出典: 10年ほど前からじわじわと人気をあげてきたという「多肉植物」。今では女性を中心とした大きなブームとなっていて、「タニラー」「多肉女子」という言葉も生まれるほど。
人気の秘密はぷっくりとした可愛らしいフォルムや、紅葉時のカラフルな色合い、さらには水やりの手間がかからないという育てやすさ。気軽に足を踏み入れたら、いつの間にか“多肉のトリコに!”という方も多いようです。
今回は、人気の多肉植物の「基本の育て方」と、お部屋のインテリアとしての「アレンジ方法」をご紹介します。まるで、オブジェのような多肉植物はインテリアにもぴったり!
見るほどに味わいのある姿を、お部屋でもじっくりと楽しみましょう♪
葉や茎や根の中に水分を蓄えていて、多肉質になっている植物の総称で、一万種以上の品種があると言われています。サボテンや、太い幹が特徴のコーデックス(塊根植物)もこの仲間です。
可愛らしい見た目の多肉植物ですが、原産地は砂漠や海岸、高冷地といった過酷な環境。そのため、水やりの必要はほとんどなく強健ですが、雨の多い日本とは全く異なる環境からきた植物なので、特性にあった場所に置く必要があります。
多肉植物は春秋型、夏型、冬型に分けられ、それぞれに成長に適した時期、また暑さに弱い、寒さに弱いなどの特徴も違います。品種によってまちまちなので、育ててみたい品種が見つかったら、お店の人に訊くなどして調べてみてくださいね。
ここからは、人気のある品種の中からおすすめなものをセレクトして、基本的な育て方とともにご紹介していきます。ぜひ購入時の参考にしてくださいね。
出典: バラの花のように重なる「ロゼット状」の葉っぱが女性に人気の多肉植物です。まるで花が咲いたような形状ですが、実際の花は春から夏にかけた時期につく、色鮮やかな花穂です。
一般的なエケベリアは冬と夏に休眠期に入るため、その間は月一回の水やりに。また高温多湿に弱いため、梅雨から夏にかけては雨に当てず、明るい半日陰で管理します。
出典: エケベリアは中心に水がたまると芯が腐ることがあるため、株周辺の土に水やりをしましょう。また、日照不足になると間伸びしてロゼットが崩れてくるので注意して。
写真は、エケベリアでは珍しい夏型種の「ラウィ」。夏場でも土が乾いたら水やりをしてもいいようです。
出典: プクっとした艶のある緑の葉は、秋になると美しい紅葉を見せます。丈夫で見た目が可愛らしいことでとても人気のある、初心者向けの多肉植物です。
日当りが悪いと間伸びするため、日当りの良い場所で育てて。暑さに強く、冬も霜や凍結がなければ屋外で越冬できます。乾燥気味を好むので、長雨や水のやりすぎに注意してくださいね。
出典: 虹の玉は、斑入りの「オーロラ」や穂先だけピンクに紅葉する「乙女心」、ジェリービーンズのような黄緑色の「八千代」と近い仲間です。どれも店頭でよく見かける品種ですね。
(写真は乙女心とオーロラ)
出典:www.instagram.com(@greensnap.jp) 石ころのような形にシワの寄ったような模様が不思議な「リトープス」。“生きた宝石”とも言われ、コレクターに人気がある奥の深い品種です。日本では「メセン類」という、観賞用につけられた通称から「女仙(メセン)」とも呼ばれています。
日当りのよい窓辺など、雨のあたらない場所で育てますが、湿気や蒸れに弱いため、夏は風通しのよい屋外に。
出典: リトープスの育成期である冬の時期は、土の表面が乾いてきたら水やりをします。蒸し暑くなってきたら回数を減らし、夏は月に一回ほど涼しい夜にさっと水をかけるか、断水します。
10月〜1月にかけて、外見からは想像できないような、大きな菊のような花を咲かせます。サボテンの開花時に少し似ていますね。
出典: リトープスの大きな特徴は、一年に一度脱皮をして数を増やしていくことです。2月〜4月に脱皮を始めたら水やりを控えめに。古い葉が完全に枯れたら、茎を痛めないように注意しながら取り除きます。
こうした分頭での株分け以外に、花後の種からも増やすことができます。
こちらはメセンの「摩玉」という種類。シャープな葉は、色も形もまるで石ころのよう。こちらも菊の花のようなかわいい花が、毎年秋頃に咲きます。
リトープスの詳しい育て方はこちらからご確認ください。
出典: ロゼット状の葉が美しい「ハオルチア」です。近年アジア圏で人気が上昇していますが、ハオルチアは多肉の中でも特に成長に時間がかかるため、中には高額で取引されているものも。
出典: 「軟葉系」と「硬葉系」とに別れていて、軟葉系の中には、葉の先に「窓」と呼ばれる半透明の部分があります。“砂漠の宝石”と呼ばれるのも納得してしまう美しさです。
(写真は軟葉系ハオルチアの「白水晶」)
出典: ハオルチアは通年室内で管理できる育てやすい植物です。明るく直射日光の当たらない、観葉植物と同じような場所での管理がおすすめ。
休眠期は月に1回ほど葉水を。また繁殖は、株分けによって数を増やします。
(写真は硬葉系ハオルチア「十二の巻」)
出典: 100円ショップでもしっかりとした苗が手に入りますよ。しおれたり、茎や葉がむだに伸びていない、ぎゅっと葉の詰まった苗を選ぶようにします。
出典: いろいろな品種をたくさん育ててみたい、という場合は、カット苗の詰め合わせがおすすめ。オークションやネット通販で多く取引されています。これだけで小さな寄せ植えが作れちゃいますね♪
出典: 基本的な土の配合は「赤玉土3:鹿沼土3:腐葉土4」ですが、簡単に始めたい場合は多肉植物用の培養土を使うか、サボテン用の土と草花用培養土を半々で混ぜた土でもOK。
また素焼き鉢だと水分が切れやすく、プラ鉢や塗り鉢だと保湿性があるので、育てながら植物の様子に応じて土も調整していくと良いでしょう。
出典: 植え替えの前後一週間は水やりを控えます。植え替えや繁殖などは、育生期の少し前の時期に行うと、どんどん根を伸ばして育ちます。
<植え替えの手順>
①そっと苗を持ちポットから抜き出し、土をほぐします。
出典: ②伸びすぎた根や、茶色くひからびた根はカットして整理しましょう。根腐れしないよう、直射日光が当たらない場所で根や切り口を2〜3日乾かしてから新しい鉢に植えます。
植え替え後も、根詰まりや土が古くなるのを防ぐために、二年に一回は植え替えしましょう。
※カット苗の挿し木(挿し芽)のしかたは、この後ご紹介する方法を参考にして下さいね。
多肉植物の寄せ植えの方法を紹介しています。詳しい植え替え方はこちらのサイトを参考にしてください。
多肉植物の魅力の一つは、簡単に繁殖できるということ。
今回は三種類の増やし方をご紹介しますので、育生期になったら植物にあった方法で増やしみてくださいね。
株が大きくなってきたり、ヒョロッと伸びてしまった場合は形を整えて、カットした木を挿し木にすることで増やす事ができます。
出典: <挿し木の手順>
①挿し木にする部分の数センチ下をカットします。
②カットした挿し木の、茎の部分に葉がついていたら、植えやすいよう根元の葉を2〜3枚落として、茎を露出させます。落とした葉は、葉挿しに使ってみましょう。
出典: ③挿し木を日陰でよく乾燥させます。
このとき、寝かせておくと茎が曲がってしまって植えにくくなるので、ネットや口の小さい瓶などに挿して乾燥させるといいですよ。
出典: ④2〜3日で切り口が乾きますので、ここで土に挿すか、そのまま放置して発根を待ちます。
カットして2週間ほどか、遅いもので一ヶ月以上かけて発根します。発根までは水を与えません。(すぐ土に挿した場合は10日〜2週間ほどは水やりを控えます。)
※多肉植物は葉を落としたりカットしたり、傷のつくようなことをしたら、水やりを数日控えてかさぶたのように乾くのを待ちましょう。傷口が濡れるとそこから腐る恐れがあります。雨にも濡れないように注意して下さいね。
出典: 出典: 間伸びしてしまった株を短く仕立て直した場合、親株が丸坊主になってしまっても、待っていれば茎から脇芽が出てきます。
植え替えなどで葉がパラパラと落ちたときは、ぜひ葉挿しをチャレンジしてみてください♪
出典: <手順>
①葉を乾いた土の上に置きます。腐らないよう風通しのよい場所におき、水は与えないようにして。
直射日光に当たらない場所で根っこが出るのを待ちましょう。
②10日〜20日ほどで発根し、小さな新芽がつきます。
出典: ③根っこがでてきたら、柔らかい土(「種まき・挿し芽用の土」がおすすめ)を2cmほど敷いた上に乗せ、根に軽く土をかけて、根が沢山でるまで一日おきくらいに霧吹き等で湿らせます。
出典: ④芽が5ミリほどになったら、窓辺などで適度に日光に当て、育つのを待ちます。 いきなり直射日光ではなくカーテン越しくらいがいいようです。
出典: 子株がたくさん増えてギュウギュウになってきたら、株分けによって増やすことで、根づまりを防止できますよ。
出典: <手順>
①鉢から抜いて根をほぐします。茶色く痛んだ根があったら取り除きます。
②なるべく根を切らないように注意しながら、外側から子株を外していきます。
出典: ③1日ほど根や切り口を乾かしてから植え替えましょう。植え替え後は2週間ほど日陰で養生し、落ち着いたら液体肥料を与えて成長を促して下さい。
出典: インテリアとの相性がとても良い多肉植物。いつも眺めていたいから、室内に置いている方も多いのではないでしょうか。
ここからは、多肉植物をインテリアの一部として楽しみながら育てている方の、アレンジ法や実例をご紹介していきます。ご自身のお部屋に合わせた多肉インテリアの参考にしてみて下さいね。
多肉植物の個々の性質を知るためには、まずは一株ずつ植えてみるのがおすすめです。また株分け後の株やカット苗の成長を待つ間、鉢を画像のように並べて管理をしても。
小さな鉢をずらっと並べると、まるでコレクションを展示しているようですね。
出典: こちらは100円ショップのガラスの容れ物に、「セラミス」という多肉植物の栽培に適した人工用土とカット苗を植えたもの。セリアのアンティーク新聞で包み、格好よく仕上げています。
水やりの頻度が少ない多肉植物は、鉢底穴がなくても大丈夫。タンブラーに入れて、キッチンにさり気なく置けば不衛生な印象は受けません。水のやりすぎには注意して下さいね。
半端になってしまった食器や、欠けて使えなくなった食器も、多肉植物のプランターとしてなら活用できます。
出典:www.instagram.com(@greensnap.jp) 高く伸びるタイプの多肉植物は、和風の鉢で盆栽のように仕立てれば、味のある風貌に♪
出典: こちらは紙粘土を多面体に成形し色をつけた、多肉の赤ちゃん用ポットです。まるでカラフルな岩に多肉が生えているよう。色鮮やかな多面体が目を引きますね。
出典: 土の中では乾燥気味に育てる多肉植物ですが、実は水耕栽培もできるんです。枯れそうになった多肉植物を水耕栽培したら元気になったという話も。
土から水耕に切り替える場合は、根をバッサリとカットして。切り口が水面にぎりぎりつくくらいに水を入れ、水耕栽培にあった根が新たに生えるのを待ちます。ぐんぐん伸びてくる根っこの様子に、植物の生命力を感じることができますよ。
出典:www.flickr.com(@Gergely Hideg) 鉢の代わりに苔を巻く事で崩れないように仕立てた苔玉は、海外でも人気のある園芸です。
苔は頻繁に湿らせる必要がありますが、多肉植物と組み合わせた、ころんとみずみずしい姿に、お世話のたびに癒されそうです。
出典: 作り方は意外と簡単で、植物の根を苔玉の土で包み、重心が下のほうにきて安定するように丸く整えてから湿らせた苔玉のコケを巻き付けます。糸を巻いて剥がれないように固定したら全体を水につけて洗います。
初心者でも作りやすい、苔玉のキットはこちらで購入できます。
出典:www.flickr.com(@Gergely Hideg) 多肉植物を苔玉で管理する場合は、水につけずに苔だけを霧吹きで湿らせて。多肉に水やりをするときだけ、3分ほど水に沈めて下さい。
また、直射日光に当てると苔が枯れてしまうので、風通しがよく明るい、西向きの窓辺などに置くといいそうです。
出典: 「寄せ植え」は華やかで見応えがありますよね。寄せ植えをする場合は、育生のしかたが似たタイプの多肉同士をあわせると、その後の管理がラクですよ。
小さなガラスの中に寄せ植えを。テラリウムは普通の植栽よりも水分を保てるため、水やりの頻度を減らすことができます。透明な容器は日光に充分に当てられ、土の乾き具合もしっかりと見ることができます。
出典:www.instagram.com(@greensnap.jp) 多肉植物とビーカーという組み合わせが、幾何学的な多肉の美しさを際立たせてくれています。表面に敷いた化粧砂が素敵ですね。
出典: プレゼントなどでいただいたカゴ、何かに活用できないかな……と思ったときは、このように多肉をアレンジしてみてはいかがでしょうか?
出典: クッキーの入っていた箱だって、素敵な多肉の鉢になりますよ♪ぎゅっと詰まった多肉が、まるでお菓子のようで可愛いです。
出典: 空き缶もペイントすればこの通り。味わいのあるシャビーな多肉の鉢に。必要に応じて鉢底穴を空けられるのもいいですよね。ペイント時や植え込む時は怪我に注意して下さいね。
出典: 魚の缶詰が可愛い多肉缶に大変身!小ぶりなので、赤ちゃん苗の寄せ植えにぴったりです♪多肉を植えるとどんなものでも可愛く見えてくるのが不思議です。
出典: こちらは本物の卵の殻を鉢の代わりにした小さな寄せ植え。お気に入りのペーパーナプキンを接着剤で貼るようにコーティングする「デコパージュ」という方法で柄をつけています。
出典: 作成時は薄皮を取り除いてよく洗って下さいね。デコパージュなしで作った場合、成長してきたら卵のまま土に植えると、植物が自然に殻を割って育つそう。キリなどで底に穴をあければ、水抜き穴も作れますよ。
デコパージュした卵の殻のポットの作り方はこちらです。
出典: 麻ひもをほどき、内側を空洞にして作ったほっこり可愛い多肉ポットは、冬のインテリアに合いそうですね。中にはちゃんと多肉用の土が入っていますが、ココマットを敷くことでこぼれを防止します。
こちらに100均の麻ひもを使った鉢の作り方の説明があります。
出典: カラフルな毛糸を使った、こんな可愛いアレンジも!コロンとした手鞠のようですね♪
出典: 多肉植物をモチーフにしたファブリックパネルを背景にしてより賑やかな多肉スペースに。北欧風なタッチで描かれた愛らしい表情に、多肉たちがもっと好きになりそう♪
出典: 多肉植物とフィギュアの相性はバッチリ。小さな樹木を思わせる多肉のフォルムは、フィギュアたちがジャングルの茂みにいるかのような演出をしてくれます。
出典: 動物や人のフィギュアは雑貨屋さんでも良く見かけますが、100円ショップのおもちゃ(写真はセリア)をアクリル絵の具で白く着色すると……
出典: 出典: 使えなくなった鍋が緑豊かなジオラマの舞台に。一つ一つの多肉の表情やガジュマルの木が可愛くて、つい時間を忘れて眺めてしまいそうですね。
出典: こちらはリトープスの不思議な魅力を活かした、チャーミングな寄せ植えです。石に擬態しているリトープスは、ロックガーデンのようなアレンジがよく似合うんですよ。
出典: お子さんが遊んで使わなくなったミニカーや電車の荷台にちょこんと多肉を寄せ植えをすると、立派なインテリアに!お気に入りの車種のミニカーをプランター代わりにしてもいいですね。
出典: 鉢を置くスペースがなくても、吊るすことで空間を使い、日光を効果的に当てる事もできますよ。
特に這い性の植物は、ハンギングにすると蔓や葉の美しさが引き立ちます。
出典: ロープを装飾的に編んだ「マクラメ編み」に多肉植物のプランターを入れて、ハンギングにすることができます。
マクラメ編みのプラントハンギングはこちらで購入できます。
シンプルなマクラメハンギングなら、わずか15分で手作りできますよ。動画を参考に、使う鉢の大きさに合わせて麻ひもを結ぶだけ。
底の結び目が内側に入る作り方なので、紐をたらす場合は麻ひもを長めに用意し、結び目を鉢の外に固定して作って下さいね。
出典: ハンドメイドをするならば、カラフルな紐を使ってみたり、ビーズを通したりして遊んでみるのもいいですね。沢山吊るすとまるでグリーンのカーテンのよう。
出典: こんな意外なものまでハンギングに?! レードル(お玉)の形は、ちょこっと植えた多肉をひっかけるのにぴったりなんです♪
出典: リースの寄せ植えも多肉植物で作ると、みずみずしくナチュラルな印象。自作する場合は水苔の中に、ネルソルという固まる土を使うと床が汚れにくくなるので、おすすめです。
出典: 明るい窓辺や軒下に、カラフルな多肉植物がギュッとつまった「多肉ボール」をハンギングしてみては?
ボールの土台の材料は、セリアのハンギングバスケットと、水苔と土、そしてメッシュ・ネット。または、みかんのネットで作る方法も!大きめに作ると多肉の苗が沢山必要になるので、小ぶりな物からチャレンジしてみるといいですよ。
セリアのハンギングバスケットを利用した多肉ボールの作り方です。
こちらはみかんのネットを利用した多肉ボールの作り方です。
多肉植物の育て方と、インテリアに生かすための実例をご紹介しましたが、いかがでしたか?
姿も成長のしかたもユニークで愛らしい多肉植物たちは、室内にも見る人の気持ちにも潤いを与えてくれます。
ご紹介したほかにも個性的な品種がたくさんありますので、あなただけの多肉ワールドを、お部屋に取り入れてみてくださいね。
バラの花のように重なる「ロゼット状」の葉っぱが女性に人気の多肉植物です。まるで花が咲いたような形状ですが、実際の花は春から夏にかけた時期につく、色鮮やかな花穂です。
一般的なエケベリアは冬と夏に休眠期に入るため、その間は月一回の水やりに。また高温多湿に弱いため、梅雨から夏にかけては雨に当てず、明るい半日陰で管理します。