「いただきます」は「いのちをありがたくいただきます」ということ
食べものがどこから来ているのか改めて考えてみる
たとえば牧場
「いのち」をいただいていると実感するのは想像だけでは難しい。そんなときはドライブがてら、牧場に出かけてみるのもおすすめです。牛が草を食べ、それが新鮮なミルクとなって私たちの「生きる」の原動力のひとつになっています。
牧場では、さまざまな体験教室が開催されていて、自分で牛のお乳を搾ってみたり、バターや即席アイスクリームを作ったりすることもできます。私たちの口に入る加工品もこうやって多くの「いのち」と繋がっていることが感じられる体験ができますよ。
たとえば田畑
私たちの食事に欠かせないお米は、田植えから収穫までものすごい時間と労力がかけられています。どれほどの手間がかかって作られているのかを実際に体験してみるのもいいかもしれません。
たとえば食品売り場
食品売り場にはいつも豊富な食品が並んでいます。どの食品を見ても不格好なものやキズがあるものはほとんどなく、商品として見栄えがよくおいしそうなものばかり。その裏にはおいしくても不格好で見た目の悪いものが省かれて廃棄されているという事実もあります。
シェフや生産者など、食のプロの人たちがそれぞれ食べものについて考えるプロジェクトなどもあり、サイトでは、過去の企画やこれから行われるイベントを確認できます。さまざまな「いただきます」に触れて考えるきっかけになりそうです。
食の「ドキュメンタリー映画」もヒントをくれる
もっと深く考えるには、「食」と「いのち」をテーマにしたドキュメンタリー映画などもおすすめです。第三者の別の視点から見た問題提起について、自分だったらどう感じて、何ができるのかを考えてみるのも良いかもしれませんね。
中でも、おすすめの映画はこちら。
「未来の食卓」
「ありあまるごちそう」
「食堂かたつむり」
いずれも、「食」と「いのち」をテーマにした映画です。
飽食の現代で、捨てられるものを少しでも減らすには
私たちはいつでもどこでも、好きなものを好きなだけ食べることができる時代に生まれました。食べものに恵まれ、そのなかには食べものが余って捨てられてしまうことも。
食べられない人もいるなかで、捨てられる食べものもある
国連の食糧支援機関WFP(World Food Programme)の調査によれば、2017年の世界の飢餓人口は8億1,500万人にものぼります。実に、日本の人口の6倍以上!
その一方で、私たちが食べられるのに捨ててしまっている日本国内の「食品ロス」は年間で約632万トン。2014年の世界の食糧援助量は約320万トンで、例えるなら、国内の食品ロスだけで賄ってしまえるほどの食品を私たちは捨ててしまっているんです。
世界の飢餓人口:8億1500万人(以下は地域別の内訳)
・アジア:5億2000万人
・アフリカ:2億4300万人
・ラテンアメリカとカリブ海諸国:4200万人
まだ食べられるのに捨てられている食べ物、いわゆる「食品ロス」が日本では年間約632万トンにも上ります。
これを日本人1人当たりに換算すると、毎日お茶碗約1杯分(約136g)のご飯の量を捨てていることになります。
食べものを無駄にしない、ちょっとしたヒント
食品ロスを減らす「ちょっとしたこと」は、身近なところからも実践できます。そのヒントをご紹介します。
すぐ食べるものは、期限の迫っているものから手に取る
スーパーなど食品売り場では、すぐに食べてしまうものはなるべく賞味期限が迫っているものから手に取りましょう。賞味期限が新しいものから取ってしまうと、食品ロスになってしまう食品が増えてしまうかもしれないのです。
食材を使い切る
購入した食材は無駄なくしっかりと使い切りましょう。そのためには、計画的に食材を購入して使うことを考える必要がありますね。余った食品で冷凍できるものは、冷凍保存するのもおすすめです。
食品ロスを減らすフードシェアリングをしてみる
スーパーが閉店前になると、賞味期限の短いものを安売りするように、レストランやファーストフード店などで売れ残った食品をシェアするアプリも登場しています。購入する人は安く食べることができ、飲食店は食品ロスを減らせる。生産者、消費者共にメリットがあります。
フードシェアリングができるアプリ
残さないだけじゃない、「食べること」について考えたいこと
飽食やフードロスだけではなく、「食べる」ことの大切さについて、もっと身近に考えてみませんか。
たとえば親が子どもに「たくさん食べなさい」「ごはんはしっかり食べているの?」という言葉をかけるのは、「食べる=生きる」ことだから。相手が健やかでいられるようにと、食べることを大事に思っている気持ちが隠れているはずです。
自分のための料理は自分への「贈りもの」
たとえ、自分のために作った料理でも「食べる」ことを粗末にしないことも大事。だって、それは自分への贈り物だから。誰かに作ってあげるときだって同じで、おいしく食べてもらいたいものですよね。
お惣菜はお皿に盛り付けてみる
コンビニやスーパーのお惣菜やお弁当でも、お皿に盛り付ければ食卓がぱあっと華やかになります。いただく「いのち」に対して敬意を表す意味でも、しっかりとおいしく味わってあげましょう。
食べることに「集中」する
スマホやパソコン、テレビなど見ながらなど、「ながら」食べは避けて、食べるものに集中してごはんをいただきたいものです。食べることに向き合ったら、いつも以上に味や手をかけた調理を感じられるかも。
誰かと一緒に食べるときは「楽しく」を意識してみる
どんな場所で、誰と何を食べていても、せっかくなら楽しく食べたい!どんなにおいしい料理でも楽しくなかったら、本当の意味で「味わう」ことなんてできないから。よい気分で食事を重ねたほうが、食べる自分だってしあわせなはずです。
「いただく」ことを、大切に
好きなものを何でも好きなだけ食べるのではなくて、食べることのありがたさを感じることが「豊かに食べる」ことなのかもしれません。
食べないで生きるということはできません。せっかくいただくいのちを、できるだけ無駄にせず、よりよく食べて、食べものにまつわるさまざまな問題解決のヒントにもしたいですね。
「いただきます!」は、自分のために調理してくれた人への労いの言葉でもあり、また、「いのちをありがたくいいただきます」を略した言葉とも言えます。どんなものにも「いのち」が宿っていて、私たちが食べるということはその「いのち」をいただくということに変わりはありません。