あなたにとっての「日常」は、あなた以外にとっての「非日常」。
だって、今日と同じ日は1日もないはず。そして、あなたにとっての「日常」は、あなた以外にとっては「非日常」。少し目線を変えるだけで、いつもの風景も全く違うものとして捉えられるのではないでしょうか。
もしかすると、そこにはグルグルしていた気持ちの突破口や、ハッとする驚きが隠れているかもしれません。
さぁ、一緒に物事を「多角的な視点で見る力」を養う方法について考えていきましょう。
「多角的な視点」を身につけるメリット
あなたが「こうであるに違いない」「当然だ」と思っていたのはあくまでもあなたにとっての常識。多角的な視点で物事を捉える、というのは、まさにあなたの立ち位置から離れて、違う人間や立場になったつもりで新たな目線で物事を見るということであり、「これはこの状態で当然だ」という固定観念を手放すことができるのです。
例えば、以下のようなシーンで役に立つと言えるでしょう。
具体例1:よりよい人間関係を築きやすくなる
あなたが「好き」「嫌い」と思っている、その気持ちも固定観念の一つ。
多角的に見ることで、例えば「今まで苦手だった相手の意外といいところ」に気づけたり、「一見明るく奔放に見えるけれど、実はとても気を遣っているキャラクター」に気づけたり・・・と、人を表面的な部分のみで判断しなくなることでしょう。
また、「なんだか機嫌が悪そう・・・私が怒らせちゃったかな?」と相手の顔色を窺ってしまうようなシーンも、「もしかしたら家庭で何かあったのかも」「体調が悪いのかな?」と思えれば、あなたの気分を乱されることも減りますし、逆に思いやりを持って接することもできそうですよね*
気が合わないと思っていた人とは今までとは違った形で。とても素敵!と思っていた人とはもっと深く。より気持ちのよい人間関係を築きやすくなると言えます。
具体例2:仕事も、⽣活も…豊かな発想力が身につくことで、質があがる
これまで当然のように向き合ってきた家事や、何の疑問も持たずにこなしていた作業も、改めて多角的な視点から考えてみると「これって何のためにやっているんだっけ?」「この方法に変えたらもっと手早くできるのでは・・・」「毎日じゃなくて、3日に1回で十分だよね」など、気づきがあるはず。
こんな風に、たとえ小さな作業でもより効率よい方法へと改善されることは、心や時間の余裕にもつながりますよね。
多角的に物事を見ることで、これまで凝り固まっていた考え方が解きほぐされ、発想が豊かになるはず。例のような「効率」面ではもちろん、何かの企画や運営の場面でもより質の高い思考へとつながります。
具体例3:ポジティブな思考を手に入れやすくなる
あなたの出勤場面で「憂鬱な雨」も、植物にとっては「恵みの雨」であるように、見方を変えるだけで喜びが増えたり、ネガティブがポジティブに転じたりすることがあります。これも、多角的なものの見方をしてこその収穫。
例えばこれまでは「たくさんダメ出しされてしまった」とただ落ち込んでしまうだけだったシーンでも、「言いにくいことを伝えてくれた」と相手の気持ちを慮る思考につながったり、「成長機会をもらった」「この段階で考え方を確認できてよかった」と、未来の自分の視点でプラスに捉えられたりすることができますよね。
固定観念を捨てて、様々な見方を手に入れることは、ポジティブな思考にもつながっていくのです。
「多角的な視点」を磨くための4つの方法
1.本を通して、実際に「多角的な目線」の実例に触れてみる
まずオススメなのは、多角的な視点に触れられる本を読むこと。
一つの物事に対して、見たこと聞いたことを自分の価値観でただ鵜呑みにするのではなく、「具体的にどんな見方ができるのか?」といったことがイメージしやすくなるでしょう。
ファクトフルネス / ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング 他(著)
「事実を見て、正しく恐れ、正しく希望をもとう!」と謳っているこちらの本。
例えば、このコロナ禍において「新規感染者数はどんどん増え続けるのではないか?」、また何か心配事があるときに「今すぐ手を打たないと大変なことになる!」などといった想像も膨らみがちですが、このようなつい抱きがちな先入観や思い込みを手放し、これまでの自分目線とは違う「世界を正しく見る」スキルへと導いてくれる一冊です。
+1cm / キム ウンジュ (著)、ヤン ヒョンジョン (イラスト)、簗田順子 (翻訳)
「たった1cm、ものの見方を変えるだけで世界が大きく変わる」という信念を元に書かれた「+1cm(プラス1センチ)」。
先ほどのビジネス書とは打って変わって、詩のような文章とかわいらしいイラストで、ちょっと一息つきたいときや隙間時間に、気軽に手に取れる一冊です。
何気ない日常から、恋愛について、夢について・・・女性が抱きがちな気持ちや多くの人が遭遇するであろうシーンに寄り添いながら、ちょっと目線をチューニングしてくれるような言葉の数々は、自分を大きく変えずとも、ちょっと意識を別のところに置くだけで世界を全く違う風に見せてくれるという希望を感じさせてくれます。
一日の始まりである朝や、眠りにつく前に…パッと開いたページを読んでみるのも楽しいですよ*
「好き」の因数分解 / 最果タヒ(著)
もしあなたと友達が同じものを「好き」だったとしても、「どこが好きか」といったポイントは違うかもしれません。あるいは、あなたが苦手なもののことを他人が好きな場合、その「好き」な理由を改めて聞いていくと、「そんな見方があるのか!」と発見につながることも…。
この本は、著者の好きなもの48個について、まるで「因数分解」するように紐解きながら説明した一冊。読み物として面白いのはもちろん、「ミッフィー」や「水族館」など、きっと「好き」な人が多いものについても、「そういう角度からとらえることができるのか!」と新鮮な視点を得ることができるはずです。
2.自分にとっての「当たり前」を、積極的に崩してみる
たとえ小さなことでも、積極的に日常を少し崩して暮らしに「違和感」を与えることで、「この違和感はなんだろう?」と物事をいつもと違う目線で観察するきっかけを得ることにつながります。
いつもの生活リズムをあえて変えてみる
まずは、「ルーティーンの順番を変えてみる」「普段はイヤホンで音楽を聴いていた電車に、イヤホンなしで乗ってみる」といった、日頃何気なく行っている行動に小さな変化を与えてみるのはいかがでしょう?
あるいは、「おなじみのカフェにいつもと違う時間帯に行ってみる」「いつもと違った路線の電車に乗ってみる」など、時間帯を変えることで景色や空気を変えてみるのもいいですね。
過ごす場所は大きく変わらなくても、生活のリズムを少し変えることで目に入るものが変わったり、「快」「不快」といった感覚に敏感になり、違った目線で物事を捉えるきっかけを手に入れられるかもしれません。
普段なかなか関わりを持ちにくい人と出会う
違う職業の人や、住まいが遠くて生活圏が重ならない人、全く違ったライフステージにある人などは、日頃接点が持ちにくいものの、全く違った価値観や判断軸を持っていることも多いもの。
最近はオンラインイベントなども多く開催されているので、そういったものを活用して「普段出会いにくいような人」の話を聞くのは自分とは違った視点を得る大きなチャンスです。最近は「オンラインイベント」を簡単に検索&申し込みできるサイトもあるので、自分自身の興味のあるテーマイベントに参加すれば学びにもなり一石二鳥ですね*
見ず知らずの人と接点を持つことにハードルが高く思えるなら、いつもお世話になる「美容師さん」や「ショップスタッフ」、「タクシーの運転手さん」など、日常の中で出会うお相手にまずは一つ質問してみるだけでも、新たな視点に触れられるはずです。
いつもは選ばないものを選ぶ
「私にはこれが似合う」「これが大好物」と、特に考えることなく選んでいる「お気に入り」はありませんか?今日は、それとは違うものを選んでみましょう。
それまで無意識、もしくは感覚的に選んでいたものに対して、その選択肢を一旦捨てて、「さぁ、どんな基準で選ぼう?」と考え始めた瞬間に、あなたはもう「多角的な視点での思考」を始めています。
憧れの人やロールモデルがいるなら、「あの人だったら、どれを選ぶだろう?」なんて想像しながら選んでみると、自分とは違う目線で物事を考えやすいですね!
3.普段の暮らしの中に隠れた「素敵なメッセージ」を見つけてみる
本、テレビ、ラジオで…なんだか気になる言葉に出会ったら書き留める
本の中や、雑誌の表紙、映画や広告のコピーライティングには、これまで自分が考えたこともないシーンの描写や切り取り方が満載。もちろん、テレビやラジオから流れる言葉にもヒントは隠されています。
なんとなく気になったものは、手帳やノートに書き留めてみましょう。
その瞬間は、ただその文字や文章をそのまま受け取るだけだとしても、書くことで頭の片隅にインプットされた言葉がふとしたタイミングで目にした風景とリンクして、一気に違う世界を見せてくれることもありますよ*
人からの「指摘」や「意見」を大事にする
友人との会話や仕事の打ち合わせなど、「他人と会話」するときには、ぜひその言葉に耳を澄ませて。
特に、あなた自身が「共感できる」反応だけではなく、少し耳の痛い「指摘」や、時に聞き流してしまいそうな「意見」には、あなたが気づかない「視点」や異なる「価値観」が詰まっています。
人として真摯に耳を傾けるのと同時に、「多角的な視点を手に入れる」という観点をもって俯瞰してその言葉を観察してみると、「なるほど、そういう見方があるのか!」と客観的に捉えるいいチャンスになることも多いものです。
4.観察眼を磨いてみる
ふっと一息つく「移動時間」や「休憩時間」に、周りを行き交う人間やモノ観察してみましょう。
難しく考えなくても大丈夫。なんだかやけに何度も同じようなものが目に入ってくれば、それについて考えてもいいですね。あるいは、目の前にやってきた人の人間関係について、想像してみてもOK。とにかく自由にイメージしてみましょう。
「このカップルは、お互いのどんなところに惹かれたんだろう?」
「みんな持ってるあのアイテム、なにがそんなにいいんだろう?」
「あの人、朝からとても疲れていそう。出勤前にけんかでもしたのかな?夜更かしして映画でも見ていたのかしら?」
ついつい空き時間があったらスマホを眺めてしまうという人も、目線をふっと上げて周囲を見まわしてみてはいかがですか?
いつもの電車の中も、カフェの窓から見える風景も、「観察」という意識を働かせると、「多角的な視点」を磨くトレーニングになピッタリのテーマが溢れていますよ。
目線が変われば、アウトプットも変わる。
今までと違ったことをしたり伝えたりすることに少し臆病になることもあるかもしれませんが、そのアウトプットを受け取った相手の反応から、また新たな視点を得ることもできるかもしれません*
新鮮な驚きと感動ともに得られた新たな発想や行動をアウトプットすることを、どうか怖がらないで。「多角的な視点」を生かして、どんどんあなたという人間をバージョンアップさせていってくださいね。
何も意識をしない素の状態で物事に対峙する時、それはあくまでもこれまで養われたあなたの「目線」と「価値観」を用いて、真正面から物事をとらえている状態です。
同じものを、例えばあなたと全く性格の違う友人や、憧れのあの人が前にしたら…その目と心にはどんな風に映るでしょう?