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ジャンルや作者、長編か短編か・・・。今日の一冊の選び方はいろいろ。たまにはいつもと趣向を変えて、天気をヒントに本を選んでみませんか? 青空や梅雨に雷。目では見えないからこそ鮮やかで美しく表現された“天気の情景”。現実とリンクした天気を入り口にすれば、没入感も高まりそう。今回は、晴れ、雨、雪の日に読みたいおすすめの小説を9冊紹介します。
図書委員の亨は、いつもクールで他人に冷めている高校生。一緒に図書委員を務める小崎優子はいつも明るく少し不思議な少女なのだが、ある日彼女が、屋上で雨乞いではなく「クラゲ乞い」をしているのに出くわす。彼女が呼びたいクラゲは、かわいいミズクラゲなどではなく、毒のあるクラゲ。その理由は・・・。
願いを込めて空を見上げる。そんなシチュエーションはたくさんありそうだけど、優子が空を見つめる意味はちょっと違います。果たして、クラゲは降ってくるのでしょうか。読んだ後には、思わずを優子をまねて空を見上げてしまうような物語です。
晴れ、時々くらげを呼ぶ
1,327円〜(税込)
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東京で暮らす奈緒子は、家の玄関で眠る。自分の部屋には、1年半ほど前に亡くなった恋人の加地との思い出がありすぎて、苦しいからだ。加地との出会いのきっかけは、高校の文化祭でのプラネタリウム。奈緒子は加地亡き後、彼の親友の巧と交際している。そんな奈緒子の元に、父親が家出をして転がり込んできて・・・。
プラネタリウムをきっかけに出会った、奈緒子と加地、そして巧と加地。加地くんはもういないのにどこか三角関係な2人の恋の物語と、奈緒子の家族の物語が同時に進む一冊。プラネタリウムの流れ星にそれぞれの願いを込める、切なくも優しい世界が詰まっています。晴れた日の夜空の下で読みたいお話です。
流れ星が消えないうちに
572円〜(税込)
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妻に先立たれ、3人の息子とその家族に蔑ろにされながら暮らす、昔気質の周作。かつて共に真珠湾攻撃に参加した戦友と再会すると、もう一度真珠湾へ行こうという話になる。その地で待っていたのは、同じように戦争の記憶を抱え、また受け継ぎながら生きる、日系アメリカ人をはじめとする現地の人々だった。
南国の美しい空と海。観光やバカンスで訪れたいハワイは、あるときは生と死の狭間でした。かつて真珠湾攻撃に参加した老人が、その地に戻り人生を反芻する物語です。青空にこんなにも物憂げな表情があるなんて。きっと、晴れた空がいつもより神秘的に見えてくるでしょう。
愛と永遠の青い空 They rest in peace /幻冬舎/辻仁成
建築家の誠とカフェスタッフの日菜は、雨の日に出会って付き合いだし、今は2人で暮らしている。身寄りのない日菜のために、いつか家を建てたいと密かな夢を抱えて過ごす誠。幸せに満たされている2人だが、雨降りのある日に事故にあい、2人は瀕死の状態に。そこへ現れたのは・・・。
2人で20年という残された命を与えられ、その時間を奪い合う形になるのですが、ここでポイントなのが、「幸せを感じたら+1、不幸を感じたら-1」というルール。幸せは目では見えないし、数値にもできませんよね。もしそれが可能になったら、人と付き合うことはどう変わるのでしょうか。幸せのあり方を問われる、とても切ないラブストーリーです。
この恋は世界でいちばん美しい雨
1,493円〜(税込)
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妻のちさとが妊娠中だというのに、マリモとの不適切な関係を断ち切れない悠太郎。母の離婚のたびに各地を転々とし、あるときはプレハブ小屋に住んでいた彼の今の家は、高級マンションの4階。ちさとの出産が近づけば近づくほど、悠太郎はその現実から逃げるようにマリモを求めてしまい・・・。
雨にまつわる5つの短編を収めた一冊。この街のどこかにありそうな少しの息苦しさを、憂いや痛みを詰め込んで描いています。影をつくりながらしとしとと雨降る日に、マッチしてしまうお話ばかり。雨の音の中に深く沈み込んでしまいたいときにおすすめです。
雨のなまえ (光文社文庫)
550円〜(税込)
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昭和、戦後の新宿。コーヒー店の2階に「水上探偵社」はあった。そこは、雨の日にしか営業しないという特殊な探偵社。ある日、幼馴染であり大家でもある和田慎吾が相談に訪れた。その数日後、相談で触れていた女性が失踪してしまう。
雨の日にしか営業しない水上探偵社を舞台に繰り広げられる謎解き。ミステリー自体はライトで、読み進めやすい一冊です。水上と慎吾の関係性やそれぞれの記憶、ファンタスティックな展開などが、やさしい文章で表現されています。雨の情景が似合う、最後には心が温まる物語です。
竜の雨降る探偵社 (PHP文芸文庫)
700円〜(税込)
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雪の降るある日、大学受験を目前に控えた8人の高校生は、いつも通りに登校した。しかし校舎には先生やほかの生徒がおらず、8人は学校に閉じ込められてしまう。その理由が、自殺してしまった同級生にあるのではないかと考えるが、どうしたことかその生徒や顔が思い出せない。手がかりを求めて校内を調べはじめるが・・・。
辻村深月のデビュー作。作中には同姓同名の人物が登場します。学園ミステリーとひとくくりにできないような、それぞれの丁寧な心情描写が印象的です。深い雪のように心に積もって、何か大切なものを隠していく。その隠されたものが明らかになっていくのは、まるで雪解けのようにも感じられます。
冷たい校舎の時は止まる(上) (講談社文庫)
935円〜(税込)
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冷たい校舎の時は止まる(下) (講談社文庫)
935円〜(税込)
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信州の小さな村で暮らす、小学5年の満希。ある日山村留学の行人がやってきて、唯一の同級生になった。いずれ帰ってしまう人と必要以上には仲良くならないと思いながら、2人は親友になる。高校まで同じ学校で過ごすが、満希は地元で農業の道へ、行人は村を出て医大へ。2人の人生が違う道へ向かう卒業式の日、行人は満希に村へ来た理由を打ち明ける。
たった2人の同級生。卒業を控えた2人の、繊細な感情がとてもきれいに綴られた一冊で、雪国にきらめく青春に心が潤っていきます。何か大きな事件が起きるわけではありませんが、しんしんと降り積もる雪のように、静かで穏やかで清廉な雰囲気があふれています。2人の未来に期待が膨らむ、明るい読後感が魅力です。
みつきの雪 (文学の扉)
1,265円〜(税込)
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小学生の深雪は、公園で傷ついた犬を拾う。どうにか助けてやりたいけれどなすすべがなく困っていると、一人の高校生が声をかけ、一緒に病院まで行って助けてくれた。彼、桜木に淡い恋心を抱いた深雪だが、京都へと引っ越すことに。7年後の再会と、子供らしいかわいい結婚の約束をして、深雪は京都へ発つ。
人間のドロドロとした部分を描いた小説が多い、新堂冬樹の純愛を描いた物語。はじめは小学生と高校生という、ちょっとピンとこない設定かと思いきや、大人になってからの2人の惹かれあうようすはドキドキします。後半にはミステリー要素も。長編ですがテンポよく読める一冊です。
忘れ雪 (角川文庫)
814円〜(税込)
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天気によって、気分って変わるもの。晴れている日はなんだか明るい気持ちになって空をたくさん見上げたり、雨の日は濡れた街並みが物悲しい映画の一場面に見えたり。
同じように、手に取る本にも少し影響しているかもしれませんよね。天気をヒントに今読む本を選べば、ますます情景が鮮やかに思い浮かびそう。その没入感を楽しみながら物語の世界を楽しんでみてくださいね。
図書委員の亨は、いつもクールで他人に冷めている高校生。一緒に図書委員を務める小崎優子はいつも明るく少し不思議な少女なのだが、ある日彼女が、屋上で雨乞いではなく「クラゲ乞い」をしているのに出くわす。彼女が呼びたいクラゲは、かわいいミズクラゲなどではなく、毒のあるクラゲ。その理由は・・・。