ニシンの卵の数の子は、一度にたくさんの卵を産むことから、子宝と子孫繫栄のシンボルとして古くからおせちに欠かせません。また、「二親(にしん)」とも記すことから、二親(両親)がいつまでも元気で過ごせますように…という願いも込められています。

数の子は塩抜きし、漬け込みするのに時間がかかりますが、ていねいにつくった数の子の美味しさは格別です。

カタクチイワシの稚魚を甘辛く煮た「田作り」。不思議な名前の由来は、昔田んぼの肥料としてカタクチイワシが使われていたからだとか。そのため、五穀豊穣の願いをこめて日本各地でお正月に欠かせない一品になっています。冷凍保存もできるので、多めにつくってお弁当のおかずにしても良いですね。

栗きんとんの「きんとん」とは、黄金の布団や団子の意味します。まさにその名の通り、山吹色に輝く栗きんとんは、財運アップの願いが込められています。クチナシの実をつかった自然の山吹色で、心もほっこり。甘く、子どもも大好きな定番のおせち料理です。

黒豆には、「まめに働く」「まめな人」の意味があります。また、黒豆の黒い色には、邪気を払い不老長寿の願いも込められています。ふっくらツヤツヤに輝く黒豆の煮方のコツは、煮汁から豆を覗かせないこと。圧力鍋で手軽に、また普通の鍋でことことじっくり煮含める両方の作り方をご紹介しています。

昔、大切な書類は巻物に仕立てられていたため、伊達巻きはこのような形状になったとか。黄金色でめでたく、巻物をかたどっているため知識がアップするとも。受験生や学生に特におすすめです。こちらでは、定番とチーズ入りの2種類の伊達巻きのレシピをご紹介しています。

日本では鴨はニワトリより歴史が長く、奈良時代からご馳走に欠かせなかったと言われています。京都では今もおせちに鴨をいただく風習が残っている場所も。うっすらローズ色の断面が食欲をそそる豪華なカモ肉を、薄くスライスしていただきます。つけ汁につけておけば、冷蔵庫で3日、冷凍庫で1ヵ月ほど保存できるので、早めにつくっておくのがおすすめです。

長い髭と腰が曲がる様子から「長生き」の象徴のエビも、おせち料理につきものです。車エビは、サッと下茹ですることで臭みがぬけ、味がよくしみこみます。

お祝いの品に添える「熨斗(のし)」は、元はアワビを薄くのして干したものを添えたことから生まれました。そのため、今もお正月に、お祝い事を運んでくれるものとしてアワビをいただく地域があります。とてもぜいたくな蒸しアワビは、まさにお正月にぴったり。2時間半～3時間もの長い間蒸し上げますが、水の量に気を付けていれば火にかけておくだけなのでと意外とお手軽です。

かまぼこは、切ったときの半円形の断面がおめでたい「初日の出」を想起させるため、お正月に欠かせない一品です。朱は魔除け、白には清浄・神聖の意味があります。また紅白はお祝いの席ではずせない色合いなので、紅白のかまぼこをそろえて盛り合わせましょう。飾り切りをあしらえば、より華やかになります。