今から楽しみな、公開を控える映画たち。原作を読んでみませんか
さて、2021年下半期に公開が予定されている映画も、話題作がたくさん!それらの映画の公開を待つ時間の楽しみ方として、原作本を読んで、心の中にその原作の世界を広げてみてはいかがでしょう。
そこで今回は、2021年下半期に公開予定の映画6作品、その原作本にフォーカスしてご紹介!
原作本を読んでみると、映画に対する興味がぐっと高まるということも。映画を見る予定のなかった方も、ぜひ、機会を見つけて原作本を手にとってみてください。映画を見てみたい!という気持ちが訪れるかもしれません。
本屋さんや図書館などで、チェックしてみてくださいね。
① 2021年8月公開映画『ドライブ・マイ・カー』の原作本
村上春樹 「女のいない男たち」(文春文庫刊)
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② 2021年9月公開映画『鹿の王 ユナと約束の旅』の原作本
上橋菜穂子「鹿の王」(角川文庫・角川つばさ文庫/KADOKAWA刊)
「鹿の王」は、「精霊の守り人」シリーズの作者、上橋菜穂子さんのベストセラー。2015年の本屋大賞、第4回日本医療小説大賞を受賞した作品で、若者から大人まで、幅広い年代に大人気のファンタジー小説です。
<簡単なあらすじ>
巨大帝国が他民族への侵入を繰り返す世界で、突如謎のウイルスが発生する。感染から生き残った父・ヴァンと娘・ユナ、命を救うため奔走する天才医術師・ホッサル。過酷な運命に立ち向かう人々の“絆”の物語。
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謎の病から世界を救おうとする冒険物語。まったく違ったアプローチで病に対峙するヴァンとホッサル、そして彼らを取り巻く人々との関係を見ていると、壮大な医療小説と捉えることも。命について考えずにはいられません。
※角川文庫版では「鹿の王1~4」、そして続編の「鹿の王 水底の橋」の5冊が発売されています。
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③ 2021年10月公開映画『TOVE/トーベ』を理解しやすくなる本
ボエル・ウェスティン 著「トーベ・ヤンソン 仕事、愛、ムーミン」(講談社刊)
トーベ・ヤンソン 著「島暮らしの記録」(筑摩書房刊)
トーベ・ヤンソンさんが、母親、そしてパートナーのトゥーティと共に過ごした岩だらけの島・クルーヴ島での生活を、日記形式で記録した本。島といっても、すこし大きめの岩礁といった方がいいような場所で、四方は見渡す限りの水平線。ここで、荒々しい自然と対峙し、日々を過ごしていくトーベさんたちの暮らしぶりが、詳細に描かれています。
挿絵はパートナーのトゥーティー作。味わいのある挿絵もまた、ワイルドな島暮らしを想像する手伝いをしてくれます。
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「トーベ・ヤンソン 仕事、愛、ムーミン」「島暮らしの記録」は映画の原作本ではないのですが、トーベ・ヤンソンさんの人となりを知る上で非常に参考になる本としてご紹介。
書店で品薄になっているようですので、図書館を利用して借りてみてはいかがでしょうか。
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監督:ザイダ・バリルート
出演:アルマ・ポウスティ、クリスタ・コソネン、シャンティ・ロニー ほか
配給:クロックワークス
2021年10月1日(金)より全国公開
映画『TOVE/トーベ』オフィシャルサイト
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④ 2021年10月公開映画『そして、バトンは渡された』の原作本
瀬尾まいこ「そして、バトンは渡された」(文春文庫刊)
2019年の本屋大賞、そして紀伊國屋書店の書店員がベスト30を選ぶ「キノベス!2019」でも大賞を受賞している「そして、バトンは渡された」。坊っちゃん文学賞大賞、吉川英治文学新人賞など数々の賞を受賞してきた、著者の瀬尾まいこさんは、もともと中学校の先生だった方です。本作で、第31回山本周五郎賞で候補にも挙がり、話題になりました。
<簡単なあらすじ>
3人の父親、2人の母親がいる主人公・森宮優子。さまざまな事情で、血の繋がらない親たちに「リレー」され、成長していきます。親たちが離婚・再婚を繰り返す中で、名字は4回も変更!たらいまわしにされていたわけではなく、それぞれの親に、それぞれの形で深い愛情を注がれ、優子もまた、親たちを愛していました。そんな優子の日々が優しく描かれています。
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家族にはいろいろな形があり、血の繋がりがすべてではないということを感じる1冊です。複雑な家庭環境にありながら、穏やかに成長していく優子を、親のように見守りたくなります。視点が変わって描かれるラストシーンは必読。心温まる家族の物語が読みたいときにおすすめの本です。
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監督:前田哲
出演:永野芽郁 田中圭 岡田健史
石原さとみ/大森南朋 市村正親 ほか
配給:ワーナー・ブラザース映画
10月29日(金)より全国公開
映画『そして、バトンは渡された』オフィシャルサイト
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➄ 2021年10月公開映画『ひらいて』の原作本
綿矢りさ「ひらいて」(新潮文庫刊)
2003年、早稲田大学在学中に「蹴りたい背中」で芥川賞を受賞したことでも有名な綿矢りささん。その綿矢さんが「ひらいて」の中で描くのは、揺れ動く高校生たちの恋愛模様です。2012年に発表された本で、多くの若者たちの共感を得ています。
<簡単なあらすじ>
華やかな女子高生・愛は、すこし哀しい目をした同級生・たとえに強く惹かれます。でも彼には心を通わせる相手、美雪がいることに気づきます。たとえに自分の想いを伝えた愛は、二人に対して予想外の行動に出て…。
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穏やかな前半部とは対照的な、エクセントリックにも思える後半部の激しいストーリー展開に目が離せなくなります。思春期特有の不安定さを思い出すような作品。綿矢さんらしい緻密さと、テンポの良さが混じりあう文章で、すいすい読んでいけますよ。
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⑥ 2021年11月公開映画『きのう何食べた?』の原作本
よしながふみ「きのう何食べた?」(講談社「モーニング」連載中)
よしながふみさん原作の「きのう何食べた?」。2007年に講談社の「モーニング」で連載がスタートした大人気漫画で、現在も月1で連載中。2019年にはドラマ化され、話題を呼びました。
<簡単なあらすじ>
几帳面な弁護士の筧史朗(通称 シロさん)と、優しい美容師の矢吹賢二(通称 ケンジ)。二人は2LDLKの部屋で一緒に暮らす同性カップル。家計をしっかり管理し、将来に向けて節約しながら堅実に生きる二人は、「食」を通してさらに絆を深めていきます。
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バラエティー番組「マツコの知らない世界」でも“レシピ本として使える漫画”として紹介された本作。美味しそうな料理はもちろんのこと、シロさんの手際のいい調理や、バランスの取れた献立など、すぐに参考にしたくなるポイントもたくさん!「ふつうにご飯を食べる毎日」の幸せを、改めて感じさせてくれる素敵な作品です。
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監督:中江和仁
出演:西島秀俊、内野聖陽
山本耕史、磯村勇斗、マキタスポーツ、松村北斗(SixTONES)ほか
配給:東宝
11月3日(水・祝)より全国公開
劇場版「きのう何食べた?」公式サイト
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最後に
映画をきっかけに、今まで読んでいなかった本の世界を知ることができるなんてとても素敵!今年下半期の映画の公開まではまだ時間があります。ぜひ、気になった映画の原作本を手に取って、読み始めてみてください。きっと、新たな世界が広がりますよ♪
「ドライブ・マイ・カー」は村上春樹さんの「女のいない男たち」に収録された6つの短編小説のうちの1作。6つの小説には「さまざまな理由で女性に去られた男性」の話が綴られています。
<簡単なあらすじ>
接触事故による免許停止、そして目の病気のために、運転ができなくなった舞台俳優の家福。自家用車の運転手を雇うことになります。寡黙な20代の女性運転手・みさきを紹介され、専属運転手にすることを決めます。
家福は、癌を患ってあっという間に亡くなった妻のことを思い出すように。そして、妻が関係を持っていた高槻という男と、妻の死後に飲みに行くようになったとみさきに話します。
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村上春樹さんらしい終わり方の短編小説です。孤独な家福はみさきとの会話を通して、自分の心を整理していったのかもしれません。50ページ足らずの短編なので、さらりと読み進められます。隙間時間にもぴったりの1冊。