揚げ物の適温とは?
「180度の油で衣がキツネになるまで揚げます」と、レシピに書いてあるとしたら、どのくらいの火加減で、どんな状態の油へ素材を投入していく?
温度計がないと、正確に適温を知るのは難しいものですよね。そこで、菜箸や衣を使って揚げ油の温度を見分ける方法をご紹介します。
温度計がないと、正確に適温を知るのは難しいものですよね。そこで、菜箸や衣を使って揚げ油の温度を見分ける方法をご紹介します。
油の温度の見分け方と注意点
素材によって、揚げ油の適温は異なります。温度を測れる道具が家庭にない場合は、①菜箸 ②天ぷらの衣 ③パン粉 のいずれかで、おおよその温度を見極めていきましょう。
①【菜箸】で油の温度を見分ける方法
菜箸で揚げ油の温度をチェックする場合は、まず、菜箸を水で濡らします。そのあと、布巾で水気を取ってから油に箸先を入れて、箸の周りから出る泡で温度を確認します。
②【天ぷらの衣】で油の温度を見分ける方法
天ぷらの衣は、油に落とした時の沈み方をよく見ましょう。鍋の底まで深く沈むのか、沈んでからどのくらいで浮き上がってくるかで温度を見分けます。
②【パン粉】で油の温度を見分ける方法
フライやコロッケ、トンカツなどを作る時には、パン粉をひとつまみして油の中に落としてみてください。チェックポイントは、パン粉の広がり方。落としたその場にしばらく留まっているのか、勢いよく鍋全体に散らばりだすのかで温度がわかります。
油の温度設定の注意点
通常は、素材を揚げる前に温度チェックをしますよね。その時点で適温だとしても、その後、具材を大量に油に入れると熱はいっきに下がってしまいます。
常にベストな状態を保つためには、一度に揚げすぎないように注意しましょう。また、油の温度はこまめに確認してください。
常にベストな状態を保つためには、一度に揚げすぎないように注意しましょう。また、油の温度はこまめに確認してください。
油の温度を知る目安と適した素材
それでは、温度を見極める具体的な目安と、温度別の適した素材を見ていきましょう。
▼140〜160度(油通し)
中華料理では、炒め物などの前に素材を油通しすることがよくあります。そんな時の温度設定は、超低温。揚げきってしまわず、サッと油にくぐらせ旨味を閉じ込めるのがポイントです。
油通しに最適な温度の見極め方
①菜箸を油に入れると、先からごく小さな泡がフツフツと沸き起こります。
②天ぷらの衣を落とすと、底に沈みます。数秒間そのままの状態が続いてから、ゆっくりと浮き上がってきます。
③パン粉は、落としたその場からそれほど動かず、数秒してからゆっくりと広がっていきます。
②天ぷらの衣を落とすと、底に沈みます。数秒間そのままの状態が続いてから、ゆっくりと浮き上がってきます。
③パン粉は、落としたその場からそれほど動かず、数秒してからゆっくりと広がっていきます。
油通しすると美味しい素材
「鶏肉とピーナッツの炒め物」は、ナッツを油通しすることで香ばしさが引き立ちます。また、肉は油通しすれば中までしっかり火が通り、柔らかな歯ごたえに。野菜類は色鮮やかになります。
このように、中華料理や炒め物で油通しのひと手間を加えると、美味しさに差が出てきます。
このように、中華料理や炒め物で油通しのひと手間を加えると、美味しさに差が出てきます。
▼160〜170度(低温)
外はカリッといい感じなのに、中が半生だった!という失敗は、油の温度が高すぎる時に起こります。確実に火を通したい食材は、低温でじっくり揚げていきましょう。
ただし、低温がNGの料理もあります。例えば、油の温度が低いとフライドボテとはベトベトに、コロッケは爆発する可能性もあるので、気をつけてください。
ただし、低温がNGの料理もあります。例えば、油の温度が低いとフライドボテとはベトベトに、コロッケは爆発する可能性もあるので、気をつけてください。
低温の見極め方
①菜箸を油に入れると、箸の周囲から細かな泡がシュワシュワと出てきます。
②天ぷらの衣を落とすと、いったん底に沈みますが、それほど時間をおかずユラユラと浮き上がってきます。
③パン粉は、落とした瞬間からジワっと円を描くように広がります。パン粉が四方にバラバラと動いていかないのが低温の目安です。
②天ぷらの衣を落とすと、いったん底に沈みますが、それほど時間をおかずユラユラと浮き上がってきます。
③パン粉は、落とした瞬間からジワっと円を描くように広がります。パン粉が四方にバラバラと動いていかないのが低温の目安です。
低温で揚げると美味しい素材
唐揚げを二度揚げするなら、最初は低温で芯まで火を通していくのがコツです。カボチャやサツマイモといった根菜の天ぷらは、160〜170度程度でホクホクに。揚げ出し豆腐も低温で3分ほど揚げていくと、しっとりほどよい食感を出せるでしょう。
▼170~180度(中温)
一般的な天ぷらやフライは、170〜180度程度の中温が適していると言われています。もっともよく使う温度設定なので、見分け方をマスターしておきたいですね。
中温の見極め方
①低温の時には菜箸の先の方から泡が立ってくるのですが、中温になると、箸の全体から泡がプクプクと現れます。
②天ぷらの衣は、軽く沈んでからすぐ表面に上がってきます。
③パン粉は、油の表面で広がったあと、バラバラに四方に散っていきます。低温の時よりも、広がりが大きいのが特徴です。
②天ぷらの衣は、軽く沈んでからすぐ表面に上がってきます。
③パン粉は、油の表面で広がったあと、バラバラに四方に散っていきます。低温の時よりも、広がりが大きいのが特徴です。
中温で揚げると美味しい素材
トンカツ、エビフライ、コロッケ、春巻きなど、サクッと歯ごたえを楽しみたい料理は170〜180度の中温で揚げていきましょう。
▼190~200度(高温)
表面をカリッとさせるには、高温で加熱して水分をいっきに飛ばすこと。二度揚げするなら、油の温度がばっちり上げて!
高温の見極め方
①菜箸を油に入れた瞬間、大きめの泡が勢いよく弾けだします。
②天ぷらの衣を落とすと、沈むことなく表面に浮かび、踊るように動いていきます。
③パン粉は、ジュワッと音を立てながら鍋全体に広がっていきます。絶えず動きのある様子で、すぐにキツネ色に変わっていくはずです。
②天ぷらの衣を落とすと、沈むことなく表面に浮かび、踊るように動いていきます。
③パン粉は、ジュワッと音を立てながら鍋全体に広がっていきます。絶えず動きのある様子で、すぐにキツネ色に変わっていくはずです。
高温で揚げると美味しい素材
フライドポテトや唐揚げ、トンカツなどの二度揚げは、190度程度まで油の温度を上げて行いましょう。火が通りやすい野菜のかき揚げも、高温でOK。
慌てず、泡を見極めるのが揚げ上手の秘訣
早く揚げようと思うと、つい温度を高く設定しすぎたり、逆に低温の油に素材をどんどん投入して失敗を招いたりしがちです。
カラッと美味しく仕上げるため、そして、衣に無駄な油を吸収させないためにも、焦らず、適温を確かめてから揚げていきたいですね。
カラッと美味しく仕上げるため、そして、衣に無駄な油を吸収させないためにも、焦らず、適温を確かめてから揚げていきたいですね。