「アヒムサ」とは?
「非暴力に徹した者のそばでは、すべての敵対が止む」。
これはめまぐるしく移り変わってゆく、現代の私たちの暮らしのなかにも生きる、大切なヒントのように感じます。
ヨガ哲学のなかで、日常で控えた方が良いことの、ひとつ目として挙げられているものです。人生をより豊かで素晴らしい時間にするために推奨される行動・思考のひとつとも言えます。
今回はこの「アヒムサ(非暴力)」についての紹介です。
- 寒さに負けない体を目指す!ゆらぎがちな冬のご自愛ケアキナリノ編集部
他人に、そして自分に優しく。
ヨガ哲学では、12年間学び続ければひとつのことを完成させることができるといわれています。アヒムサを守ること、つまり12年傷つけない習慣を守れば、その人に敵がいなくなるとヨガの経典には記されています。
インド独立の父と呼ばれる「マハトマ・ガンディー」や、1989年ノーベル平和賞を受賞した「ダライ・ラマ14世」も、アヒムサ(非暴力)を実行し続けた歴史上の偉大な人物。国や人種、宗教、文化を超えた平和的な考え方がアヒムサの教えでもあるといえます。
このように周囲の人に優しく親切に、慈愛の気持ちで接することは、自分自身の心にも良い影響を与えます。アヒムサを実行していくことでどんな変化が起こるのでしょうか。それを実感するには、意識して非暴力を実行していくことが重要といえそうです。
「アヒムサ」を日常で実行していくために
アヒムサを日常で実行していくためには、具体的にどんなことを意識すればよいでのでしょうか。カラダ・心・言葉を中心にそのヒントを紹介していきます。
陰口や悪口など否定的な言葉を控える
普段の発言や行動を振り返ったとき、その言葉や表現、態度によって誰かを傷つけていませんか?悪口や陰口は、もし自分がされていたとしたら、良い気分ではありませんよね。
例えば誰かを許せなかったり、嫉妬したり…そんな感情を抱いてしまうことは、人間ですからあると思います。大切なのはそれに気づくこと、そして手放すことです。
平穏な感情は相手に対してだけでなく、自分の中にも良い影響を与えてくれるはずです。
カラダのSOSを無視しない。セルフメンテナンスで心身のケアを
「無視をしない」というのも、ひとつの非暴力です。肩こりや頭痛、体の疲れやだるさ、肌荒れ…カラダはさまざまな方法で私たちにSOSを発信しています。
そのうち治るかな…と放っておかずに、セルフメンテナンスで自分をケアすることが大切です。
寝不足や偏った食事、運動不足、溜まったストレスなどはカラダのコンディションに大きな影響を与えます。ゆっくり湯舟に浸かったり、マッサージやストレッチをしたり、野菜中心の自炊料理に切り替えたり、小さなことから対策をしていきましょう。その積み重ねが不調緩和へと繋がります。
暴飲暴食をしないよう心掛ける
ストレスの捌け口として、つい食べすぎたり飲みすぎたり…。暴飲暴食は、カラダにダメージを与えることがあることを忘れないで。アルコールや喫煙、サプリメントなどに必要以上に依存してしまっている人は、改善を心がけると良いかもしれません。
また添加物を多く含む加工食品やバランスの偏った食事ばかりでは、結果的に自分の健康やカラダを傷つけることにつながります。カラダを労わるような食事を意識してみましょう。
「心のモヤモヤ」を手放す
今、心がモヤモヤしていたらその原因は何でしょう?我慢ばかりしていませんか?カラダ・心・思考すべてに思いを巡らせて、その原因が分かったら少しずつゆっくりと手放していきましょう。
心地良くリスタートをするために、リフレッシュタイムを作るのもおすすめです。
リトリートに参加したり、大自然に触れてみたり、映画や舞台を観て思いっきり涙を流したり。まーるくなった思考は、日常に再発見をもたらしてくれるかもしれません。
人に対してジャッジをしない
私たちは毎日たくさんの情報を受け取っています。ときには、この人は〇〇だ、この国は〇〇だ…という評価や分別を持つこともあります。しかし、大切なのはジャッジすること自体ではなく「より良い未来のためにどんな選択肢があるか」と考えること。
目の前にある物事や環境を変えることが難しいシチュエーションもありますが、“その中でいま自分にできることは何か”と、発想の転換をしてみましょう。ゆっくり深呼吸をして、アヒムサという言葉を思い出して。
言葉や想い、思考、捉え方、行動が変わってくると、自然と身の回りに起こる出来事が良い方向に向かっていきます。類は友を呼ぶ、という言葉があるように出会う人との縁も自然と変化していくといいます。