1年後の私を想像しよう
そんな自分を責めてしまう前に、ちょっと立ち止まって。1年後、どんな自分でいたいか想像してみましょう。
それなら、「フランクリンの13徳目習得法」を試してみませんか?
「フランクリンの13徳目習得法」でゆっくり前進しよう*
一つひとつの徳目は、例えば勤勉なら「時間を無駄にせず常に有益なことに使う」など、理想だけど完璧にするのは難しいこと。もちろん1週間では達成されないでしょう。彼は13個の徳目を1週間ごと、1年に4回サイクルが回る形で取り組み、ゆっくりと習慣化していきました。
このフランクリンの取り組みを応用し、自分なりの徳目を考え習慣にするアプローチが、「フランクリンの13徳目習得法」です。
徳目とは
そもそも徳目とはなんでしょうか。
デジタル大辞泉では、「徳を分類した細目」と定義されており、徳は「人間の持つ気質や能力に、社会性や道徳性が発揮されたもの」と説明されています。
儒教の教えに登場する仁、義、礼などや、古代ギリシャに由来する知恵、勇気、正義などが徳目の例です。
フランクリンが設定した13の徳目
フランクリンは、13の徳目とその理想を次のように取り決めました。参考にみてみてくださいね。
1.<節制>心身に影響があるほど食べない、酔わない。
2.<沈黙>誰の利益にもならない話、無駄な話をしない。
3.<規律>物の置き場所、仕事の時間をすべて決める。
4.<決断>為すべき決心をし、実行する。
5.<節約>誰の利益にもならない無駄遣いをしない。
6.<勤勉>常に有益な時間を過ごし時間を無駄にしない。
7.<誠実>人を騙さず公正でいる。口にも出さない。
8.<正義>人の利益や権利を無視して損害を与えない。
9.<中庸>極端を避け、不条理なことにも激怒しない。
10.<清潔>身体や衣服、住居を不潔にしない。
11.<平静>日常の小さなことや突然の事態に平静でいる。
12.<純潔>性交は健康や子孫のため。自分を見失わない。
13.<謙譲>イエスとソクラテスを見習う。
※筆者意訳
人生を幸せへと導く13の習慣/ベンジャミン・フランクリン
ゴールを目指すうちに
フランクリンが定めた13徳目は、神か仏の領域のような理想の姿。その姿を追い求めながらも、完璧にはできないからこそ人間らしいとも言えます。そう、完璧に達成しなくてもいいのです。
フランクリンの13徳目習得法では、徳目を定めて意識をし続けることで、自ずと行動が変わるようです。行動が変われば結果も変わります。徳目の課題はいつしか習慣となり、自然と“理想の自分”らしい振る舞いが身につきます。
フランクリンの13徳目習得法がおすすめな理由
徳目は13個じゃなくてもOK
13個も、自分に厳しいルールを課すのは、ちょっと負担が大きそうですよね。数は何個でもOK。また、フランクリンのような堅苦しいワードでなくてもいいので、こうありたいと思う気持ちや行動を思い浮かべてみましょう。
応用編で、徳目以外の課題に使うのも◎ 例えば、健康な身体づくりのためヨガ、筋トレ、食事改善に週替わりで取り組むなど。カスタマイズできる自由性が魅力です。
自分を省みる時間にも意義がある
徳目をピックアップする時間は、自分のどんなところを直したいか、どう変われば幸福かを考える時間になります。自分を見つめ直す大切なプロセス。1週間ごとに課題が変わるから振り返りのタイミングも多く、自分とじっくり対話ができます。
大切なのは“達成”よりも“前進し続けること”
定めた徳目とそのルールは、もちろん守ることが大切。でもそれよりも大切なことは、その取り組みを継続することです。
13徳目を考え出したフランクリンは、晩年にはアメリカ独立宣言の起草委員となり、アメリカ建国の父の一人となりました。ここまででなくても、小さな積み重ねにより、今まで憧れながらも遠かった未来に近づくかもしれません。前進し続けることが大切ですよ。
フランクリンの13徳目習得法なら続けられるメリットがある
1週間ごとだから飽きにくい
一つのことを長期的に取り組んでいると、やる気があっても飽きてきてしまうことがあります。課題にも慣れが出てしまいますね。
フランクリンの13徳目習得法は1週間ごとに課題が変わるから、気持ちを切り替えてフレッシュに取り組めます。
前進がテーマだからプレッシャーが少ない
ルールを完璧に守らないといけないと思うと、それだけでプレッシャーになります。できなかった時に、必要以上に自分を責めてしまうかもしれません。フランクリンの13徳目習得法は、一つずつ徳目に集中する代わりに、その週の課題ではない徳目は気にしなくてOK。息抜きができればプレッシャーも減りそうですね。
1年で複数の習慣化を叶える
フランクリンの13徳目習得法は、複数の徳目に週替わりで取り組むことが大きな特徴。結果的に、1年、2年と過ぎた時には取り組んだ数だけ習慣が増えていることになりますよ。仮に13個だとしたら一つの徳目は1年に4回しかやらないけれど、取り組む姿勢はこのアプローチ全体を通してしっかりと強化されているんです。
フランクリンの13徳目習得法・5つのステップ
STEP1 テーマやゴールを決める
まずはじめに、大きなテーマ、向かうゴールを決めます。紹介したとおり、道徳的なものでなくても仕事や勉強、子育て、人間関係など、さまざまなことに応用可能です。
STEP2 改善したい徳目をピックアップする
いよいよ徳目を考えます。今の自分と向き合い、直したいところや必要としているものを見つけ出しましょう。1年はだいたい52週なので、サイクルがぴったりなのは4つか13ですが、気にせず考えても大丈夫ですよ。
STEP3 各徳目の目標や課題を決める
徳目を考えたら、具体的な決まり事を考えます。余裕のある母になりたいというテーマのもと、「傾聴」という徳目を設定したとしたら、「身体を向け、目を見て話を遮らずに聞く」などのようにつくってみましょう。難しく考え過ぎず自由に挙げてください。
STEP4 明確な尺度を設定する
具体的なルールを考えたら、確実な前進のためにもう一手間加えてみて。先ほどの例なら、「忙しい時でも1回目は断らない」など、数字の入ったルール設定がポイントです。
STEP5 管理表に記録する
どんなアプローチにしろ、目標を決めたら管理することが大切。カレンダーやダイアリーに今日の記録をつけましょう。フランクリンはできなかった日に印をつけ、1週間カレンダーが真っ白だったらOKという管理をしていましたよ。
焦らず気負わず、なりたい自分へ向かって
1年後2年後、さらには10年後20年後、どんな自分で笑っていたいか思い描いて、人生の中で身につけたい徳を少しずつ習慣にしていきましょう。
アメリカの政治家であったベンジャミン・フランクリン。「時は金なり」など数多くの名言でも知られる人です。彼は25歳の時、道徳的によりよい自分になるための計画を立てました。それが、節制や規律といった13個の徳目です。彼はその13個の徳目に、週替わりで取り組むことにしました。