生活の養生方法
季節に適した養生方法は、その季節を快適にすごすだけでなく、その次の季節もよい状態で迎えることができます。「養生」といっても特別難しいことをするわけではありません。日々の生活のなかで簡単にできることや、すごし方に気を付けるだけでいいのです。
冬のすごし方
寒さの厳しい冬は、一年の疲れを養生し、春の始まりに備えるとき。ゆったりのんびりとすごし、頑張りすぎないのが、エネルギーを浪費しないためにも大切です。
新しく何かを始めたり、あれもこれもと欲を出したりするのは控え、守りに徹します。気持ちも体力も冬の間は温存しておくことで、草花が芽吹く春に健やかに活動できるようになるのです。
春のすごし方
緑が芽吹きだし、動物が冬眠から目覚める春は、人間の体も同じように冬の眠りから目覚め、新陳代謝が活発になります。心や体にたまった老廃物を外に出し、新たに生まれ変わる季節です。
旬のものを食べ、適度に体を動かして、いい香りを嗅ぐのが、春を健やかにすごすコツ。心と体をやわらかに保っておけば、環境の変化によるストレスにも柔軟に対応できます。
食の養生方法
風邪を引いたときはショウガを食べて体を温めたり、暑い夏には熱を冷ますキュウリを食べたり。「食べ物には温めたり冷ましたりする性質がある」ということは、みなさん経験的にご存知ですよね。このように、季節や体調の変化に合わせて食べ物の性質を用いるのが「食の養生方法」です。いつもの食事に取り入れやすいレシピも合わせてご紹介します。
体のバリア機能を高める
朝のお粥で一日をスタート
冬は潤いを補う食材をプラス
春は酸味のある食べ物を
症状別の養生方法
季節ごとの養生をしていないと、次の季節にも不調となって表れることは既にお伝えしましたね。冬の養生が不十分だと、春に不調が出やすくなるということです。とはいえ、気候の変化に加えて環境も大きく変わる春は、どうしても不快な症状が出てしまうことも。ここでは、よくある症状別の養生方法をご紹介します。
冷え
冷えきって体が動かない、寝付けないほど体が冷える……。そんな頑固な冷えには、血の巡りをよくするのがいちばんです。朝は徐々に体をほぐし、夜はじっくり温めるのがポイント。
・寝転んだまま指先をマッサージする
・座って足首をもむ
・耳をつまんでやさしく引っ張る
・頭皮をやさしくブラッシング
・「三陰交」にお灸をすえる
・靴下のつま先をアルミホイルでおおう
・お風呂で首すじをマッサージ
・布団の足もとにアルミシートを敷く
ストレス
仕事や住まいが変わったり、生活スタイルが今まで通りいかなくなったりする春は、ストレスを感じやすい季節です。イライラやうつうつはためこまず、手軽にできる方法で心を軽やかに保ちましょう。
・あたたかくてフワフワしたものを触る
・ゆったりとした呼吸で心のストレッチ
・ストレス手帳をつけて客観的に見る
・心を落ち着かせるツボ「労宮」を押す
花粉症やアレルギー
鼻炎や花粉症、皮膚炎などのつらいアレルギー症状。ストレスや不摂生などで心身のバランスが崩れることで、症状が悪化することも。体質を改善し、症状を抑えるために、日頃から養生することが大切です。
・おなかを膨らませたりへこませたりして腸粘膜機能を高める
・体の力を抜いて目を閉じ、ストレスを追い出す
・加熱した葉野菜や海藻類をたっぷりとる
・加湿器を使って乾燥を防ぐ
頭痛
過労や多忙、ストレスなどで、つらい頭痛に悩まされる方も多いですよね。冷えや熱、湿気などの外的要因や、不摂生な食事で老廃物がたまることも頭痛の原因に。血の巡りをよくし、睡眠を十分にとることに加え、毎日の養生で頭痛を防ぎましょう。
・1時間に1回は屈伸や肩回しをする
・好きなことに没頭する時間をもつ
・味の濃いもの、甘いもの、脂っこいものは避ける
・入浴時、頭や首周りにホットタオルパックをする
毎日の養生で、備えあれば憂いなし!
春を健やかに迎えるための「毎日の養生方法」をご紹介しました。養生の効果はすぐに出るものではなく、日々の積み重ねが次の季節に生きてくるものです。コツコツと毎日の養生を続けて、新しい季節を健やかに迎えてくださいね。
ご紹介したほかにも、日頃の養生に役立つレシピが参考になりますので、ぜひご覧になってみてくださいね。
寒さと乾燥で免疫力が弱まる冬には「冬の養生方法」が、暖かくなり新陳代謝が活発になる春には「春の養生方法」があります。とくに冬から春にかけては、気候が大きく変わりますので、さまざまな不調が出やすい季節です。
今から不調を未然に防ぎ、健やかで快適にすごせるようにする「毎日の養生」を始めてみませんか?