また、家事においても換気扇掃除のようにしっかりと手をかけて掃除をフィニッシュさせた部分というのは、次の掃除までしばらく時間が空いてしまう、というケースが多くなるかもしれません。
一つのことを完了させると、達成感が得られスッキリした気持ちになりますね。困るのは、その反動で次への一歩がなかなか踏み出しにくいこと、ではないでしょうか。
そんな時に試してみたい「ツァイガルニク効果」とは?
ツァイガルニク効果とは、人は達成できた事柄よりも、達成することができなかった事柄や中断させられた事柄のほうが記憶に強く残り、より覚えている、という現象のことです。
例えば、10巻まである本を読んでいる時、9巻までは手元にあるのに残り一冊が手元になく、すぐには読めないという場合。どうしても続きが気になって、なんとかして手に入れたいと思いませんか?
また、テレビ番組やドラマにおいても、「続きはCMの後で」とか「続きはまた来週」という場合、話の続きが気になって仕方がありませんよね。逆に、通しで楽しむことのできる小説や映画は、一気にその世界に引き込まれるものの…終わってしまうと細かい部分は忘れがちになるかもしれません。
このように、「~したい」ことを余儀なく中断させられると、脳に刺激が与えられ、根強く記憶に残ります。これが「ツァイガルニク効果」です。
失恋が忘れられないのもツァイガルニク効果のせい!?
失恋すると、相手のことを忘れたいと思っても、なかなか忘れられずつらいですよね。別れを告げた方は関係を断ち切りスッキリした気持ちになるかもしれませんが、恋の終わりを告げられた方はいつまでもその恋について覚えているものです。
忘れたいのに忘れられないのは何故か。それは未練があるからではないのです。これも、目標が達成できないまま中断させられたことによって記憶に強く刻まれる、ツァイガルニク効果によるものなのだそう。
「ツァイガルニク効果」を暮らしに生かすテクニック
ツァイガルニク効果は簡単に言うと「続きが気になる現象」のことです。これは、使い方によっては大きな力になるものです。仕事にも勉強にも、さらに家事にも活かせたら嬉しいですよね。ではその簡単な取り入れ方を見ていきましょう。
①仕事や勉強は時間で区切る
仕事も勉強も、自分にとって区切りのいいところまでやりきってしまいたくなるものですが、ツァイガルニク効果を得るためにあえて中途半端なところでやめてみましょう。
そのためには、内容ではなく集中力が持続するとされる15~30分程度の「時間」で区切ることがおすすめです。本当はここまでやりたかったのに少しだけ残っている、そんな状態で終えることによって強く記憶に残り、またやりたくなるはずです。
さらに、時間を細かく区切って取り組むことによって高い集中力が発揮される「ポモドーロ・テクニック」との相乗効果によって、より強く記憶に刻まれるでしょう。
②家事は手をかける部分を細かく分けて
家事においても一度にすべてをやってしまおうとせず、例えばキッチンを掃除する場合、今日はシンク下の整理、明日はコンロ周りの掃除など、手をかける部分を細かく分けてみましょう。
コンロを掃除すればそばにあるグリルや天板も掃除したくなるでしょう。さらには、シンク下や床下収納も整理したくなるように、一か所手をかけることで、それに紐づいた多くの個所が気になり始めるものですね。
家事も、仕事や勉強と同じく時間でばっさり区切ることによって得られるツァイガルニク効果を利用しながら、短時間ずつ集中して行うと良いでしょう。続けていくうちに、ストレスなく家事をこなせるようになり、家中がいつもピカピカになるかも!
苦手なことにこそ「ツァイガルニク効果」を取り入れよう
誰しも好きなことであれば、長い時間それに取り組んでいても苦にならないし、それなりに記憶にも残り、難なく継続できるはず。一方で、なんとなく苦手なことは一気に終えて早くスッキリしてしまいたい、と思う方が多いのではないでしょうか。
けれど、いっとき頑張ってやり遂げたことで、緊張感が途切れ、すっかりやる気を失って、忘れてしまいがちになるのが難点です。そこで、苦手なことこそ内容ではなく時間で区切り、ツァイガルニク効果を利用してみましょう。
仕事、勉強、家事といった暮らしの多くのシーンに取り入れることのできるツァイガルニク効果。自分にとって、次の一歩が踏み出しにくい物事にこそ、気軽に取り入れてみれば予想以上の大きな効果が得られそうです。
仕事や勉強を目的のところまでやり遂げると達成感がありますよね。けれどその分、長い休憩をとったり次のことに取り組むまでに多くの時間がかかった、という経験はありませんか?