子どもの頃から何か一つのことを継続していたり、大人になってから夢中になれるものを見つけてそれに打ち込んでいる人は、どこか輝いていて素敵に見えますよね。

毎日継続したり夢中になれるならば、それほど「好きなこと」なのだろうと思うでしょう。
では、「あなたの好きなことはなんですか？」と問われた時、「これが好きです。」とすぐに答えられるでしょうか。

また、仕事を探す時もそうですね。「好きなことを仕事にする、好きなことに向き合う」なんていう言葉もよく聞かれます。好きなことがその道に導いてくれる、または人生の指針となるという思いもあるかもしれません。

ところが、いざ自分の好きについて思いを馳せてみると…案外「分からない」という人も多いのではないでしょうか。「好きなことをして、いつまでも輝いていたい」という思いはあっても、そもそも好きなことが何かわからない…。

好きなことがわからないと自覚したとき、「好きなことがわからないなんて、今まで自分は何をしてきたんだろう…。」そんな漠然とした苛立ちや焦りの気持ちが生じることもあります。

その気持ちは、今まで過ごしてきた中で "これ" というものを見つけられなかったことや、自分が一つのことを継続できていないように感じられ不甲斐なく思うことに起因しているのかもしれません。

私たちは誰もが、多くのことを経験しながら毎日を懸命に過ごしているはずです。そして迎えた今、生活を支える仕事や、サポートするべき家族がいるでしょう。

それ自体は素晴らしいことなのに、課せられた仕事をしたり家族を陰ながら支える役割は、自分が「好きなこと」をしているという感覚とは少し違い、毎日代わり映えしないと感じることもあるのではないでしょうか。

そして、変わらない毎日を過ごす自分は、いつも同じ場所にとどまっているような気がする…それが「自分は何をしてきたんだろう」という思いを強めてしまっているのでしょう。

ですが、「何もしてきていない」はずはありませんよね。たくさん悩み、その時々で最善の選択をしながら重ねてきた日々が今の自分を作っているはずです。

好きなことを持ち、それを継続することは「何かに向かって前進している」ように見えます。
でも、毎日の中にある小さな幸せや喜びも、自分が日々変化しているからこそ見つけられるもの。自覚していなくとも、私たちはきちんと前に進んでいるはずです。

不安や焦りを感じるのは、やるべき事ややらなくてはいけないことに縛られて、「好き」あるいは「～したい」と思う気持ちを忘れているからかもしれません。

長年続けている趣味やライフワークなど「これが私の好きなこと」という確固たるものでなくてもいいのです。
「今日はこれをしたい、ここに行きたい、これを食べたい」という、自分の気持ちにもっと目を向けましょう。そして、自分の気持ちを叶えることや、時には家族よりも自分を優先した選択をしてみましょう。

今、「したいこと」に素直になることで自分の気持ちを満たし、今いるところが自分の居場所であることや、そこで毎日頑張っていることを自分自身が肯定できるのではないでしょうか。

自分や家族のために自然な流れに身を委ねながら、そこで小さな満足を重ねていくことを、私たちは平凡に思うかもしれません。
けれど、同じような毎日を今日も明日も"続けられる"ことが、決して楽でないことは誰よりもあなた自身が知っているはずです。

そうやって今と向き合い日々を積み重ねていくことは、「好きなものに夢中であること」と同じように素敵で、実は大変なことではないでしょうか。

好きなことがあること、何かに夢中になっている姿は確かに輝き頑張っているように見えるでしょう。けれども、好きなことが分からないからといって焦る気持ちを持ったり、無理に好きなことを見つけ出す必要はありません。