落ち込んだ時、あなたを励まし癒やしてくれる
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日々の暮らしの中で溶け込んでいる仏教用語。例えば、挨拶、安心、玄関、覚悟。生活の中で何気なく使っているものがたくさんあります。筆者はちょっとしたトラブルがあった時、考えても答えのでないことを思い悩み続けてしまったことがありましたが、仏の言葉で姿勢が正され、心の持ち方を変えることができました。この記事では、自然にスーッと心に響く言葉をお悩み別にご紹介。落ち込んだ時、あなたを励まし癒やしてくれるはずですよ。
心の状態に合わせて思い返したい仏の言葉
①迷った時、決断できない時
「放てば手にみてり」…手放してこそ気づくことができる
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「放てば手にみてり」という曹洞宗の開祖・道元の言葉は、手放してこそ気づく大切なものがあると教えてくれます。将来のこと、仕事のこと、ちょっとした物事でも迷うことがありますよね。あれもしたいこれもしたいと選択肢があって悩んでしまう時は、立ち止まって考えてみてください。たくさんのものを手に抱えていませんか?まずは、それをそっと開放してみましょう。自然と新しい考えが満ちてくるはずです。
「莫妄想」…今あることに目を向けて
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人間関係のちょっとした意見の食い違いやトラブルで「あの時ああ言えばよかった」「なぜあの人はあんなことを言ったの?」など、あれこれ考えて堂々巡りしてしまうことはありませんか。自分はどうあるべきか迷う時に思い出して欲しいのが、禅語で「莫妄想(まくもうそう)」という言葉。妄想とは、悩んでも仕方がないこと。時間は逆戻りができないし、答えは出ません。それならば、今あることに目を向けて、力を使いましょう。その方がずっと素敵な未来になるのだと思います。
②物事が上手くいかなくて立ち止まった時
「色即是空」…目に見えるものだけに囚われないで
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物事が上手くいかない時、意思疎通ができなかった時。思い悩んで、最終的に自分を責めてしまう時『般若心経』にある「色即是空(しきそくぜくう)」という言葉を思い出してください。この世にあるものの真の姿は実体のないもの。一切の存在は無ということです。私たちが生きているのは目には見えない因(原因)と縁(つながり)によるもの。見えるものや、耳で聞いたこと、手で触れられるものだけに囚われないようあなた自身を大切にしてくださいね。
「照顧脚下」…自分の足元を見ましょう
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最近心が沈みがち…。先のことをあれこれ考えて不安になってしまうことも。遠くや周りのことばかりに気をとられている状態では、よい答えは導き出されません。「照顧脚下(しょうこきゃっか)」という禅語があります。立ち止まって、足元を照らし、自を振り返るべきだという戒めの教えでもある言葉。玄関でくつを揃える時、自分の足を見るように、今の自分を顧みましょう。日々の暮らしの中で身近なものにこそ大切なヒントが隠されています。
③今ある自分に満足できない時
「一切唯心造」…すべては心がつくりだすもの
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「一切唯心造(いっさいゆいしんぞう)」という言葉があります。一切とはすべてのこと、唯とは「ただそれだけ」という意味。すべての現象や存在は、ただ心がつくりだしたものということです。今ある自分に満足できないと思うのは、自分の気持ちから生まれています。嬉しいことも辛いことも、善も悪も、心がよどんでいれば見極めることはできません。清らかな考えでいることで見えてくることがあります。
「歩歩是道場」…日々の暮らしが道場である
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現状に甘んじることなく、「自分を変えたい」「こうなりたい」と前向きな気持ちのときは、「歩歩是道場(ほほこれどうじょう)」という言葉をお守りに。全ての場所は道場であり、学ぶことはたくさんあるという意味。環境や条件が良くないと、線引きしてやりたいことをあきらめてしまうことはありませんか。心しだいで、どこにいてもあなたは成長できます。一歩一歩進む信念さえあれば、夢に近づけるというエールのように思います。
④何を信じていいの?と疑問に思った時
「拈華微笑」…微笑みで心をつなぐ
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人とのちょっとした言い争い。「私の思うことがまちがっているの?」と正解がわからず、考えれば考える程思い悩んでしまうことはありませんか。ささいなことなのに、家族や友達が信じられないと感じてしまうことも。そんな時に思い出して欲しいのが「拈華微笑(ねんげみしょう)」です。花を摘んで微笑むこと。言葉ではなく、笑顔で相手の心と自分の心を繋げれば、気持ちが伝わるものだということです。信じることに疑問を感じても大丈夫!まずはやさしく笑えば心が通うのではないでしょうか。
「自灯明」「法灯明」…自分自身を信じて前に進もう
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卒業や転職、引っ越しなどで環境が変わり、親しくしていた友達や先輩となかなか会えなくなってしまった時。いつも励ましてくれ、癒やしてくれた人の存在の大きさが身にしみます。心のよりどころがなくなってしまったら、どうしたらよいのでしょう。仏教用語に「自灯明(じみょうとう)」「法灯明(ほうとうみょう)」という言葉があります。自分の存在が前を照らす灯り、自信がないのであれば信じるものに照らしてもらいなさいという意味です。あなた自身を信じて前に進んでみましょう。
⑤他人からの評価が気になる時
「恥ずべくんば明眼の人を恥ずべし」…正しい考えを持つ人を気にして
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人の目が気になったり、自分のことを悪く言われていないかと心配になったりすることは、誰しも経験があるのではないでしょうか。「恥ずべくんば明眼(めいげん)の人を恥ずべし」という道元禅師の言葉があります。心ない人の目を意識するのではなく、正しい考えを持つ人の目を恐れ気にしなさいという意味。万が一批判されたときは、まずは自分に向けられた言葉が真実なのか、落ち着いて考えることが大切です。物事に動じない信念をもって生きましょう。
「卑下万」…自分を卑下しないように
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「卑下万(ひげまん)」という言葉があります。「自分なんかダメだよ」と言ったり、上手く出来たことを「まぐれですよ」なんてつい答えたりしてしまうことがありますよね。日本には謙遜(けんそん)という言葉もありますが、卑下は自分をよりへりくだったイメージだと思います。控えめで良い事に見えますが、仏教ではその心を、謙虚にみせて実はうぬぼれていると説きます。でも、ほめられた時にはどう返せばいいのか疑問に思いますよね。そんな時は、おかげさま、ありがとうなどの感謝の気持ちを伝えるのがよいでしょう。その方があなたはずっと素直に見えるかもしれません。
⑥前向きな気持ちになりたい時
「日日是好日」…どんな日もかけがえのない一日
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飛び上がるほどうれしいことがある日や、ついてないなと嫌な気持ちになる日もありますよね。そんなときは、心を一旦落ち着けて人生はかけがえのないものと考えてみてはどうでしょうか。つらいことがあったら、こんな日もあると受け止めてみるのです。「日日是好日(にちにちこれこうじつ)」とは、一日一日が素晴らしい日ということ。良いことも悪いことも受け入れて、丁寧に生きることで充実感を得ましょう。
「雨奇晴好」…雨の日もいいし、晴れた日もいいね
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仕事でミスをしてしまった時、どんより落ち込んで、気がつけば周りに心配されているなんてことはありませんか。禅語にある「雨奇晴好(うきせいこう)」とは、雨が降っている日も、晴れている日も景色に趣があるねということ。うれしいことが続く日も、たまには気が滅入ってしまうこともある。いろいろなことがあるけれど、むしろ楽しんでしまおうという前向きなメッセージです。暗い表情でいる時間がもったいなく感じてきませんか。心を落ち着けて、自分自身を客観的な目で見ることも大切ですね。
⑦身近な人と心を通わせたい時
「和敬静寂」…和の心で穏やかな境地に
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「和敬静寂(わけいせいじゃく)」は、和の心でお互いを敬い、清らかな心で穏やかな境地に至ること。茶道の標語にもなっています。生きていくうえで人とのかかわりは無くてはならないものですよね。相手を尊重する気持ちで接すれば、場は和み、自分自身もうれしくなります。せっかくの縁で出会った人への感謝の気持ちを忘れてはいけないと思わせてくれる言葉です。
「ありがとう」…生まれてきたことが有難い
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何かをしてもらった時に「ありがとう」と言いますが、これも元々は仏教由来の言葉。ある時、お釈迦様が弟子の阿難に「人間に生まれたことを有り難いことと思っているか」とたずねました。答えに困った阿難に、お釈迦様は大きな海で100年に1度だけ海面に顔を出す盲目の亀がいる話をします。「この盲亀が海面に顔を出した拍子に、漂っている丸太の小さな穴に頭が入ることがあると思うか?」という問いに、阿難は「長い時間をかければ入ることがあるかもしれないが、有り得ないことです」と言います。お釈迦様はそれ以上に、この世に人として生まれることは難しい。有り難いことと説いたのです。考えてみれば、植物や虫、動物など地球上にはあらゆる生物がいます。その中で人間に生まれてくるのはすごい確率。そして、同じタイミングで人に出会えるのは奇跡です。身近な人にたくさんの「ありがとう」を伝えると、あなたも幸せな気分になれるはずですよ。
長い間親しまれてきた「仏の言葉」
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迷ったり、落ち込んだり…。人の悩みというものは今も昔も変わらないのかもしれません。暮らしの中で、長い間人々に親しまれ、伝承されたものだからこそ「仏の言葉」は心に響くのだと思います。気に入った言葉があれば、ぜひ生活に取り入れてみてくださいね。