楽観主義なスペイン人たち
どんな状況でも明るさは失わない!?
「どうにかなる」が基本の、天性の楽観主義たち
「ケ・セラ・セラ」という言葉を聞いたことがありませんか?「どうにかなる」「なるようになるさ」といった意味。この言葉はスペイン語の「Qué será será」に由来しています。
実際は日常でこのフレーズを使っている人はいませんが、考え方のベースにケ・セラ・セラの精神はあるのかもしれません。
時間の流れに左右されない人たち
この写真は、スペインのある店に貼られていた案内です。
「新しい営業時間。開店:私たちが店に来た時。閉店:私たちが帰る時。あなたがここへ来て店が閉まっていたのなら、それは縁がなかったということ。ありがとう」
と書かれています。
結局いったい何時が営業時間なのか、いつが定休日なのかはわからず、ここで買い物ができるかどうかは店主の都合次第。こんなユルい仕事ぶりが成立するのも、いかにもスペインらしいところです。
スペイン人たちの暮らしと国民性
家族が第一
「スペインの男性はマザコンが多い」なんて声もあります。それは、あまりにも家族愛が強すぎるから。スペインでは成人しても親と同居を続ける人が多く、家族での食事会も頻繁。クリスマスや年越しは恋人とではなく家族と。そして一家が集まると、おしゃべりや笑いが尽きません。
確かな絆があることが、心に余裕を生んでいるのかもしれませんね。
愛情表現が豊か
スペインの子供たちは誰もが特別な「プリンセス」と「プリンス」。みんな、そう呼ばれて育ちます。大人は自分の子供にはもちろん、他人の子供にも「さすがだね!」「よくできたね!」と褒め言葉をたくさんかけます。
ハグをして、キスをして、体中で愛情を示すのもスペインスタイル。こうしたコミュニケーションが人間形成に大いに影響していることは間違いありません。
仕事を休むのはお互いさま
1ヶ月丸ごと休むのは、スペインでは当たり前。特に夏は、多くの人が7月末から9月上旬までバケーションに出かけます。キャリアや職に関わらず、新人社員もベテランの医者でさえ長期休暇をとります。そのため、サービスや仕事が長期間ストップすることも。それをとがめる人はいません。休むことは、みんなの常識ですから。
金曜の午後は自主休暇に
週末に出かけるために金曜の午後から休暇をとる人は少なくありません。日本でなかなか休みを取りづらいものですが、スペインでは個々の権利としてみんながしっかり休むことを主張します。
スペインの勤務体系は平均的に午前が9時から14時まで、午後が17時から20時と分かれているので、「午前のみ働く」といっても日本でいう午前よりは少し長いのですが……。
バカンスでは自然を楽しむ
海派、山派に分かれるとしても、長期の休暇は自然に囲まれた場所で過ごすという人がスペインにはたくさんいます。ビーチ沿いや高原にセカンドハウスを持っている家族も多く、新鮮な空気を吸うことがストレスを解放しているようです。
たくさん歩く
スペインの人たちは、よく散歩に出かけます。これといった目的地がなくても、景色や建物を眺めたり、歩きながらひたすらおしゃべりを楽しんだり。運動のために1人でウォーキングというより、家族や友人たちとゆっくり時間を楽しむという過ごし方。それが、ほどよい気分転換になっているのです。
灼熱の夏も日光浴
日差しが強いスペイン。多くの人がサングラスをして歩いていますが、日傘をさしている人はいません。それどころか、灼熱の太陽が降り注ぐ真夏に人々は日光浴に出かけます。プールやビーチでは若い女性たちがトップレスでくつろいでいることも。
紫外線ケアは重要ですが、太陽に当たることで得られる心身へのポジティブな影響も大切にしているようです。
食事は必ず誰かと一緒に
出張時や、やむをえない状況の時以外、スペインの人たちが1人で外食に出かけることはまずありません。個々の性格や趣味によって自分1人の時間が好きという人はいても、食事だけは誰かと一緒。「1人で食べるなんて孤独で寂しい」と考えている人がほとんどです。
時間とおいしさを共有し、常に誰かとコミュニケーションをはかっていることが、安心感や幸せに繋がっているのではないでしょうか。
不景気でも外食
どんなに景気が悪くなろうとも、スペインの人たちがバル巡りを自粛することはなさそうです。
うまくいかない時こそむしろ「誰かと一杯」。バル文化は、明るく陽気な国民を支えている1つの大きな要素です。
子供も大人も自由
あなたがもし夏にスペインを旅したら、夜10時過ぎまで子供たちが元気に外で遊んでいる様子を見かけるかもしれません。夏は日の入り時刻が遅く、学校が休みの期間中なら時には夜12時まで子供の声が外で響いていることもあります。もちろん、大人が近くで見守っていますよ。近くのバルやテラスでお酒を交わしながら。
日本からすると躾がなっていないと思うかもしれませんが、そんな親子の習慣もスペインでは普通に受け入れられています。
“シエスタ”の習慣
スペインの夜が長いのは、シエスタ(昼寝)の習慣も影響しています。必ずしもみんなが寝ているというわけではありませんが、夏は暑さのピークを迎える日中に休憩をとって体を休めています。例えばレストランやショップは昼に2~3時間営業を休止。会社勤めの人や学校に通う子供たちは長い昼休憩に一時帰宅することも。
朝から晩まで1日働き詰めないことでストレスが少ないのかもしれません。
無理しないのが、ちょうどいい
スペインのライフタイムは他国と異なるため「世界に合わせるべきだ」という議論もあります。休みが多すぎることが経済問題の一因だと訴える声もあります。けれど一方で、こんなマイペースな暮らしがスペインの人たちの大らかさと明るい暮らしを作っているのも事実です。
この先、社会のシステムや習慣が変化していくことは考えられますが、楽しく生きることを追求していくスペインの人たちのお気楽な性質は変わらないのはないでしょうか。
2018年現在、日本の失業率が2.5%に対してスペインは16%。25歳未満の失業率でいえば、数年前にはなんと50%にも及んでいたことがありました。それほど景気が悪いにも関わらず、スペインは幸せの実感度が高い国です。
土地柄気候が良く、降り注ぐ太陽のおかげでヒマワリのように心がまっすぐ育つのかもしれません。人々はいつでも明るく、暮らしを楽しむことを優先しているようです。