知れば知るほど奥深い、カレーのスパイス
たくさんのスパイスで食材を煮込むカレーは、インドからアジアや中東、ヨーロッパまで広がり、それぞれの地で独自の郷土料理へと育っていきました。最近では日本でも、香り豊かなスパイスカレーが大人気。世界各国のカレーをお店や自宅で味わい、その違いを楽しむ人も増えています。
世界のさまざまなカレー、その特徴は?
インドカレー
インドのカレーは、国の東西南北それぞれの地域で味わいが違い、特に北部と南部の違いは明確だと言います。ナンやチャパティーをつけて食べるカレーは主に北部のもの。牛乳・生クリームなどを使った濃厚なベースに、たくさんのスパイスが豊かに香るとろみの強いカレーです。キーマカレーやバターチキンカレーは日本でも人気ですよね。
一方、南部は米が主食。カレーはとろみが少なくスープ状で、細長いインディカ米と混ぜ合わせて食べます。辛味は強めですが、マスタードシードやカレーリーフなどのスパイスとともに、ココナッツミルクやフルーツも使うのが特徴。北部のカレーよりも油分が少なく、さらりとしたヘルシー系のカレーです。
タイカレー
スリランカカレー
カレースパイス調合のヒントを知ろう
カレーに使われるスパイスは、味わいや風味を深めるだけでなく、健康を促進する薬膳としての効能も持っています。
本場のスパイスをすべて使いこなすのは大変ですが、4〜5種類の基本のスパイスさえあればおうちでも十分美味しいカレーが作れますので、ぜひ覚えておきましょう。
初めてでもチャレンジしやすいスパイス
ターメリック
日本では「ウコン」とも呼ばれる、鮮やかな黄色いスパイス。カレー特有の色はこのスパイスによるものです。健胃や鎮痛、抗酸化作用があるとされ、血行を整えて新陳代謝を促進する漢方としても使われます。
コリアンダー
パクチー(香菜)の種子で、ホールのまま使うコリアンダーシードと、粉末にしたコリアンダーパウダーがあり、柑橘のような甘く爽やか香りが特徴。胃腸の働きを助け、関節痛にも効果があると言われます。
カルダモン
「香りの王様」とも呼ばれるほど豊かな甘い香りを持つスパイス。味にはほろ苦さと辛みがあります。口臭予防や頭痛の緩和のほか消化促進に効くとされ、チャイにもよく使われるスパイスです。
クミン
カレーには欠かせない香辛料で、ほのかな苦みがあり、単体でもカレーらしい独特な香りがします。粒状のままのクミンシードと、粉状にひいたクミンパウダーのどちらも用途の広いスパイスです。鎮静効果や利尿、消化促進効果があると言われます。
レッドチリ
赤唐辛子を粉末状にしたもの。使用量に注意が必要ですが、少量でもカレーの味わいを引き締めてくれるので、辛みが苦手な人でもぜひ用意しておきたいスパイスです。「カイエンペッパー」や「チリペッパー」とも呼ばれます。
オールスパイス
「ナツメグ、シナモン、クローブの3つを合わせたような香り」という意味で名付けられたオールスパイスは、奥行きのある深い風味を与えてくれます。肉料理からお菓子作りまで、幅広い食材と相性が良いスパイスです。薬効としては殺菌、抗菌作用のほか、消化促進効果などが期待できます。
辛口?甘口?インド風?味に合わせた調合の仕方
スパイスは「香り」「色」「辛み」のバランスで使いこなす
スパイスにはさまざまな種類がありますが、用途によって「香りをつけるもの」「色をつけるもの」「辛みをつけるもの」の3タイプを組み合わせて使います。例えば、カレーを黄色にするのはターメリック。レッドチリが辛みをつけ、クミンやコリアンダーが香りをつけるといった具合です。辛みを強くしたい時はチリを増やし、よりインド風に仕上げたい時は香りのスパイスを増やすなど、目指す味に合わせてブレンドのバランスを変えてみましょう。
スパイスカレーはこれで作れる!基本の6種類
ターメリック、コリアンダー、クミン、カルダモン、レッドチリ、オールスパイスの6種類を用意しておけば、その使用量のバランスを変えるだけで味わいの違うスパイスカレーを作ることができます。チキンカレーやキーマカレー、野菜をメインにしたカレーなどいろいろ応用できますので、ぜひレシピをチェックしてみて下さい。
子ども用にもOK!辛みのないカレースパイス
スパイスを使ったおいしいカレーとアレンジレシピ
鶏と茸のインド風カレー
トマト煮込みラムカレー
バターチキンカレー&クミンライス~
ホールスパイスから作るキーマカレー
エビのスパイスカレー
オリジナルスパイスでスープカレー
つけ麺レッドタイカレー
本格タンドリーチキン
おすすめのスパイス店
スパイス・豆の専門店 アメ横大津屋
アメ横に店舗を構えるスパイスと豆の専門店、大津屋商店は創業60年の老舗。インド料理食材やドライフルーツ、ナッツ、ハーブティーなどの取り扱いもあり、スパイス初心者さんにも嬉しい便利なカレースパイスセットも購入できます。
マヤバザール
インド食材とスパイスの専門店マヤバザールは、東京目黒駅から徒歩2分。さまざまな香辛料のほか、インド料理の各種調味料、豆や紅茶、お菓子、カレーにおすすめのインディカ米も揃っています。質の良いスパイスをお手頃な価格で購入できるお店です。
「一番美味しいカレー」をもっと美味しく
「専門店もいいけど、カレーはやっぱり家の味が一番好き」という人も少なくないはず。本場インドでも、家庭によって使うスパイスの配合は異なるそうです。まずは基本の配合を軸に、好みに合う香りや味のバランスを探してみましょう。
スパイス使いをマスターして、一番美味しいおうちのカレーをもっと美味しくしてみませんか?
「市販のルーさえあれば、子どもでも作れる簡単な料理」というイメージもあるカレー。でも、いつものカレーにガラムマサラやクミンなどのスパイスを少し加えるだけで、香りや味わいはグッと本格的になります。
発祥の地であるインドでは、常に10~30種類ものスパイスをブレンドし、カレーの食材によってそれぞれのベストな配合を使い分けるほど。実はとても奥の深い料理なのです。