職人さんの手しごとで作られた日用品こそ美しい、と評価され今の時代にも伝わっているものが「民藝」です。益子焼や小鹿田焼など、長い歴史を持った「うつわ」も民藝品のひとつ。伝統と技術が受け継がれて作られているもので、地方によってデザインや技法など、特徴はさまざま。その楽しさを知って、暮らしに取り入れてみませんか?今回は民藝品であるうつわを、産地・窯元ごとに詳しくご紹介します。2018年01月24日作成
「民藝」とは…有名な作家さんがこだわって作り上げた一点ものではなく、かといって工場で大量生産されたものでもない、名も無き一般の職人さんの手しごとによって作り上げられた「日用品」のことを指します。
大正時代、思想家・柳宗悦が「美術品に負けて劣らない美しさが、日用品の中にはある」と提唱。民衆的工芸=「民藝」と名付け、工業品の反映によってどんどん失われていく手仕事の美しさや伝統を大切につなげていこうという「民藝運動」が生まれました。
今回は、「民藝」の中でも、わたしたちの『食』を支えてくれる「うつわ」をご紹介します。日本各地、それぞれの歴史・文化が伝統として受け継がれ、今もなお職人さんの手でひとつひとつ作られているうつわ。いつもの献立でも、なんだか、よりあたたかく、美味しくみせてくれる感じがしませんか?それでは、窯元別に素敵なうつわを見てみましょう♪
栃木県芳賀郡の益子町を中心に栄えているのは、益子焼(ましこやき)。江戸時代に発祥し、現在250以上もの窯元が集まっているそうです。GWと秋に行われる「益子大陶器市」は、毎年大盛況の人気ぶりです。
土のぬくもりが感じられる、ほっこりとした雰囲気。ちょっと厚手で、ぽってりとした作品が多いのが特徴です。絵柄や色もシンプルで、日常使いしやすいですね。
カレーやパスタにも、おかずにも、そしておやつにも。和洋問わずなんでも受け入れてくれるタイプの、やさしいうつわです。
美濃焼(みのやき)は、岐阜県の土岐市・多治見市・瑞浪市・可児市が産地。日本最大の陶磁器生産地域で、その歴史はなんと1300年以上となります。
国内の陶磁器の60%は美濃焼、とも言われているほど、わたしたちの暮らしに普及しているうつわです。ツヤのあるものからマットなものまで、デザインも北欧っぽいものもあれば、しっかりと和のつくりのものも…実に多彩な特色を持っています。
上のつややかなカレー皿も、この粉引の菊花皿も、どちらも美濃焼というのがおもしろいですよね♪料理を引き立てるデザインに、扱いやすさ、じょうぶさ。国内シェア率トップも納得できるつくりです。
九谷焼(くたにやき)は、石川県の南部、金沢市・小松市・加賀市・能美市で作られています。つるつるとしたうつわに、九谷の五彩(青・黄・紺・紫・赤)を用いた絵付けが特徴的です。
うつわなんだけれど、なんだかまるで絵画や絵本のイラスト、もしくはテキスタイルのような…♪色も絵柄も多彩で、美しくてかわいらしいのが九谷焼の魅力です。
普段使いはもちろん、いつもよりも華やかなごちそうや、お祝い事のときにもぴったり。お醤油を入れただけの小皿もかわいらしいですね。
小石原焼(こいしわらやき)の産地は、福岡県の中南部にある、朝倉郡東峰村。冒頭でご紹介した「民藝運動」の時代に、柳宗悦やバーナード・リーチらに「用の美の極致である」と絶賛されました。
素朴であたたかな風合いに、刷毛目や飛び鉋などの技法が用いられているのが大きな特徴ですね。飾らない、いつものふだんの献立を盛り付けるのにぴったりです。
そして、上の小石原焼の技法が伝わって発祥したのが、大分県の小鹿田焼(おんたやき)です。そのためふたつは兄弟窯と言われています。民藝運動で評価されたのは、小石原焼よりもこの小鹿田焼の方が早かったそう。
小石原焼と同じく、刷毛目や飛び鉋、櫛目といった技法が用いられています。こちらの小鹿田焼のほうが、より技法が細かく繊細に用いられているものが多いかもしれませんね。
あたたかみもあれば、どこかスタイリッシュな雰囲気も感じられますね。大皿になると、細やかに入った飛び鉋の迫力のような存在感も楽しむことができます。
鹿児島県・姶良(あいら)郡姶良町で、父子で営まれているのが、宋艸窯(そうそうがま)です。
土の風合いが伝わってくるような質感に、彫り込まれた鎬(しのぎ)のデザインが、宋艸窯のうつわの特徴です。まぁるく、ぽってりとしたフォルムがかわいらしいですね。
職人さんが手作業でつくるうつわには、取扱いがデリケートなものもありますよね。宋艸窯のうつわは、電子レンジやオーブンにも対応している耐熱のものも多いので、気軽に使うことができそうです♪
沖縄の焼き物、やちむん。那覇市内には「やちむん通り」というのもありますね。こちらの「魚文」のお皿のように、沖縄らしい大胆でダイナミックな絵柄や色使いのものが多いのが特徴です。
こちらは沖縄の窯元のひとつ、一翠窯の作品です。色彩のバランスが美しく、自由さと力強さを感じるデザインですね。
かといえば、こんなシックな唐草模様のうつわも。那覇市にある育陶園の唐草線彫皿です。やちむんらしい大柄ですが、実に繊細に掘られていますね。多彩なうつわが楽しめるのもやちむんならではです。
昔からの伝統や文化を受け継いだ美しい日用品、民藝。その中でも、日本各地それぞれ違った特徴が楽しめる「うつわ」について詳しくご紹介しました。芸術品ではないので敷居が高いわけではなく、でも大量生産されたものよりも特別感がある…職人さんの手でひとつひとつ丁寧に作られたうつわを、みなさんも暮らしの中に取り入れてみませんか?
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「民藝」とは…
有名な作家さんがこだわって作り上げた一点ものではなく、かといって工場で大量生産されたものでもない、
名も無き一般の職人さんの手しごとによって作り上げられた「日用品」のことを指します。