木のおひつは、炊きあがったご飯の粗熱を取り、ふっくらとした味わい深いご飯に仕上げてくれるという役割を持っています。おひつが余計な水分を吸って、中の湿度を一定に保ってくれます。やわらかな木の香りがほんのりとするのも木のおひつのいいところです。

おひつに移したご飯は乾燥してしまうことがないので、長時間、ふっくらとした状態でいただくことができます。ベタベタした質感になることがないので、冷めたままでも美味しいと感じます。おおむね、12時間程度は美味しくいただくことができると言われています。朝は炊き立てを、夜はおひつに移して旨みを感じるようになったご飯をいただくというのもいいですね。

炊きあがったご飯はふんわりとやさしく、おひつに移します。蓋をしておくことで、ご飯の粗熱を取り、ちょうどいい水分量に調整を行います。食べるときには、おひつからしゃもじでよそって、丁寧に盛り付けます。食卓におひつがあれば、お代わりもいつもよりも進んでしまいそう。

おひつにはサイズがあります。おひつのサイズの選び方については、いろいろな考え方がありますが、基本的には炊く量よりもひとつ上のサイズを選ぶとよいでしょう。ただ、ご飯を保存するのが目的ではなく、すぐに食べてしまうときは、炊きあがりと同じサイズのおひつでも大丈夫です。

毎朝、2合ご飯を炊いて、おひつに移し、すぐに食べるのであれば、2合サイズのおひつでよいでしょう。ですが、炊き上げた2合をそのまますべておひつで保存するのであれば、ひとつ上のサイズである3合サイズのおひつにしておいた方が、美味しく保存できます。

炊き込みご飯を入れるときは、使い始めて半年くらい経って、おひつがご飯に馴染んできてからにする方が、汚れが付着しづらくなります。また、使い終わったあとに、白米のとき以上に丁寧にお手入れしておくと、長い期間、きれいな状態で使い続けることができるようになります。

おひつはご飯を保存するだけではなく、より美味しくしてくれる調理器具のひとつであると認識すると、このひと手間が楽しいものになります。ただ、炊飯器や鍋からおひつに移すだけで、ふっくら艶やかなご飯をいただけるようになるなんて、嬉しいひと手間ですよね。

おひつを洗うときは、基本的には洗剤は使わず、水かぬるま湯で洗います。たわしを使って、木目に沿って洗うようにしましょう。汚れが落ちやすく、美しい木目を必要以上に傷つけることがありません。

おひつの手入れで特に重要なのが、しっかりと乾燥させることです。水洗いの最後に、50度から60度程度のお湯をさっとかけておくと、乾きやすくなります。

風通しの良い日陰で十分に乾かしたら、湿度の低い食器棚などにしまっておくとよいですね。

長時間、水につけてしまうとタガが外れてしまったり、木が反ってしまったりするので、放置せず、使い終わったら素早く洗ってあげましょう。

柴田慶信商店のおひつは、角の部分が丸みを帯びたデザインになっているので、すみっこにご飯が入り込んでしまうことがありません。

曲げわっぱで有名な大館工芸社のおひつは、タガがない分、コンパクトですっきりとしたシルエットが魅力的です。日本三大美林である秋田杉の柾目材を使っています。

薄い一枚板でできているので、軽く、洗った後にも乾きやすいという特徴があります。一般的なおひつよりも高さが低いので、狭い食卓でも圧迫感がありません。

おひつに最も適しているといわれる木曽の椹（さわら）材を使って作られた山一のおひつ。江戸時代からの伝統技法「鉋（カンナ）仕上げ」で作られています。いわゆるおひつといえば、このかたちという定番のかたちで、愛着のあるアイテムになりそうです。

椹（さわら）は杉やひのきに比べて香りが穏やかなので、ご飯本来の優しい香りを存分に楽しめます。お値段もお手頃なので、はじめてのおひつとして使ってみるのもいいですね。

杉は殺菌効果が高い素材なので、ご飯も傷みにくいんですよ。丁寧に手入れをして使えば、一生もののアイテムになります。

昭和23年創業の岡田製樽は徳島県にあるおひつや桶を作り続けているメーカーです。受注生産にこだわって、より良い状態のおひつを販売されているそう。昔ながらのスタイルのおひつは、安心感がありますよね。

炊き立てのご飯を入れるほか、時間差で食べる家族のために、こんな風におにぎりを作っておひつに入れておくのもいいですね。こういう使い方をするときは、小さめのおひつの方が便利ですね。

通常のゴールドのタガの他、シルバーのタガを使ったおひつはとても珍しいですよね。色が変わるだけでこんなにモダンな雰囲気になるなんて驚いてしまいます。

独特のインディゴブルーが美しい陶器のおひつです。蓋をしたまま、レンジにかけて温めることができるので、帰宅の遅い家族でもひとりで美味しいご飯を食べることができます。

1合サイズと2合サイズがあります。1合サイズのおひつというのは珍しいので、ひとりご飯を優雅に演出するのに、ひとつあると便利ですね。刷毛で塗ったような藍色が印象的ですね。

非常にシンプルな佇まいの伊賀の陶器のおひつです。レンジで温めなおしたご飯もふっくらと美味しくいただけます。おひつの内側には釉薬がかかっていないので、おひつ自体が呼吸をして水分調整もしっかりできるんですよ。

ダーク系の色味のおひつは白いご飯を艶やかに、より美味しそうに見せてくれます。2～3合のご飯を入れることができます。

こちらのしゃもじ受けにしているのは、リサラーソンと波佐見焼きがコラボした「duva」というミルクピッチャーです。しゃもじの持ち手の部分がぴったりとはまって、まるで最初からしゃもじのために作られた器のようです。

マグカップにお水を張って、しゃもじ受けにするというアイデアも◎。マグカップなら、好みのものを手に入れやすく、気分によって違う絵柄のものを使うこともできますよね。

シュロでできたたわしは、木のまな板やおひつを洗うのにぴったりです。太さもあるので、しっかりと握ることができ、力の加減が上手にできます。木目に沿って洗いやすいので、おひつ専用にしてもいいですね。

お洒落なおうちのキッチンで見かけることが多いドーパーパストリーゼ77。77度のアルコールを使っているので、除菌効果が高く、防カビ、消臭、防臭などにも使えます。おひつを洗い終わったら、パストリーゼを噴射しておくと、黒ずみを予防することができます。

ふっくらと美味しい旨みのあるご飯を食べることができるおひつ。じっくり考えて選んだおひつを丁寧に手入れしながら使えば、毎日のお食事がより豊かな時間になりそうです。素敵なおひつを使って、白いご飯の美味しさを改めて感じてみませんか？