胸の奥につかえているものありませんか?
人にはこなせる仕事量に個人差があり、それは必ずしも自分の理想と一致しているとは限りません。もし無理をして多くの仕事を引き受けても、焦るあまりかえって能力が発揮できなくなるようなら、それは許容できる範囲を超えているキャパオーバーの状態です。
大切なのは、自身が抱えられる作業量を正しく把握し、まずはその範囲の物事をきちんとこなしていくこと。周りの人たちの目を気にしたり、ちょっとした自尊心などが原因で、責任の持てない物事にまでつい手を広げてはいないか、時には自分の心の中をチェックしてみましょう。
今の自分は本当の自分?
スケジュールを詰め込み過ぎて息つく暇もない
向上心の高い人は、時間を惜しんでスケジュールを埋め、色々なことにチャレンジしたいという気持ちも強い傾向にあります。忙しい毎日が本当に充実しているなら何も問題ないのですが、予定をこなすことを重視するあまり「あれもしたい」「これもしなければ」と自分を追い詰め過ぎるのは要注意。気持ちが疲れたままではせっかくのチャレンジも楽しめず、結果も中途半端に終わってしまうかもしれません。
仕事や家事、育児に追われる日々
仕事、家事、育児はそれひとつ頑張るだけでも大変なのに、家族のためにはすべてを平行してこなさなくてはいけない場面が頻繁にやってきます。毎日は瞬く間に過ぎ、週末にはすっかりヘトヘト。何とか気合いで乗り越えてはいるけれど、この大変さを家族はわかってくれてるのかなあ…なんて、たまには愚痴のひとつも言いたくなりますよね。
SNSばかりの繋がりに疲れている
SNSがコミュニケーションツールとして欠かせない現代では、スマホやパソコンを持ち歩くことによっていつでも誰かと緩く繋がった状態です。友人や知人のSNSに常に注意を払い、自分自身も時に発信し、一日のうちに何度も遣り取りするのは実はなかなかの労力。たまに煩わしく思っても、SNS上の繋がりを遠ざける勇気は持てず、結局貴重な時間の何割かをスマホに注いでしまうことも少なくありません。
チェックしてみて!「キャパオーバーサイン」
ミスが増える
自分ではいつも通りに振る舞っているつもりでも、キャパオーバーの状態になると些細な失敗が増えてきます。難しい作業をしている時に限らず、物忘れや勘違いなどの単純ミスが続くのは集中力が欠けている証拠。無意識のうちに頭や心が疲弊している可能性があります。
笑顔がなくなる
自分の処理能力が追いつかない状況に晒され続けるストレスは、酷い時にはうつ状態に近い症状を引き起こします。何をしても以前ほど楽しくない、食事をしても美味しくないなど、感情が動かず表情も乏しくなってしまったら、心に相当の負荷がかかっているサインです。
疲労感が抜けない
体は疲れているのに夜眠れないことが増えるのは、頭の中にいつも悩み事や不安が居座っているせいかもしれません。
十分な睡眠を取れないと疲れが抜けず、常に身体にもだるさを感じ、そのせいでさらに仕事が捗らないという悪循環に陥りがちです。
自分の気持ちをうまくコントロールできない
今までなら気にも留めなかった家族や友人の言葉に苛々したり、ひどく傷ついて泣きたくなったりするのは、心が不安定になっている証拠。自信を失っている分、周囲の反応に過敏になってしまうのです。何かおかしいと頭のどこかでわかっているのに感情をコントロールできなくなったら、自分が今キャパオーバーの状態になっていないか一度疑ってみましょう。
どんな人がなりやすい?
責任感が強く、一人で頑張ろうとする
頼まれた仕事はすべて自分の責任で遣り遂げようとする生真面目な性格の人は、多少の無理があっても一人で仕事を抱え込んでしまうことが多くなります。他人に迷惑をかけたくないという思いも強いので、周囲に助けを求めるのもあまり上手くありません。
頼まれたら断れない
すでに自分の仕事がたくさん詰まっているのに、周囲に助けを頼まれると断れず、つい引き受けてしまうという人も許容量を超える仕事を抱えがちです。多忙な時にお互いを助け合う気持ちは大切ですが、それによって自分のノルマに支障が出るようでは本末転倒になってしまいます。
仕事に優先順位をつけられない
やるべきことが一度にいくつも重なっていて時間も限られている場合は、どの仕事が一番差し迫っているのかをまず考え、取捨選択しなければなりません。優先順位をつけるのが苦手で、すべて同様に終わらせようと頑張ってしまう人は、結局どれも納得のいく結果に結びつかない恐れがあります。
負けず嫌いで弱みを見せたくない
自尊心が高く周囲の目を気にしやすい人は、「頼れる人」と評価されるのを好む一方、頼まれた仕事を断ることで自分の能力を疑われるのを嫌うため、キャパオーバーの状態に陥りやすいと考えられます。また、他人への競争意識から誰よりも成果を出そうと意気込み、自分の仕事を積極的に増やしてしまう傾向も見られます。
思い詰めやすくネガティブ思考
自分の能力を過小評価し、物事を悪い方に考えやすいネガティブ思考の人は、ちょっとしたトラブルでも行き詰まりを感じ、不安で頭がいっぱいになることがあります。マイナスのイメージに支配されて萎縮したままでは作業も進まず、結果的にたくさんの仕事を溜め込むことになってしまいます。
キャパオーバーの状態から抜け出すための考え方
自分の処理能力を把握しておこう
家庭であれ職場であれ、自分の仕事のキャパシティをきちんと把握しておくことはとても重要です。こなせる量やスピードを自覚していれば管理もしやすく、周囲に対しても「ここまではできる」「これ以上はできない」と明確に伝えることが可能になります。安請け合いをして後からトラブルになるよりも、初めの段階である程度線引きをしておいた方が、チームの仕事全体が円滑に回るのもよくあることです。
周囲の人にしっかり頼る
もし誰かがひとりで仕事を抱え込み、自分だけではもうどうにもならない段階でようやくSOSを発信しても、助けを求められた方は困ってしまいますよね。そんなことになる前に、早めに周囲を頼るのも選択肢のひとつです。「忙しい時はお互いさま」という助け合いの姿勢は、チームの絆を強くします。それぞれが自分の仕事に責任を持ち、手が足りない時は積極的に協力し合う。そんな雰囲気を作っておけば、誰もが安心して仕事を進めることができるはずです。
他人の評価を目標にしない
自分の仕事ぶりを認められたい、ちゃんと誉めてもらいたい、という気持ちは誰にでもあります。また、能力の低い人間だと周囲に思われたくない、というプライドもあるかもしれません。でも他人の評価ばかりを気にしていると、自分が本来担うべき範疇を越えて、際限なく頑張る羽目になってしまいます。周囲と協力できることは協力しつつも、時には「自分は自分」という冷静な判断も必要なのです。
完璧至上主義から抜け出す
質の高い仕事を遣り遂げようという努力や意気込みは素晴らしいものですが、何もかもを常に完璧に仕上げることなど誰にもできません。成功だけを目指して自分を追い詰めるのではなく、「良い時もあれば悪い時もある」という柔軟な心構えで取り組む方が、かえって余裕のある良い仕事ぶりを発揮できることがあります。
雑音はシャットアウトする
他人の声やさまざまな情報に振り回されて仕事が滞るくらいなら、一時的にでも周囲の雑音をシャットアウトするのも一つの方法です。作業を一旦止めてその場を離れたり、SNSに関わらないようスマホを遠ざけるなど、他人ではなく自分自身と向き合う時間を作ってみて下さい。
もっと身軽な「人生の歩み方」のススメ
部屋は今の自分を映す
いろいろな物があたりにあふれ、雑然としていて、必要なものもすぐには見つからない。そんなお部屋の状態は、今のあなたの心の中がそのまま反映されている可能性があります。気持ちに余裕がなく、悩みや心配、これからのスケジュールで頭が一杯になっていたら、お部屋の整理整頓になど手がつけられないのも当然です。
ある日ふとお部屋を見渡した時に、「あれっ、こんなに散らかってたっけ?」と思うことがあれば、いつのまにか生活習慣が乱れていたり、心身が疲れて気力がなくなっていた証拠かもしれません。少しずつお部屋を整頓するように、溜まったストレスをどうやって片付けていけばいいか、自分との対話を始めてみましょう。
やるべきことやスケジュールは分かりやすくまとめる
やるべきことがなんとなく山積みになった状態は、仕事の効率を下げるだけでなく、気持ちの上でも不安を招きます。まずは何から取りかかるべきか、手帳に書いたりメモしたふせんを貼り出したりして一度整理してみましょう。道筋がはっきり見えてくると、きっとモチベーションも上がりますよ。
家事を単純化して自分の時間をつくる
掃除や洗濯、食事の支度などの家事は、生活する上ではやはり避けては通れません。面倒でもやるしかないと決まっているなら、できるだけ段取りよく終わらせて、自分のための時間を作りましょう。『ながら掃除』や『時短レシピ』『おかずの作り置き』など、家事の効率を上げる方法はいろいろあります。家の用事をすっきり済ませ、好きなことを楽しむために確保したひとときは自分へのご褒美のようなもの。心身のリフレッシュにも大いに役立ちます。
睡眠の大切さを見直す
睡眠は身体を休ませるだけでなく、無意識のうちに頭の中を整理する役割も担っています。6~8時間ほどの質の良い眠りは、その日に蓄えた余計な情報を削ぎ落し、ストレスによる混乱状態を一旦リセットしてくれる何よりの栄養剤です。就寝前にはゆっくりお風呂に浸かってリラックスしたり、脳へ刺激を与えないようスマホやパソコンを遠ざけるなど、心地のいい眠りを得るための準備をできるだけ整えましょう。
自分でできるストレスケアを身に付ける
質の良い仕事をするためには、思い切りリラックスする時間とのメリハリも大切です。身体を動かし、仕事を忘れて没頭する趣味を楽しんだり、逆に何もせずぼんやりできるひとときを作ったりして、心に元気を補給できる自分なりのストレスケアを見つけてみて下さい。
自分にとっての「ちょうどいい」を探そう
自分のキャパシティを見極める作業は、現実を知る作業でもあります。実力や経験の不足から、周囲の期待に応えられない自分に向き合うのは辛いことかもしれません。でも、現実を知ってこそ成長があり、キャパシティを拡げる努力も可能になります。無茶をせず、楽をしすぎない、今の自分にちょうどいい頑張り方を少しずつ探してみませんか?
職場で仲間に頼られるとつい余分な仕事を引き受けてしまうし、家ではこまごまと家族の面倒を見てしまう。休日にやりたいことはいつも山積みで、自分では毎日充実しているつもり。なのに、何を頑張っても忙しさが増すばかりで成果が見えず、時々全部投げ出したい気持ちになる。そんな経験をしたことはないでしょうか。