土を使わないため土づくりの手間がなくなり、同じ土壌を使用して繰り返し作付けすると栄養不足で育たなくなる連作障害などの心配が減ります。そのため、農業生産者にも特に葉物野菜の栽培などで採用されている方法です。さらに生長が早く、効率的に収穫できる点もメリットと言えます。

主に室内やビニールハウスのような閉鎖された環境で育てるため、虫がつきにくく気候による収穫の左右もありません。ベランダなどで行う場合は、洗濯ネットなどを利用してビニールハウスのように育てるやり方もあります。

水耕栽培は根から水中に含まれる養分を吸収し葉を伸ばします。根は水中に接触していると、根が大きくなって食べる部分ができる根菜類はなかなか生長できないため、水耕栽培にはあまり向いていません。不可能ではないので、上級者はぜひトライしてみて＊

室内で気軽に取り組めることがメリットの水耕栽培ですが、室内ゆえに生長に必要な日光が得られないデメリットがあります。同じ室内でも窓際に置くかどうかで生育に差が生じる場合も。この点を解決するため、植物栽培用のLEDライトを使用するのがおすすめですよ。

水位は、根の先端がつく程度。根の全体が水についていたり、茎まで水に浸かるのはよくありませんよ。水温は22度前後が適温とされます。特に真冬は真夏は温度管理が難しいです。空調やオートヒーターなどを効果的に取り入れましょう。

溜まっている水は時間が経つと水質が落ちていきます。特に水耕栽培の場合は栄養がたくさん溶けた水ですので、植物だけでなくカビや虫にとっても嬉しい環境。こまめな水換えが大切ですよ。リボベジは毎日、それ以外は3日から1週間に一度交換しましょう。

水耕栽培に使う水はなんでもいいのでしょうか。まず水道水ですが、こちらは問題ありません。カルキが悪影響とする考え方もありますが、水をしっかりと交換しながら育てれば大丈夫とされています。反対にミネラルウォーターの方が、カリウムやマグネシウムなどの量が多すぎるという弊害がありますよ。

お米の栄養が詰まったとぎ汁。こちらは肥料として使うことができるとされていますよ。お米のとぎ汁と牛乳を8：2で混ぜ合わせ、2週間ほど発酵させればOK。この発酵が大切で、発酵させていないとぎ汁を使うと反対に腐ってしまったという人が多くいるようです。

種を植えて発芽したら、近い芽を離して空いている場所に植え直したり、小さい芽は抜いてしまったりという、間引きの作業をしましょう。養分がみんなに行き渡るように、また小さな芽に奪われて不足しないようにするため、大切なプロセスです。

水耕栽培に挑戦したけれど、なかなか育たない、または枯れてしまう時には、まずは紹介した水と光をチェックしましょう。水はこまめに手入れすること、光は日照が不足しないようライトを利用することが大切。種や苗から育たない場合は、種を植えるスポンジが硬すぎる場合がありますよ。

根が水に沈んでしまわないように工夫できるものなら、専用容器をわざわざ買わなくてもOK◎使い終わったペットボトルなどを利用している人も多いですよ。まずは容器や種付けするものを用意しましょう。

使い終わったペットボトルが、水耕栽培の容器へ早変わり。ペットボトルを半分に切り、上の部分をひっくり返して下の部分にはめ込みます。下部に水を張り、ペットボトルの口を通じて下に伸びた根だけが水に触れる仕組みです。

種から蒔く場合は水切りかごやスポンジ、コットンを使うことが多いです。スポンジに切り込みを入れ、容器に敷き詰めて水を含ませます。切り込みに種をまいていきますよ。スポンジは100円ショップなどのアイテムでOKです。

育てるものによっては、ペットボトルやタッパーでは小さい場合があります。そんな時に使えるのがバケツ。水耕栽培用のポットとバケツを組み合わせ、先ほど解説したペットボトルと同じような仕組みがすぐに作れますよ。

続いては種まき。水耕栽培はわざわざ高い苗を買わずに種から蒔くのが一般的です。スポンジが扱いやすく発芽しやすいのでおすすめ。スポンジを薄い厚みの正方形に切り、十字に切り込みを入れたものに水を含ませ培地にします。発芽するまでは肥料ナシの水だけで大丈夫です。

種は特に水耕栽培用などはなく、普通にホームセンターや生花店などで売られているものでOKです。初心者なら生命力の強いハーブもおすすめ。育てやすく、ちょっとしたお料理に使えるので盛り付けも楽しくなります。

発芽し生長してきたらいよいよ肥料を使います。スポンジから液体肥料は即効性が高いため必要以上にあげてしまうと、逆に植物を弱らせてしまいます。植物の状態にあった量の肥料を使うように気を付けてください。ある程度大きくなったら用意した容器に移し替えましょう。

発芽や移し替えのタイミングで、大きいものや根同士が近いものを間引きしましょう。ギュウギュウのまま育てると、栄養をとりあってケンカし、結果育ちにくくなってしまいますよ。

有機肥料は、枯れ葉や草、動物のフンなどが元になっています。微生物によって分解されることで植物の生長に必要な栄養素ができます。対して無機肥料は自然界にある鉱物が元になっています。窒素やリンをはじめとした多くの成分が入っており、水に溶けて植物へと吸収されます。そのため、水耕栽培は無機肥料を採用することが多いです。

植物の生育に必要な液体肥料ですが、多ければいいと言うものでもありません。液体肥料によって、そして育てる植物によって使う量や比率が定められているので、しっかりチェックしたり計算したりして、適切な量を使用しましょう。

お茶パックは軽いので、程よい安定感があるパーライトを培地に使うのがおすすめ。スペースが小さいので収穫が早いスプラウトものが向いています。プラカップやタンブラーにセットして使いましょう。

1番手に入りやすくて身近なのがペットボトルです。汚れたら使い捨てできるのも◎ 口の部分にはまるサイズにスポンジを切ってセットし、切り込みを入れて根が伸びるようにしましょう。

100円均一のシンクのゴミキャッチャー浅型タイプを使って育てたブロッコリーのスプラウト。 こちらを水を入れたお皿にすぽっとセットします。ざるごと持ち上げられるから水換えしやすいですよ。

収穫を多く期待したい場合は、ちょっと手間をかけてエアポンプを付けてみましょう。観賞魚の水槽に付けるアレです。水の腐敗を遅らせ、成長が格段に速くなります。

こちらは、ガラスのコップに液肥をいれ、エアポンプから空気を送っています。倒れないように針金で植物を支えてプラ板の蓋をかぶせて。光源にLEDランプも使用しているそう。

土を入れて大きめの鉢植え代わりになる発泡スチロールの箱は、水耕栽培にも使えますよ。穴を開けたフタを閉じて使い、フタの下には培養液と植物の根が、フタの上には葉がくるような栽培方法もできます。

自作の水耕栽培装置に使えるアイテムとして、塩ビパイプもおすすめ。傾斜をつけることで水の流れを生み出し、遮光されるので藻が生えにくいのもメリット。エアポンプを使って水を自動で動かします。

バジルやミントなどのハーブ類は生命力が強く、自作の水耕栽培容器や培地でも問題なく育つので初心者に最適の野菜ですよ。あると便利なパセリは、長く収穫できて用途も多いおすすめのハーブ。スーパーで売られているものより柔らかくて美味しく育てられるのも嬉しいですね！

しそも初心者におすすめの野菜。いろいろな料理で活躍する薬味だから、家で栽培してささっと収穫できると嬉しいですよね。日があたりすぎると固くなるので半日陰に置くのがポイント。ローズマリーは買ってきたものの茎を斜めにカットするだけですぐに始められますよ。

ほうれん草や小松菜など、おかずの主戦力として活躍してくれる栄養たっぷりの野菜も、水耕栽培で作ることができます。葉がぐんぐん大きくなる野菜たちなので、大きさにあわせて株分けして植え替えるようにしましょう。

つるがぐんぐん伸びて大きな実がなるきゅうりやゴーヤは、ベランダなど広いスペースで栽培するのがおすすめ。水分を多く含むみずみずしい野菜たちなので、乾燥させないように気をつけましょう。

平らな場所にタネを並べ、軽くこすって割ってから数時間水につけておきましょう。そうすることで発芽がよく揃うようになるようです。

パクチー（コリアンダー・香菜）はそのまま植えると発芽率がかなり悪くなってしまうようです。あらかじめ種の殻を割って裸にして植え付けるときちんと発芽します。買うと高い野菜なので、家庭菜園で収穫できると嬉しいですね♪

お母さんが昔やってた！という方も多いのではないでしょうか？使い終わったら水につけておくだけで、すくすくと育ってくれるので、調理のついでにチャレンジするのにもピッタリです♪

こちらもリボベジ向きの野菜、万能ねぎ。日の当たる場所に置いておくと、その生命力に驚くほどぐんぐん伸びていきます！根っこから15センチほどまで残してカットするのがおすすめ。

ニンジンの葉の根元を数センチ残してきり、水にひたしておくと葉っぱが伸びていきます。刻んでスープにぱらりと乗せるなど、用途も意外といろいろ。ラディッシュやかぶなどへたがあるものはこのリボベジができますよ。見た目もかわいいですね。

ケーキなど、スイーツの上にちょこんと載っているだけでカフェのようにおしゃれになるミントは、常備してあると嬉しいですよね。キッチンの横でリボベジしながら待機させておけば、いつでも新鮮です。

球根から育てて花を咲かせる植物も水耕栽培に向いていますよ。土の中に入れないといけないと思いがちな球根ですが、培養液につけて土を使わず育てられます。王道はヒヤシンスやクロッカス。鮮やかに花が開いた時には感激しそうですね。

茎が太いパキラやガジュマルですが、その茎を水につけておけば水耕栽培になりぐんぐんと育ちますよ。自然に育つ大きな木ではありませんがしっかりと大きな葉をつけます。心を癒やすグリーンアイテムになりますね。

アイビーやポトスなどの観葉植物は茎を水につけておくだけでOK。水耕栽培でありつつ、そのままグリーンインテリアになります。初心者でも育てやすいのが魅力ですよ。

種から育てる朝顔。芽を出しつるがのび葉をつけ、やがて花が咲くまでの過程をゆっくりと楽しめますよ。比較的長い期間花をつけ、最後には種がとれるのでまた育てられます。

みんな大好きアボカドの種を水耕栽培に！種に串をさしコップなどのふちに引っ掛けるようにしてセット。ただ、芽が出るものの実を食べられる状態まで育てるのは時間も手間もかかります。観葉植物として楽しむのがよさそうです。

野菜の水耕栽培は育てて食べるまでの楽しさがありますが、食べられなくても鑑賞するだけでも美しく楽しいものもたくさんあります。こちらのように玉ねぎに顔を書いたら見る度にほっこりしそう。もちろん植物の水耕栽培も、より自分らしく楽しむアイデアが満載。みんながやっている素敵なアイデアピックアップしました。

水槽の上で植物を育てる水耕栽培をアクアポニックスといいます。お魚鑑賞をしつつ野菜を育てる面白いアイデア。水槽の水を使って野菜を育てることもでき、それにより水が浄化されるとされていますよ。