呼吸についておさらい
わたしたちが毎日無意識に行っている呼吸。深呼吸をするとよいことはなんとなく知っているけれど、そもそも何が違うのでしょうか。毎日の「呼吸を整える」習慣をはじめる前に、今いちど呼吸についておさらいをしておきましょう。
胸式呼吸と腹式呼吸
ふだん無意識にしている呼吸が「胸式呼吸」なのに対し、おなかを膨らませるように意識してする呼吸が「腹式呼吸」なのはご存知ですよね。「腹式呼吸」は、おなかや脇腹に力が入り、腹圧をかけるため自然とゆっくりとした呼吸になるのが特徴です。
腹式呼吸の方法
立った姿勢でも、座った姿勢でもかまいません。スッと背筋を伸ばし、おへその下9センチのところにあるツボ「丹田」を意識します。息を吐くときは、体の中の悪いものを出すイメージ、息を吸うときは、澄んだ空気やよいものを取り込むイメージをしましょう。吐く息を意識的にゆったりと行い、吸う息は自然に任せます。これを丁寧に繰り返します。
なぜ「呼吸を整える」のか
「呼吸を整える」となぜ心身によい影響をもたらすのでしょうか。それは、自律神経やセロトニンの働きに関係しています。ここでは、そのメカニズムについてお伝えします。
自律神経と呼吸
自律神経とは、呼吸や消化、体温調整などの体の働きを調整するものです。昼間は交感神経が活発になり、夜は副交感神経が優位になって体を休めるようにできています。このバランスがストレスなどで崩れることで、心身の不調を引き起こしてしまうのです。
そのなかで唯一、意識的にコントロールできるのが呼吸です。腹式呼吸では、肺の下の横隔膜が上下運動します。横隔膜には自律神経が集中しているため、ゆったりと息を吐くことで自律神経を刺激し、副交感神経が優位になり、リラックスするというわけです。
セロトニンと呼吸
セロトニンとは、心のバランスを整える働きがある神経伝達物質です。ストレスなどによりセロトニンの分泌が減ってしまうと、集中力が低下したり、気分が落ち込みやすくなったりします。つまり、腹式呼吸のような「リズム運動」を繰り返すと、セロトニンが分泌されて心が落ち着くのです。
こんなときに呼吸を整えよう
つらい気持ちやイライラしているとき、なかなか眠れないときは、交感神経が活発になっている状態です。こんなときは、呼吸が浅く短く速くなって、肺にじゅうぶんな空気が取り込めていません。意識して、ゆったりとした呼吸に整えてみましょう。しだいにつらい状態が薄らいで、安らぎを感じられるようになります。
つらい気持ちのとき
仕事で失敗をしてしまったり、人間関係がうまくいかなったり、ストレス社会ではよくあることです。つらい気持ちを引きずらないためにも、深くゆったりとした呼吸を意識してみましょう。つらい気持ちを出し切るように息を吐き、元気を与えてくれるような森林をイメージしながら息を吸います。
イライラを鎮めたいとき
満員電車やレジの待ち時間など、思い通りにいかなくてイライラしてしまいうこともありますよね。そんな時間も、「呼吸を整える」練習時間に恵まれたと思ってみましょう。ゆったりと呼吸を繰り返すうち、いつのまにかイライラは鎮まってくるはずです。
深い眠りにつきたいとき
なかなか寝付けない、よく眠れない。睡眠の悩みを抱える方も多いですよね。布団にもぐったら、体の力を抜いて、ゆーっくり、ゆーったりと呼吸を整えてみましょう。悩み事や心配事が頭に浮かんでも、ひとまず横に置いておいて、呼吸に集中します。そのうち、いつの間にか深い眠りについているでしょう。
集中力を高めたいとき
ここぞというとき、短時間で仕事を片づけたいとき。そんなときにも、呼吸を整えてみましょう。記憶力や集中力を高める「アルファ波」という脳波が発生し、ひらめきや直感力が高まる効果も期待できます。
心の小休止に
一日のうち、何度か心の小休止をとりませんか。仕事や家事の合間に休憩することってありますよね。体を休めていても、心はあれこれと常に動いています。ゆったりとした呼吸を何度か繰り返し、心にも休憩時間を与えてあげましょう。
呼吸を整えて健やかにすごそう
「呼吸を整える」習慣は、1分もあれば、どこでも誰でも簡単にできる方法です。ストレス社会のなかでしなやかに生きていくためにも、健やかな心身を保つためにも、ゆったりとした「呼吸を整える」習慣をはじめてみませんか。
ストレス社会に生きるわたしたち。緊張したり、心が動揺したりすることもしばしばです。そんなとき、知っておきたいのが「呼吸を整える」こと。ストレスを感じているとき、わたしたちの呼吸は浅く短くなりがちです。ゆったりとした呼吸に整えることで、心身をよりよい状態へ導いていきましょう。