りやすいのか、自分はどんな人間なのか――。ぼやけていた“自分の輪郭”が浮き上がってくるように、自分という人間を客観視する機会になります。
愚痴を吐いた後のように、心がすっきりする
例えば、聞き上手の友人がいて、その人に日々の愚痴をたくさん吐いたらすっきりしますよね。
今回「筆記開示」を行なうノートは、そのように、誰かに愚痴を吐くような感覚で使って良いものです。むしろノートは人に見せるものではないので、もっと素直に感情を吐き出してOK。乱暴な言葉でも、普段他の人にも言えないような感情でも大丈夫です。
本音を明かすと、愚痴を吐いてストレスを発散したように、心がすっきりとします。
感情のコントロールが上⼿になる
「筆記開示」を続けていくと、自分が陥りやすい負の感情の傾向や、負の感情が生まれる要因を、把握しやすくなります。
そのため、筆記開⽰を続けていけば、モヤモヤの負のループに陥ることを、未然にくいとめることができるようになります。例えば人と会話するなかで、「あ、この会話の流れ・・・このままだと自分が嫌な思いをしそう」など。察知できるようになれば、負の感情に陥らないよう、コントロールする術を持つことができます。
負の感情の「対処法」へのアクセスがしやすくなる
「筆記開示」は負の感情をコントロールする術を与えるだけでなく、根本的に負の感情が生じないように、どういう対処法が存在するのかを考えるきっかけもつくってくれます。
「自分ができることは何なのか」「自分自身が変わったらよいのか」「相手の気持ちを変えたらよいのか」など―― 今までは頭の中でぐちゃぐちゃになっていたものが整えられ、解決の為の⽅向性が分かってくるのです。
なぜ「8分間」なの?
頭の中に思い浮かんだ考えを書き尽くすのに必要な時間は、おおよそ8分間~20分間と言われています。最低8分間は、ひたすら書き出し続けることが効果的なのです。
「8分間の筆記開示」の実践方法
では、具体的に「8分間の筆記開示」を実践してみましょう。やり方はとても簡単です。
用意するもの
必要なのは、ノートとペンや鉛筆だけ!書き味の良いノートとペンを用意してみましょう。思いのほか、すいすいと書き進められて、どんどん楽しくなっていきますよ。
最初に使うノートは、あまり厚みがないものの方が、一冊を書き終える達成感を味わいやすくなります。
【step1】筆記開示を行なう時間帯、ルールを決める
ペース
時間帯
たった8分間の「筆記開示」ですが、習慣化したいことだからこそ、おおむね時間を決めておくのも、続けやすくするためのポイントのひとつ。
毎回同じような時間帯―― 例えば「夜のニュースを見終わったら」、「お風呂に入り終わったら」といったように、アクティビティ単位で決めるのもおすすめです。
寝る前に筆記開示するのも有効です。一日を思い返しながら、心の内を書き出すと眠るときにはすっきりできますね。モヤモヤした気持ちを抱えたまま、眠らなくていいのは、とても心地いいことなんですよ。
【step2】まずは「ネガティブな感情」を、ノートにひたすら書き出す
ポイントは、まずは、ポジティブではなく、頭に浮かんだ「ネガティブな感情」を全部書き出してみること。
負の感情をすべて搾り出したなと思ったら、あとは、なんとなく気になっていることや、ふと思ったことも書き添えていきましょう。
パソコンの方が書きやすいという人は、それでも大丈夫。ペンの方が筆記開示の効果を実感しやすい人が多いものですが、ペンで書くことに慣れていない人だと、それ自体がストレスになってしまうこともあるので、自分がやりやすい方を選んで、トライしてみましょう。
・自分自身が抱えている悩み、漠然とした将来の不安
・人間関係(対人関係)の悩み
・自分の家族の悩み
・お金の不安
・健康の不安
など
【step3】原因を考える
自分の心の中を全部書き出したら、基本的な筆記開示は完了です。
でも、もうちょっと時間をかけることをゆるして、ワンステップ進めるなら・・・書き出したワードをすこし遠くから眺めてみて、「どういうことが原因で、そのように考えているのか」を分析してみましょう。案外それらの原因は、それぞれに共通していることである場合も。
中には自分にまったく関係のない、考えても仕方ないようなことが原因になっていると気付くこともあります。
そうした気づきを得るだけでも、心が軽くなるものです。
【step4】対処法を考えてみる
感情を見える化してみると、先に述べたように、「対処法」を見出せることもあります。
もちろん、「対処法」はすぐに分かるほど、簡単なものではありません。なので、あくまでヒントになりそうなことを書き綴るだけで大丈夫。ちょっとのヒントでも、毎日の習慣として少しずつアップデートさせていけば・・・確かな「対処法」が見えてくるはずです。
心配ごとをひとつ減らしていくだけで、明らかに心が軽くなります。その積み重ねで、あとあと心の有り様が大きく変わってきますよ。
【step5】「プラスの感情」も書き出してみる
時間に余裕があるようであれば、プラスの感情も書き出してみると、さらに心が軽くなります。
負の感情を吐き出すことも大切ですが、楽しかったこと、嬉しかったことも併せて書き出すと、“日常は悪いことばかりではない”というのが、しっかり目に見えて理解できるようになります。
普段から、自分がいろいろな感情を持っていることをきちんと把握すること。そして、それを、自分自身であらためて見つめ、整理してみること。
自分が持つ複雑な感情を素直に認めてあげることで、心にゆとりが生まれていきます。
軽やかな心で毎日を過ごしていきたいですね
誰にも見せる必要のないノートに、ただただ思いを綴っていく「筆記開示」。これは、誰かに見せるものではなく、自分のためだけのものです。
「筆記開示」を通して、もっと自分の感情を大切に。そして、心豊かに暮らしていきたいですね。
「筆記開示」とは、ストレスコーピング(ストレスと上手に付き合っていくための手法)のひとつです。英語表記ではエクスプレッシブライティング(Expressive Writing)と表します。
普段心配していること、心の片隅にある気がかりなこと、また、明確な理由の無い漠然とした不安など・・・自分の感情や考えていることをひたすら書き出します。もちろんネガティブなことだけでなく、言えなかった感謝の気持ち、嬉しかったことなど、ポジティブなこともすべて。
感情を言語化する(見える化)ということが、大きなポイントです。